数多くのアニソンアーティストを輩出しているオーディション「アニマックス 全日本アニソングランプリ」。先日、第7回目の優勝者が決定したばかりの同グランプリにおいて、第5回目の優勝者であり、現在アーティストとして活躍する鈴木このみに直撃取材。
デビューして1年半が経過した現在の心境と、ダブルタイアップとなった新曲について話を聞いた。

【関連】鈴木が主題歌を歌うTVアニメ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』声優・橘田いずみにインタビュー 

 当時、若干14歳で応募総数1万組以上の中から勝ち抜いた鈴木。昨年4月にデビューし、現在17歳。11月27日に発売する最新曲『AVENGE WORLD/世界は疵を抱きしめる』は、人気テレビアニメ『フリージング ヴァイブレーション』のオープニングテーマとエンディングテーマのダブルタイアップ曲となっている。

 この楽曲について、「最初に聞いたときは、“これ人間が歌える曲なのかな?”と思いましたね(笑)。すごくビックリしました」と難しさに驚きを隠せなかったという。「いつもは音程を確認するというよりは、その楽曲に対する気持ちの込め方を考えることから始めるのですが、今回は最初に音程を確認することから始めました。(この曲は)気持ちが入っていたとしても、音程を少し外すだけで、カッコ悪くなってしまうのかなと思って」と、難しい楽曲であるがゆえに取り組む姿勢も基礎から始めた。

 『AVENGE WORLD』『世界は疵を抱きしめる』の2曲に共通していたのは、息継ぎとなるブレスの箇所が少ないこと。「どうすれば歌いやすいようにブレスをすることができるのか、研究を重ねました」と真剣なまなざし。「気持ちを全面に出し過ぎると、収拾がつかなくなってしまい、息が持たないとか、高音がかすれてしまうと思うので、自分を保ちつつも気持ちを込めるというバランスが難しいです」と心境を吐露する。

 “思いきり大人っぽく”がコンセプトだったという今回の楽曲。
歌詞も、今まで鈴木が歌ってきたものと比べると格段に難しい。だが、それを若さ溢れる声で説得力を持たせるのが目標と話す。オープニングテーマとなる『AVENGE WORLD』について、「仮歌詞でしたが、1年くらい前からデモで歌っていました」と告白。「当時から良い曲だなと思っていたのですが、まさかリリースが1年後だとは思っていなかったです(笑)」。

 デビューから約1年半が経ち、シングルも『AVENGE WORLD/世界は疵を抱きしめる』で5枚目となる。現在の心境について訊くと「新曲を出すごとに、どんどんハードルが上がるので、自分自身成長し続けたいという思いはあります」と将来を見据える。「ただ上手いとかではなく、前も上手かったけど、今はもっと上手いねというイメージを持ってほしい」と思いを込める。また「プロデューサーから頂くアドバイスも、だんだんハードルが上がってきてすごく大変。以前頂いたアドバイスが、クリアできるようになったということは、良い事だと思うのですが、だからこそ上にステップアップしていかないと、というプレッシャーがあります」。 そのプレッシャーを跳ね除け、ステップアップするために取り組んでいることは? との問いに「他のアーティストさんのライブ映像を見たりしますね。私自身もアニメが好きなのでアニソンも聞くのですが、視野を広げようと思って」と語り、「他のアーティストさんが歌うテクニックをいかに自分らしく取り入れることができるか、研究しています」と、前へ進むために貪欲だ。

 “アニソン歌手”というよりは、幼少のころから“歌手”を目指していたと話す鈴木は「中二の頃に友人からあるアニメを薦められて…」と振り返る。
17歳という年齢からみるとアニメに興味を持ち始めたのはここ最近だ。薦められたアニメは『マクロスF』。それを見て「アニソンに興味を持ち、アニメにも興味を持って…」と目をキラキラと輝かせる。

 さらに「実は、第4回のアニソングランプリにも応募していたのですが、書類選考で落ちちゃったんです」と衝撃の告白。「当時は、まだアニメ好きではなかったので、その気持ちが見抜かれてしまったのかなと…」。その後、アニメに興味を持ち、リベンジも兼ねて応募したところ、見事グランプリを獲得。今に至るという。

 最後に、自身の今後については「クールな曲が多いので、可愛らしい曲を歌ってみたいですね」とリクエスト。それだけに留まらず「ダンスを習っているので、ダンスボーカルもしてみたいです」とも。まだ17歳であるが、アーティストとして貪欲に前を見つめる彼女に、更なる輝きを期待したい。(取材・文・写真:鈴木沙織)
編集部おすすめ