シリーズ累計1,400万部突破の電撃文庫の大ヒット作「とある魔術の禁書目録」が、原作者・鎌池和馬の全面協力のもと、「劇場版 とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇蹟-」として映画化。このたび、本作の主人公・上条当麻の声を担当する阿部敦に、独占インタビューを行った。


阿部敦&「とある魔術の禁書目録」フォトギャラリー

 「とある魔術の禁書目録」は、鎌池和馬の原作によるシリーズ累計1,400万部突破の電撃文庫の大ヒット作。スピンオフを含めたコミカライズ、2度のテレビアニメ化、さらにゲーム化と多くのメディアミックスを経て、満を持しての劇場アニメ化となる。

 「一番は嬉しいという気持ちですね」と現在の心境を語った阿部。「この“上条当麻”という役は、僕が一番最初にオーディションに受かった役なので、思い入れもとても強くて…」とのこと。また、「僕自身、『とある魔術の禁書目録』は、いち読者として楽しんでいる作品でもあるので、感慨深いです。第1期から始まり、第2期もアニメ化して、『とある科学の超電磁砲』(スピンオフ作品)もアニメ化。『~超電磁砲』は4月から第2期のアニメ化も決まっていて…。そんな中での劇場版なので、本当にメディアミックスというところで、かなりの広がりをみせている作品なんだなと感じますね」。

 ライトノベルからコミックス化、アニメ化となり、スピンオフも制作され、このたびの劇場版。阿部がいうように凄まじい勢いでメディアミックスの輪を広げている。

 「ここまで、ガーッと広がる作品も珍しいと思います。アニメ以外にもゲームだったり、アプリだったりで関わらせていただいているので、嬉しいですね」。
阿部演じる“上条当麻”は、人気アプリ「嫁コレ」にも入っている。「“嫁”? と思ったんですけどね(笑)」。

 阿部演じる主人公・上条当麻は一見ごく普通の高校生だが、全ての異能の力を打ち消す“幻想殺し(イマジンブレイカー)”を右手に宿す。その右手のため幸運すらも逃してしまうという不幸体質ではあるが、危機に際する高い判断力や決断力を併せ持つ。

 2008年のアニメ第1期から、約4年に渡り上条当麻を演じている阿部。当初、演じるにあたり難しさがあったと明かす。「(上条当麻を)見ていると、ヒーロー然としているので、ヒーローっぽく演じてしまっていたのですが、監督から出された指示は、“もっと弱いところを見せてほしい”」と。「ヒーローではない普通の高校1年生が、殺されるかもしれないけど立ち向かって行き、立ちすくみながらも、それでも立ち向かって行くところを見せてくれと…」。その指示に「“あぁ、なるほど”と思いました。でも、やはりすり合わせが大変でした」とキャラクターを演じ始めた当初を振り返った。 本作のようなアニメの声優だけでなく、海外ドラマや邦画の吹き替えなど多くの作品に携わっている阿部。アニメと吹き替え、演じるうえで違いなどはあるのだろうか。


 「アニメの場合、通常の人間ができないことを軽々とやってしまうので、そういうところは若干オーバーアクションに演じます。外画(吹き替え)の場合、実際に生きている人間の動きだったり、息遣いなどを見ている側(演じる声優自身や視聴者)も確認することができるので、それに合わせるための呼吸感やリアルさが感じられるように演じますね」。

 しかし、これは「アニメについても言えること」だと語る。「例えば、工事現場の近くで話していたりすると、周りがうるさいから近くで話していても大きい声で話しますよね。その辺りの距離感、呼吸感、また時間によっても人間は話し方が変わると思うので、そういうことをより大切にしていくという感じですね」と、例を交えてわかりやすく話してくれた。

 阿部の代表作といっても過言ではない「とある」シリーズ。シリーズ全てに参加している阿部に、アニメ版と劇場版の違いを聞いた。「劇場版ならではの豪華さはありますね。音周りもそうですし、絵もCGを使用しているのでとても綺麗です。テレビアニメとして1期、2期とやってきて、それからの流れなのでキャラクターも豪華で、色んな場面で登場します。スケールも大きいし、宇宙に行っちゃう(笑)。それと今回は“歌”というテーマがあり、ゲストの三澤ちゃん(三澤紗千香)が劇中歌を6曲歌っているので、目で観ても、耳で聞いても楽しめる作品になっていると思います」と作品をアピールした。
(取材・文・写真:鈴木沙織)

 「劇場版 とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇蹟-」は2013年2月23日(土)より公開
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