『おかしなガムボール』というTVアニメを知っているだろうか。現在、アニメ専門チャンネル「カートゥーン ネットワーク」で放送中のイギリス生まれのアニメである。
同局で夏に行われた視聴者参加の人気投票ランキングでは、不動の人気を誇っていた『トムとジェリー』を抑え、見事1位に輝いた大躍進のアニメだ。そんな本作の主人公・青いネコ“ガムボール”を演じるのが、『NARUTO ‐ナルト‐』のうずまきナルト役や『イナズマイレブン』の円堂守役など、少年役を得意とする声優、竹内順子。大人気となった本作の魅力や、昔はコンプレックスだったと語る自身の声質について、語ってくれた。

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 本作は、日本では2011年11月から「カートゥーン ネットワーク」で放送されているイギリス生まれのTVアニメ。主人公は青いネコ“ガムボール”。父はウサギ、親友は金魚、クラスメートは恐竜や折り紙のクマ、風船やロボット…と、ハチャメチャな設定のキャラクターたちが実写の街を舞台に次から次へと笑いを振りまくナンセンス・コメディ。2D、3DCG、クレイアニメなど様々なアニメーション手法が1つの作品に盛り込まれている面白さも話題となっている。

 竹内演じるガムボールは、おっちょこちょいで、少しまぬけだけど好奇心旺盛な12歳の男の子。劇中では、その好奇心旺盛さから、興味を持ったものには何でも一度はトライしてみるという、とてもアクティブであり、よくしゃべり、表情も豊かなネコだ。演じる際は「高めのテンションと、(台本に)書かれている言葉通りに演じることを心がけている」と話す竹内。「声に作為的なものはないし、芝居も(事前に)“こう演じよう”とは決めていない」と語る。演じ手として、ガムボールになりきって演じているのかと問うと「(ガムボールの)切り替えが早いので、しゃべることだけで精一杯ってことです(笑)」とお茶目に笑う。


 2D、3DCG、クレイアニメと様々なアニメーション手法で描かれている本作。日本ではあまり見ることのない世界観についてはどのように感じたのだろうか。

 「第一印象は、“面白い”でしたね」と述懐する。「子供番組らしい作品だと思ったけれど、反対に今までにない作品だとも思いました。実写とアニメが合体していることについての目新しさよりも、食べ物の扱いについてや、ちょっと強烈なジョーク表現の事について、こんなに大らかな作品を日本で放送しても大丈夫なのかな? と思いました(笑)」と、映像の手法というより、ストーリーやユーモアの表現について驚いたとのこと。 本作で竹内が演じるガムボール役を含め、『NARUTO ‐ナルト‐』のうずまきナルト役、『イナズマイレブン』の円堂守役と、少年役を数多く演じている竹内。女性でありながら、少年役を演じることについて気を付けている点などはあるのかと尋ねると、「カッコつけないことですね」と即答。「仮に自分が男性だったとして、普段からカッコつけてはいないですよね。女性って、フっと気が抜けている時の男性に対してもハっとなったりするじゃないですか。それに、(女性は)普段はあまりカッコつけていない男性から真面目に来られたら、思わずポッとなったりもしますよね(笑)。(カッコイイ)斜め角度なイメージではなくて、普段のカッコ悪いところこそ大事に演じています」と語り、「私がそういう男性を好きなんだと思います(笑)」と、自身の好みを明かしつつ楽しそうに話す。

 少年の演じ方について楽しそうに話してくれた竹内だが、昔は自身の声が「コンプレックスだった」とも明かす。
「基本的に自分の声が大嫌いでした。(電話で)『はい、竹内です』と言うと『竹内くんですか?』と聞かれてしまうので。音楽の時間も、高い声が出ないのでアルトに回されて…。本当はソプラノで気持ち良く歌いたいのになーって思っていましたね」と、当時感じていた思いを述べる。

 だが、現在はそのコンプレックスだったという声を生かしキャラクターに命を吹き込んでいる竹内。何をきっかけにして、自身のコンプレックスを生かそうと思い立ったのだろうか。「20代の頃に、私の体からは涼やかな声が出ることはないんだとわかった時に、それなら、自分のこの声と体で何を表現することができるだろうと考え始めたんです」と、コンプレックスだった声が、考え方を変えるきっかけに。「私はずっと舞台をやっているのですが、身長が低いということもあり、守られる側の女性を演じることが多いんですね。その時に、聞きづらい声よりはきれいな声のほうが、お客さんも感情移入しやすいのかなと思って、話し方を早めにしたり、ゆっくり話したりして…。どんどん声の生かし方を学んでいこうと思ったんです」。

 今は自分の声は「コンプレックスではなくなった」と話す竹内。その竹内が、元気いっぱいな12歳の青いネコをパワフルに、かつ魅力いっぱいに演じるTVアニメ『おかしなガムボール』は、アニメ専門チャンネル「カートゥーン ネットワーク」にて放送中。
 (取材・文・写真:鈴木沙織)
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