『ワンピース』『けいおん!』『ドラゴンボール』『エヴァンゲリオン』といった人気アニメシリーズのキャラクターが、アニメ雑誌を除く一般誌の表紙に登場し、話題となってきた。そして、7月11日発売の女性誌『FRaU』の表紙には、なんと『進撃の巨人』の人気キャラクター、リヴァイ兵長が登場する! “『FRaU』って何?”“リヴァイ兵長って誰?”それぞれのファンから、そんな声も聞こえてきそうなアニメキャラの表紙登場。
なぜ、そのようなことが起こるのだろうか。

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 まず、今回の『進撃の巨人』だが、注目したいポイントは『進撃~』も『FRaU』も、それぞれ講談社から発行されているという点。過去にも、『ワンピース』の単行本累計発行部数2億冊突破記念と題し、集英社の全雑誌の表紙を主人公ルフィ率いる“麦わらの一味”がジャックしたことがあった。出版業界の関係者は話す。
 
 「(アニメ化された)原作の出版社同士であれば、編集者同士が顔見知りであったり、上からの命令であったりと、実現化しやすい企画のひとつです。意外性という点で話題になりますし、通常の読者層とは違う人が購入して部数アップ。上手くいけば、定期購読に繋がってくれる」。
 
 ただ――と、前述の関係者は付け加える。
 
 「それは理想論であって、そうは上手くいかないんですよね(笑)。そもそも、それで部数が確実にアップするのであれば、頻繁に行うはずです。話題作り、雑誌の認知度アップという点で、アニメのキャラクターを利用したい。それが、一般誌の表紙にアニメのキャラクターが増えている理由でしょうね。
単なる雑誌にプレミア感というか、オフィシャルグッズ感も出ますから。しかし、経験上、アニメが表紙の号だと、ファンからのお礼のアンケートが増えますが、やっぱりファンしか買わなくなってしまうので、難しいところです」。 また、『smart』(宝島社)、『販促会議』(宣伝会議)に『エヴァンゲリオン』の綾波レイといった具合に、原作を連載している出版社とは別の出版社の雑誌に、キャラクターが登場する場合があるが?
 
 「基本的に狙いどころは同じですが、すんなりと事は運びません。というのも、別の出版社のキャラクターなので、顔の向きや衣装、例えば、アニメ内での人気キャラクター2人を並ばせるのは、ごひいきの雑誌でしかやらせないとか(笑)、要は版元がOKしないと、いくら編集部がこうしたい、ああしたいと言ってもダメなんです。最終的に当たり障りない絵が仕上がってくる(笑)。自分のところが育てたキャラではないですから、結構な作画料は払っているんですが、しょうがないかなぁ、と」。
 
 別の関係者は、こんなエピソードを披露してくれた。
 
 「このアニメが流行っているから、そのキャラクターを表紙に! と、編集部が盛り上がって表紙をどうにか実現させるのですが、熱心なファンとは知識量が違うわけですよ。だから、このキャラが表紙になれば本が売れるだろうと期待するものの、このキャラは●●さんの描いたものではないとバッサリ。素人目には同じに見えても、ファンには誰が描いたかが重要で、結果的に部数に繋がらない。安易に表紙にするべきではないと学びました」。
 
 正直、芸能人より大変なことが多い、アニメキャラクターの表紙登場。
諸刃の剣とはいえ、話題になることは必至のため、今後も脈々と続いていくだろう。次は何が登場するのか、楽しみにしたい。
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