「承太郎を演じる覚悟ができた」。そう力強く話すのは、TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険スターダストクルセイダース』で空条承太郎役を演じる声優小野大輔
荒木飛呂彦氏の大人気シリーズ『ジョジョの奇妙な冒険』の第3部を描く本作は、「ジョジョ」シリーズの中でも特に人気が高く、中でも承太郎はその「ジョジョ」の代名詞にもなりうるようなキャラクターだ。世代問わず愛される作品の主人公を演じる小野に、現在の心境を聞いた。

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 「好き過ぎる作品なので、自分が掛ける自分へのプレッシャーが大きかった」と語る小野。同じ声優仲間でも「ジョジョ」好きは多く、それでなくとも数多く存在する「ジョジョ」ファンのことを考えると相当のプレッシャーがあったはずだ。だが、今は「改めて演じる覚悟ができたなと。身が引き締まる思いです」と思いの丈を述べる。

 小野演じる主人公・空条承太郎は、第2部の主人公ジョセフ・ジョースターの孫。第1部から続くジョースター家の宿命の敵・DIOの復活によって危篤状態に陥った母親を救うため、承太郎はジョセフ、モハメド・アヴドゥル、花京院典明、ジャン・ピエール・ポルナレフといった仲間と共に、DIOが潜むエジプトへ旅立つというストーリーが描かれる。

 意を決した小野だったが、承太郎を演じることが決まった当初は現在のような心境にはなれなかったと明かす。「僕自身がジョジョを好き過ぎるあまり、演じるというイメージが出来なかったんです」という。「(ジョジョは)僕の人生においての指針になったり、迷ったときの道標になったり、背中を押してもらったり…。演じるというよりは、ずっと受け手だったんですよね」。


 「『ジョジョ』には多くの名言がある」と言う小野。その中でも特に好きだという言葉は、原作単行本17巻に登場する「ホイール・オブ・フォーチュン(運命の車輪)」のエピソードで承太郎が発する「道というものは自分で切り開くものだ」という言葉。「この言葉がすごく好きです」と少し照れたように告白する。

 好きな言葉もスラスラと出てくるほど、ジョジョ愛溢れる小野は演じる承太郎について「承太郎はクールというイメージもあると思うのですが、僕はそうではないと思っています。冷静沈着に物事を分析する聡明な部分と、自分の正義が汚された時に、激高する情熱・熱さというのを、両方持っている人だと思うんです」と分析する。「それを高い次元で両立させているからこそ、スタープラチナというスタンドが彼に発動したのだと思います」。“スタープラチナ”とは、本作で初めて登場する幽波紋(スタンド)という概念の中で、承太郎が持つスタンドの能力名。「スタープラチナというスタンドは、精密な動きと他の追随を許さないスピードを持っているんです。でもそれに相反してものすごいパワーも持っている。それを共存させているというのはズルいですよね(笑)」。 「ジョジョ」シリーズは、描かれる部によって主人公が変わっていくことも魅力のひとつ。TVシリーズにおいては、本作で主人公を演じる小野のほか、第1部の主人公・ジョナサン・ジョースター役に興津和幸、第2部の主人公・ジョセフ・ジョースター役を杉田智和が演じている。
興津や杉田とは「他の現場で会うと、ジョジョの話をしますよ。杉田くんのことをジジィと呼んだり(笑)」と笑みを浮かべる。

 登場キャラクターが変わるということは、もちろん演じる声優も変わってくる。しかし、その中でナレーションを務める大川透は、1部~3部まで出演する数少ない声優。大川は、受け継がれてきた「ジョジョ」独特のセリフの言い回しについて「小さい“ッ”や、 “じゃあない”という大きい“あ”を、とにかく大事にしてください」などアドバイスをくれるという。

 この小野のコメントから原作ファンは気づくかもしれないが、TVアニメ「ジョジョ」の台本は、原作と同じように表記されている。そのため「(その表現は)確実に守っていくということと、いかにそれをストーリーの中に自然と紡いでいくかを考えながら、セリフがチョイスされている気がします。ストーリー構成の絶妙さだと思うのですが、素晴らしい言葉の選択だなと思いますし、絶対に外せないと思う言葉は、必ず入っている」と絶賛。さらに「脚本に関していうと、原作では語られていなかったところを、全く違和感なく少しだけ補足していたりもするんです。そこはぜひ見ていただきたいですね。(このシーンは)“プラスされている部分なのかな”というのを感じ取って欲しいです」。

 小野から「ジョジョファンの僕が納得の出来」と嬉しい発言が飛び出した本作。
大のジョジョファンであり、承太郎を演じる小野自身が、自信を持って「納得の出来」と語る『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』は4月4日(金)24時30分よりTOKYO MX他にて放送中。(取材・文:鈴木沙織)
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