【関連】しおちゃんの愛くるしい姿を収録したDVD場面写真
しんコロさんとしおちゃんの出会いは、2007年の夏。しんコロさんが免疫学を学ぶためにアメリカに留学していた頃にさかのぼる。当時シアトルで暮らしていたしんコロさんは、猫を飼っていた友人の影響で「自分も猫を飼たい」と強く願っており、はぐれ猫や捨て猫が保護されているアニマルシェルターという場所に何度も通っていた。そんなある日、運命の出会いが…。
ゲージのすみっこで、「プル、プルリ…。」としんコロさんに向かってずっとしゃべってくる猫がいた。それがしおちゃんだった。「ボロボロのやせた黒猫だったけれど、一生懸命しゃべるからかわいくて、飼いたいと思った」としんコロさんは当時を振り返った。
しおちゃんの「おかえり」をはじめて聞いたのは、一緒に暮らし始めて半年くらいたってからのこと。外出先から戻るときはいつも迎えに来ていたしおちゃんに、その日も「ただいま」と声を掛けると、「おかえり」という言葉が返ってきたのだ。びっくりしたしんコロさんは、すぐに動画に撮り、YouTubeにアップした。その後の反響はとどまるところを知らず状態で、人気の動画は再生回数が4000万回にも達しているという。しおちゃんのかわいさに思わず笑みがこぼれてしまう人が続出。
さらに微笑ましい話は続く。シアトルに10年くらい住み、仕事の関係でニューヨークに引越したというしんコロさん。しおちゃんは引越しのストレスでおなかを壊したりして大変だったという。「3ヵ月は隠れる感じでデリケートな状態でした」と振り返る。家猫のしおちゃんを運動させようと一度散歩に連れ出したことがあるというが、「犬に驚いて、ハーネスをふりほどいてものすごい勢いで走り去りました」と苦笑い。
しんコロさんが出かけた後は、いつもひとりでお留守番をしているしおちゃんにティアというガールフレンドができた。「昼間ひとりにしているしおちゃんに、ともだちをつくってあげたい」と思ったしんコロさんは、何度もアニマルシアターに足を運び、ある日ティアと遭遇。“これはうちの子だ”とビビッときたという。そんなティアとしおちゃんは今ではすっかり仲良しに。一緒にじゃれあう様子が多くの人に癒しを与えている。
「しおはアニメ好きで『カンフーパンダ』なんかじっと観てますね。ティーちゃんは野生動物が好きみたい」とふたり(?)の好きなものを明かす。猫が主人公のフランス映画で『パリ猫ディノの夜』のDVDを観たというしんころさんは、「猫好きの人が作ったことが分かります。しぐさとかすごく可愛い。サスペンスもあって、ハートウォーミングなアクションコメディーかな。ストーリーもしっかりしていて大人も楽しめる内容で面白かった」と猫好き必見のオススメ作品を教えてくれた。 「猫の生き方は自由奔放で、自分のやりたいようにやるけれど、人間らしい部分もあって、かみ合ったときが面白い」としおちゃんやティアの話をしているとほんとに幸せそうなしんコロさん。
しおちゃんがしゃべる「おかえり」「おきゃん」など愛すべきしお語に癒される人も多いが、今後はどんな言葉をしゃべってほしいかたずねるとしんコロさんは「オリンピックと言って欲しいな」と笑顔で即答。「無理かも知れないけれど…。」といいつつも、かなり本気モード。東京オリンピックまでにぜひ実現して欲しいものだ。
猫好きのブロガーは大勢いるけれど、しんコロさんのように飼い主も一緒に姿を見せるというのは珍しい。しんコロさんの優しさに癒されているファンもいるようだ。しんコロさんは最後に、「今後もしおちゃんを通じて“動物を助ける”と代弁して行きたいと思います。日本もシェルターやボランティアなど充実して欲しいですね」とメッセージして締めくくった。(取材・写真・文:福住佐知子)