<フォトギャラリー>「一番くじ」豪華景品、「ハンター×ハンター」「テイルズ」「ジョジョ」登場
一番くじがここまで支持され、市場を拡大してきた秘密はどこにあるのだろうか。販売元であるバンプレストのスタッフにお話を伺った。
「一番くじ自体の始まりは1996年。最初はウルトラマンからスタートしました。もう16年の歴史があるんですよ」。
そう話すのは、ロトディビジョン ゼネラルマネジャーを務める大薄氏だ。長年一番くじの企画開発に携わってきた氏によると、一番くじ以前における「くじ」というビジネスは、催事場などに既存品のぬいぐるみなどを置いて、お店ベースで運営されていたものがほとんどだったのだという。つまり、メーカーも「くじ」用にわざわざ商品を開発してはいなかったということだ。
「オモチャを景品にして催事場に置いてあったくじ引きを見て、キャラクターに落とし込んだらと始めたのが一番くじのスタートだったんです。最初は遊園地などに導入していたのですが、2003年からコンビニエンスストアに導入し、市場が一気に拡大しました。
コンビニへの導入が、一番くじを全国に広めた転機となった。しかしもちろん、一番くじのヒットの理由はそれだけではない。年間50以上の作品とコラボレーションする“嗅覚”の鋭さと、ファンが求める商品ニーズを的確につかむマーケティング力、そして何よりも商品そのものも質の高さが、一番くじをここまでのヒット商品に押し上げたのだ。
「どういうキャラクターでどういう商品を作るかという点については、一番くじ倶楽部というサイトで定期的にアンケートをとり、それに弊社独自の選定基準を加えて決定しています。弊社はキャラクタービジネスを手がけて長く、そうしたノウハウを持っています。また、今だと“きゅんキャラ”というデフォルメフィギュアブランドが人気ですね。色々な作品のキャラクターでマルチに展開しています」。
このあたりのマーケティング力は、さすが長いキャラクタービジネスの歴史を持つバンプレストだけのことはある。
「もっとも、出してみたら予想よりも受け入れていただけたという商品もあります。たとえばクリアファイルもその一つです。それまでクリアファイルは無料で配るものというイメージがあったのですが、印刷されているイラストがしっかりとニーズをとらえているものであればお客様の評価も高く、今では定番の商品になりました。
「設定資料のイラストだったり、キャラクターの特徴が出ているような、ファンの皆さんがよく目にするポーズをなるべくフィギュア化するよう心がけています。ポーズによってはフィギュア化が難しいものもあるのですが、作りやすいかどうか? ではなく、お客様が求めているものをつねに提供するようにしていますね。そうやって求められるハードルを超えたものを出していくことで、驚いたり喜んだりしていただけているのかなと思います」。
さらに大薄氏は「コンビニに導入してから、品質基準が上がった」と語る。
「コンビニエンスストアが求める品質基準はとても高く、最初は苦労しましたが、そのおかげで、弊社の製品全体の品質基準アップにもつながっているんですよ」。
最後に、狙った商品が当たるコツについて聞いてみた。
「うーん(笑)。これはもう、運でしかないんですよね。強いていうなら、売り切れないうちに買うということくらいでしょうか。
かつて催事場でのイベント的存在だったくじ引きにキャラクタービジネスを導入し、一大市場にまで育て上げたバンプレスト。ライバルは自社であり、つねに過去の商品を超えるものを提供し、最新のものが最高であるように心がける――その妥協なき姿勢としっかりした品質管理がファンの心をつかみ、一番くじは長く愛されるヒット商品となったのだ。(取材・文・写真:山田井ユウキ)
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