2004年に「ミスマガジン2004」でグランプリを受賞し、グラドルとして華々しくデビューするも、2009年に突如引退。そしてその後、激太りや奇行ライブで世間を大いに騒がせた小坂由佳が、再び新たな“挑戦”に踏み切った。
それが、官能小説家としてのデビューである。先月に『キレイになりたくて』(双葉文庫)を刊行したばかりの彼女に、デビューに至るまでの経緯と今後の抱負を聞いた。

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 2004年に「ミスマガジン2004」でグランプリを受賞し、グラドルとして華々しくデビューするも、2009年に突如引退。そしてその後、激太りや奇行ライブで世間を大いに騒がせた小坂由佳が、再び新たな“挑戦”に踏み切った。それが、官能小説家としてのデビューである。先月に『キレイになりたくて』(双葉文庫)を刊行したばかりの彼女に、デビューに至るまでの経緯と今後の抱負を聞いた。

 小説『キレイになりたくて』は、小坂にとって、現在の彼女だからこそ書くことのできた作品であると言えよう。小坂自身、芸能界という荒波の中で自分の立ち位置と将来について大きく悩み、世間から見ればただの“奇行”としてしか取れないような挙動に走った。

 そもそも、本人曰く、かの激太りや奇行ライブには、事務所を辞めたものの芸能界への未練を断ち切ることができず、いわゆる“キャラ変”で再起を狙おうという意図があったのだという。一部では“洗脳説”も流れていたが、「洗脳などといった大それたものではなく、ただ頼る人を間違えてしまっただけです」と彼女は語る。良くも悪くも無我夢中、そんな彼女の憎めない純真さが、今回の官能小説家デビューにつながったのだ。

 芸能界引退後には美容を学び、女性の美のサポートをする会社まで立ち上げるなど、その“バイタリティ”はいい意味で彼女を動かし続けた。
そして、そんな彼女に「官能小説を書いてみないか?」という声が掛かったことがきっかけとなった。

 初挑戦ということで「不安はなかったのか?」と質問を投げると、彼女はかつてグラドル時代の愛称“バンビちゃん”にふさわしい笑顔でこう答えた。「もちろん不安はありました。官能どころか、小説すら書いたことがありませんでしたから。でも私は、不安がない安全なところだけへ向かっても、成長なんてできないんじゃないかと思っているんです。だから、不安でしたけどあえて挑戦することにしました。それに、私は人よりもバカですけど、好奇心だけは誰よりも旺盛なので(笑)」

 さらに、元グラドルの官能小説ということで、気になるのはそのストーリー内容だ。「“沙希”という二十歳のアイドルが主人公です。彼女は芸能界で売れるため、成功するために、色々な世界に染められ、そこで色々な男性と交わっていくんです」。

 しかし一体、官能小説の世界とは無縁だった彼女が果たしてどのようにして今回のような長編を書き上げたのだろうか。「私は初心者でしたから、男性が興奮できるようなものが書けるように多くの作家さんの小説を参考にしました。最初は文字通り暗中模索でしたが、書き進めるうちに、私なりのスタイルみたいなものが出来上がってきました。
書き慣れてくるにつれて、食べ物を使った比喩で行為のシーンを表現することが多くなっていったんです。そこが素人っぽくもあるかもしれないのですが、他の作家さんとの差別化にはなったと思っています」。
 若い女性が、しかも元グラドルが書き上げたということで、「これは本人の実体験?」と邪推する男性も多いだろう。そのところを突っ込むと、「残念ながら、ほとんどのシーンが私の想像です。はじめは経験をもとにして書いた方がいいと思い、そうしていたのですが、実際に書いてみると、妄想で書いたほうが筆が進むんですね。そうそう無いとは思いますが、みなさんも官能小説を書く機会があれば、ぜひ実体験に依らないで、想像力をフル回転して書いてみてください。書き上げたあとに読んでみると自分で赤面してしまうほどの興奮する描写がたくさん出来ましたから」と暴露してくれた。

 次回作についても実に気になるところである。作家としての今後について訊ねると、「もちろん、また機会を頂けたら小説を書いてみたいと思っています。ジャンルは官能に限らず、恋愛小説などにも挑戦したいです」と語ってくれた。

 『キレイになりたくて』のメディアミックスにも彼女は積極的だ。「一番には、この小説が映画化になればいいと思っています。
主人公の“沙希”は、小説のストーリーとマッチするように、“これから”の人がいいです。公募オーディションを行って、私が審査員で主演の子を決めたいですね(笑)」。さすが、グラビア、アイドル歌手、役者と様々な世界を渡り歩いてきただけのことはあるといったところだろうか。

 また興味深いのは、彼女の狙う読者層だ。「官能小説好きな男性には期待して読んで欲しいです。あとは私の処女作なので、ぜひ官能小説を読んだことがない“官能小説童貞”の方にも読んでいただけたらと思います。それと、もっと言うなら、女性の方にもぜひ読んでいただきたいです。タイトルの通り、主人公の“沙希”はキレイになるために男性と関係を持ちます。確かに、キレイになるためにセックスをするというのは現実的には行き過ぎな感もありますが、とにかくキレイになりたいというその強迫観念のようなものは全女性に共通するものだと思うのです。きっと共感できる部分も多いはずです」。女性としての美の体現者・グラビアアイドルとして第一線で活躍していたことのある彼女ならではの“こさかんのう”が完成したと言えるのが今作なのである。(取材・文:川上ぽこひろ 写真:大崎えりや)
 
 小坂由佳の官能小説デビュー作『キレイになりたくて』(双葉文庫)は全国書店にて好評発売中。
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