「プロになりたい!」そう思っても東京の養成所に通う以外、選択肢はなかった声優への道。でも最近は、高校の部活動で「声優部」なるものがあり、声優を目指したトレーニングをしている生徒がいるらしい。
そこではいったいどんな活動をしているのか。長野県松本市にある創造学園高校・声優部に話を聞いた。

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 「創造学園高校で声優部が産声をあげたのは今から4年前のこと。創造学園高校にはもともと『マンガ・アニメ科』という学科があり、その中で声優志望だった生徒が2010年に声優同好会を立ち上げたのがきっかけです」。

 答えてくれたのは、創造学園高校声優部顧問の巣山真樹加教諭。2010年に同好会として始まった活動は翌年には早くも部に昇格。今年の8月からはネットラジオ『アンブレラジオ』を収録・公開するなど、積極的な活動を続けている。そんな声優部の普段の活動内容とは?

 「基礎練習(早口言葉・滑舌練習・発声練習・感情表現など)のほか、既存作品の音声を消してアフレコの練習をしたり、ときにはオリジナルゲームへのアフレコや、部員が制作したラジオドラマの収録も行っています。また、『高校生交通安全CMコンテスト』などの大会・コンクールにも積極的に参加しています」 実際、先月決勝大会が行われた中・高校生の声の祭典「声優魂」の第三回大会で、部長の丸山夢乃さん(3年生)が優秀賞を受賞するなど、大きな実績も残している声優部。やはり、部員の皆さんは声優志望者なのだろうか?

 「元々声優志望の生徒が集まる傾向にありますので、卒業後の進路も声優の専門学校を希望する部員が多いですね。また、活動の中で目指す声優像が明確になる部員や、マネージャーなどの“声優をサポートする立場”になりたいと進路を変更する部員もいます」

 こういった声優(および声優業界)志望者以外にも、滑舌が良くなること、さらには声量が増えたり、舞台度胸がつくことが面接などに活かせる、という動機で活動している生徒も大勢いるとのこと。他の学校でも今後「声優部を立ち上げたい」と思い立って学校側を説得する必要がある場合、この点が大きなアピールポイントになりそうだ。


 何よりも、同じ夢や趣味を持つもの同士が集まり、日頃から切磋琢磨できることほど貴重な体験はない。プロの声優志望者は全国で約30万人もいるといわれている昨今、「声優部」はこれからますます当たり前の存在になっていくのではないだろうか。(取材・文:オグマナオト)
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