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制作発表時にネットが大騒ぎになったため、ご存知ない人は少ないと思うが、一応説明しておこう。『HK/変態仮面』は、かつて週刊少年ジャンプで連載されていたあんど慶周によるギャグ漫画『究極!!変態仮面』を原作にした実写映画だ。連載期間はそれほど長くなかったものの、女性のパンティをかぶると興奮してヒーローに変身するというぶっ飛んだ設定は、今でも語り草になる問題作である。
そんな変態仮面が実写化ということで、いったいどんな作品になったのか気になっている人は多いと思うが……そこはかなり原作に忠実なコメディ映画に仕上がっているので安心してほしい。変態仮面のルックス、股間を最大限に活用した変態秘奥義、「それは私のおいなりさんだ」をはじめとする数々の名言、すべて原作漫画を限りなく再現しており、実写映画にありがちな妙な改変は一切ない。プロのエンターテイナーたちによる本気の悪ノリを存分に楽しむことができる。
特に予告編でも話題になっていた通り、変態仮面の再現度はものすごい。顔にかぶるパンティや伸縮性の高いブーメランパンツ、網タイツなどはすべて特注品というこだわりようで(普通のパンティでは目の位置などがうまく合わないらしい)、それらを身につける鈴木亮平の肉体美は必見だ。また、腰の動きのキレなども申し分なく、ポーズの一つ一つが原作の変態仮面をトレースしたかのようにそっくりなのもお見事。演技やセリフも熱がこもっていて、思わず「そんなにがんばらなくてもいいのよ?」と声をかけたくなってしまうほどだ。もはや変態仮面といえば鈴木亮平、鈴木亮平といえば変態仮面であるといっても過言ではない。……これ、褒めてますからね? 一方で、ストーリーや演出はかなりチープだ。
ストーリーでは一応、変態仮面のヒーローとしての苦悩みたいなものがちらっと描かれたりもするのだが、そんなのはオマケみたいなもので、基本的には変態仮面の再現度と、福田雄一脚本のセリフ回しの妙を楽しむための映画である。基本的にはシモネタしかないような映画だが、作品全体にただようチープさのおかげでうまくギャグとして消化できているため、お子さんや女性でも楽しめるはずだ(そもそも原作は少年漫画なわけだしね)。(文:山田井ユウキ)
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