“充実一途”。夏目三久にはそんな言葉がぴったり当てはまる。
2011年に日本テレビを退社後、タレントに転身、報道番組からバラエティーの進行、ラジオのMCと活躍の場は広がり、4月からはTBS『朝ズバッ!』の後を受けた情報番組の司会を務める。そんな飛ぶ鳥を落とす勢いの夏目が新たにチャレンジしたのが声優だ。

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 「小さいころから大好きだった」という国民的アニメ『ドラえもん』の劇場公開作品『ドラえもん 新・のび太の大魔境~ペコと5人の探検隊~』で、国を背負う王女スピアナ姫を演じた夏目が、映画の見どころや“声の仕事”への思いを語った。

 春休み映画として毎年の風物詩となっている映画『ドラえもん』。本作は原作者の藤子・F・不二雄氏生誕80周年記念作品と銘打たれているが、そんな特別な作品に夏目はゲスト声優として参加している。「お話をいただいたときには、ただただ嬉しいなと。小さいころから大好きだった映画のスクリーンの向こう側に自分がいるなんて、とても幸せなことです」。

 夏目は日本テレビアナウンサー時代の2008年に、映画『それいけ!アンパンマン 妖精リンリンのひみつ』で声優を経験しているが、演技を伴う本格的なアフレコは今回が初めてだという。「やってみると想像以上に大変で、自然にスクリーンの中に存在することの難しさを実感しました。キャラクターが設定されたうえで、最後に自分が命を吹き込むという作業、感情を乗せて人柄を作っていく部分はとても困難でしたね」。

 夏目によって命を吹き込まれたスピアナ姫は、信念を持ち、王子の帰りを待つという女性であるが「覚悟を持った強い女性ですよね。姫のその部分はとても魅力的ですが、一方で、大切な王子との再会によって感情が湧き出してくるシーンは、より心情が理解できました」と自身が演じた役柄を分析。
そんなスピアナ姫がスクリーンで躍動する姿を鑑賞したという夏目は、苦笑いを浮かべながら「もう恥ずかしいの一言ですね。一生懸命演じましたし、公開されたら観に行きたいのですが、(鑑賞した人の)感想が耳に入ってくるのも怖い気がします。とにかく見ている人が、違和感なく物語に入り込んでいただければと願うばかりです」と謙遜する。

 タレントという肩書きを持つ夏目。「日常会話の延長のような仕事だと思います。それを職業にできることはすごいことだなって……。だからこそ『これでいいのかな』って自問自答する毎日ですし、とても奥深い仕事だなって感じます」。また“伝える”仕事に重要なのが声。「声は人なりという言葉もありますが、声ってその人自身を表しているような気がして、いつも怖いなって思います。だからこそ『正直にまっすぐ生きよう』と常に自分自身を見つめ直すように心がけています」。 声優として“演じる”ことにより、情報ではなく感情を観客に伝えることを経験した夏目だが「お話をいただいて実現することなのですが、もしまたチャレンジする機会があれば(声優の仕事は)やってみたいなと思っています。今回はとても良い経験になりました。
もし、次の機会がいただけるのならばもう一つ成長した姿をお見せしたいです」と意欲を見せた。

 4月から夏目は「TBSの朝の顔」として情報番組の司会を担当する。本作では、ドラえもんやのび太たちが大冒険を繰り広げるが「4月から毎朝、朝5時半からの番組を担当しますので、私にとっては毎日が冒険だと思います。小さな冒険かもしれませんが、日々を積み重ねて、あとから見たら大きな冒険をしたなって振り返れるような経験になっていけたらいいです」と丁寧な言葉で、少し先の大いなる冒険を語った。

 「この作品は、いつもはいじめっ子のジャイアンが大いに活躍し、仲間との絆をつなげてくれます。そして変わらぬ愛の大切さを教えてくれるのが、ペコとスピアナ姫です。子どもだけじゃなく、大人が見ても大切なことを思い出させてくれる作品です」と本作の見どころを強い眼差しで語ってくれた夏目。一方で「使いたい秘密道具は?」という質問には「とてもお腹がすいているので、植物改造エキスⅠに目がいってしまいますね。出来立てのカレーライスやラーメンがすぐに出てくるなんていいですよね。植物ですので、容器を洗わなくてもいいですし」と悪戯っぽい笑顔。そんな振れ幅が夏目の魅力なのかもしれない。(取材・文・写真:才谷りょう)

 映画『ドラえもん 新・のび太の大魔境~ペコと5人の探検隊~』は3月8日より全国東宝系にて公開。
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