SFコミックの巨匠・松本零士の代表作『宇宙海賊キャプテンハーロック』が、3Dアニメーション『キャプテンハーロック』となって、ハイクオリティな映像と共に蘇る。圧倒的なカリスマ性を持った海賊・ハーロックと、その命を狙う暗殺者でありながら、彼の生き様に惹かれていく青年・ヤマの物語。
それぞれの声を演じた小栗旬と三浦春馬の間にも、役柄同様、認め合う男の姿があった。

【関連】『キャプテンハーロック』小栗旬&三浦春馬インタビュー フォトギャラリー

 松本零士ワールドの重要キャラクターである、キャプテンハーロック。彼に命を吹き込むこととなった小栗は「プレッシャーがなかったと言ったら嘘になりますね」と正直な感想を口にした。一方、ヤマ役で声優に初挑戦した三浦は「以前から声優の仕事をしてみたいと強く思っていたので、こんなに歴史のある、素晴らしい作品に関わることができてとても嬉しかったです」とニッコリ。「旬さんと芝居をする時に感じる緊張感や緊迫感が、声に出ているんじゃないかな。キャラクターや設定に当てはまるような、緊張感の中で演じることができたと思います」と振り返る。


 ハーロックは、政府に反旗を翻しながらも、人類のために戦う“反逆のダークヒーロー”だ。原作の誕生から30年経ってなお、人々がハーロックに惹き付けられる理由を小栗は「ハーロックの持つ勇気」だと話す。「何か大きなものにチャレンジしていく力への憧れが、今、改めて強くなってきているんじゃないかと。ハーロックは、その象徴的なキャラクターだと思うんです。ハーロックは一人でも彼の戦いをやめなかっただろうし、その戦いの中でも多くを語ろうとはしない。僕もあの勇気には、憧れます」。
すると三浦も「銃や海賊船を使って戦うだけではなくて、自分を縛る宿命と戦うという、“もがき”もとても丁寧に表現されている。だからこそ、世界の人に響くと思うんです」と、お互い作品の持つ普遍性に魅了された様子だ。

 小栗旬、30才。三浦春馬、23才。『クローズZERO II』(09)での共演や、プライベートでも親交を深めてきた。「周りにたくさんのクルーが集まってくるという光景は、旬さんとリンクする部分がある」とハーロックと小栗を重ね合わせた三浦。
「旬さんの周りには、いつも賑やかな仲間がいて。旬さんは、真面目な話も面白い話もできる。色々な色を持っているから、面白いなと思うんです」と真っ直ぐな瞳で話す。小栗も「精神的にも肉体的にも、どんどん成長してたくましくなってきている」と三浦の成長を喜ぶなど、さりげなく2人の間に流れる信頼感が何とも心地よい。

 三浦は「声優への挑戦は、すべてが良い経験になった」という。小栗が、三浦に感じるたくましさ。
それは「役者としての責任感」を身につけたことが、大きな役割を担っているようだ。小栗は「僕が春馬くんの年齢の頃は、主役とかはあまりやったことがなかったんです。でも春馬くんだったり、自分の近い存在でいうと、岡田将生だったりが、どんどん主役をやっていて。色々なプレッシャーや責任の中でたくさんの経験をしてきている。主役と主役ではない時は、やはり責任の重さは全然違うと思うので」と胸の内を吐露。「でも間違えると、脇役になった時に主役の芝居しかできなくなる人もいると思う。
それでいて、『主役を食ってやろう!』というテンションで押し出しを強くすることも大事だし。春馬くんは、今、そのバランスがすごく良いんじゃないかな」と芝居の話に一層、熱がこもる。 三浦は「いつも旬さんの作品は見ているんです。どうしたって気になっちゃいますから」と照れ笑い。「いつも『良い芝居するなぁ』と思って見ていて。それに尽きます。
最近、旬さんが『一緒に、舞台とかできたら良いよね』という話をしてくれて。僕もそれは、すごく思います」と、先輩にぶつかっていく意気込みだ。三浦をはじめ、自分より若い世代との共演が増えてきた小栗だが、彼らをどのように見つめているのだろう。「僕らより上の世代は、“演じる”ということを求められてきた世代で、ひとつ下の世代は、感覚で芝居をする世代のような気がするんです。僕は、ちょうどその狭間にいて。年下の人たちには、『感じたことをパッとやるから、こんなに新鮮な感じになるんだ』と思うことが多いですね。達者な人たちが多いですよ」と、嬉しそうな笑顔を見せた。

 そして三浦が「真面目な話も、面白い話もできる」といったように、真剣に芝居の話をしながらも、小栗は自らの展望を“麻雀”に例え出した。「人から聞いた話でめちゃくちゃ面白いなと思うことがあって。麻雀って、上手い・下手と、強い・弱いがあるという話になって。上手いから強いわけでもないし、下手だから弱いわけでもないんですよね」と分析。「芝居もそういうところがあるなと考えると、自分は『下手だけど、強ければ良い!』というところを目指そうかなと。強いというのは、圧倒的なエネルギーかもしれないし、存在感かもしれない。不細工でも“存在する”というところに重きをおいていこうかなと思ったんです。『コイツ上手いけど、ツモらねぇな!』って言うんじゃなくてね」と三浦と顔を見合わせ、笑う。

 チャレンジ精神を忘れず、確固たる足取りで役者道を歩む小栗旬と三浦春馬。ぜひ、ハーロックの世界で彼らの男気にも触れてほしい。(取材・文・写真:成田おり枝)

 『キャプテンハーロック』は9月7日より3D・2D同時上映。