日本唯一の授業サボりマンガ『となりの関くん』がテレビ東京、AT‐X、各種配信でアニメ化された。本作は、授業中にこそこそ遊ぶ関くんの様子を、真面目に勉強しようとする隣の席の横井さん(CV:花澤香菜)の目線で描いた異色作。
関くんの創造力豊かな一人遊びが話題となり、原作コミックス4巻、累計発行部数は200万部を突破した。今回、ほとんど台詞のない関くん役に抜擢された声優下野紘に本作の魅力を語ってもらった。

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 「帯に“究極の暇つぶし”と書いてあったのが気になって、何気なく本屋さんで手に取ったのが『となりの関くん』だったんです」と話す下野は、アニメ化が決まる前から本作のファンだったという。読み進めるうちに自分の仕事に置き換えて考えるようになった下野は、ふと、あることに気付く。授業そっちのけで大掛かりな一人遊びに勤しむ関くんだが、漫画の中ではほとんどしゃべることがない。関くん役の声優は何をすればよいのだろうか。

 そんなとき、下野の電話にマネジャーから一本の連絡が入った。「下野君、新しいレギュラーが決まりましたよ。ただねえ…下野君、主人公なんだけどあまりしゃべらない役なんだよね…」とマネジャーは口ごもる。下野は即座に聞いた。「それ、『となりの関くん』ですか?」。

 関くん役に決まった下野は、台詞はないが声優としてアフレコ現場に立ち向かう。
「僕の台詞のほとんどは『!』と『っ』と『…』です。たまに『ハッハッハ』と笑うこともありますが、これらがローテーションで回っています。大体はアドリブで演じていますね」と説明する下野は、収録に臨んでから3つのことに気を付けるようになったそうだ。

 「一番重要なのは花澤さんの邪魔をしないこと。2つ目は声をなるべく発さないようにするということ。授業中ということを忘れずに、なるべく息で頑張ります。そして、3つ目。そんな状況下でもいかに主張していくかということですね」。

 台詞がないなかで“主張をする”というのはどういうことなのだろう。下野はこう続ける。「最初は大人しめにやろうと思っていたんですが、『そこは激しめに』とディレクションが入ることがあるんです。関くんってしゃべらないけども、自己主張は強いと思うんですよ。
あれだけの一人遊びをする人ですからね。だからといって花澤さんの邪魔をしてはいけない。花澤さんがストーリーのカギを全て握っていますからね。そのさじ加減が難しい。ある種スリリングな現場ですね」。スタジオ収録は、花澤の芝居を皆で見守るというスタンスで行われているそうだ。気遣いとアイデンティティの狭間で下野は戦っている。 直に相対して話してみると、下野のビジュアルは関くんに似ているように思えた。その類似性を確かめるため、下野の学生時代のことを聞いてみた。「中学時代は早く家に帰ってゲームをやるということしか頭になかったですね。主にRPG系が好きでした。友達と一緒に遊んでたのは、オリジナルのRPGを制作できる『RPGツクール』というゲームでしたね。
勝手に会話が流れて行って無茶苦茶な理由で殺されるっていう、いかにクソゲーにするかということで楽しんでました」。下野の関くん気質が垣間見える。

 もしかしたら、授業中に一人遊びしていたこともあるのではないか。「僕は机の穴に消しゴムのカスやボンドを塗り固めたものを入れて、机の補修をしていました。埋めた後にいかにきれいに抜くかということに全神経を集中するんです。ボンド系は入れてから、一日経つと乾くのでペリと剥がれるんです。剥がれたものは鉛筆の芯に指して眺めます。まあ、すぐにポイって捨てるんですけど…」と語る下野。やっぱりそうだ。まるで関くんそのものではないか。

 そんな下野にアニメの見どころを聞いた。「いろんな方に見てもらいたいですね。
普段アニメを見ていない方でも楽しめると思うし、どこかしら共感できると思うんです。あと、皆さんにはできれば、2回見ていただきたいですね。1回目はそのまま作品を。2回目は耳を澄まして、キャスト陣の細かい芝居も聞いていただきたいです」。下野は最後まで無邪気で中学生の男の子のような笑顔だった。(取材・文・写真:梶原誠司)

 アニメ『となりの関くん』はテレビ東京で1月5日より毎週日曜2時05分~2時15分(初回のみ2時35分~2時45分)、AT‐Xで1月6日より毎週月曜日23時00分~23時10分絶賛放送中。毎週月曜、最新話を各サイトにて同時配信中(放送時間・配信予定は変更になる場合あり)。
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