CD売り上げが下降線をたどるなか、もっとも元気なのがアニソン業界。なかでもヒットチャートを賑わせているのが声優アーティストだ。
特に女性声優アーティストの活躍はNHK紅白歌合戦に6年連続出場を果たした水樹奈々を筆頭に目覚ましいものがある。では次に活躍するのは誰か?水樹奈々に続き、一般層を巻き込んでブレイクしそうな注目の女性声優アーティストをご紹介!

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 まずチェックしておきたいのは、新人ながらTVアニメ『一週間フレンズ。』のヒロイン・藤宮香織役に抜擢され、順調に人気声優の道を歩んでいる雨宮天だ。彼女は、2011年の「第2回ミュージックレインスーパー声優オーディション」合格者。2014年最大の大型新人声優アーティストとして、昨年8月にはCDデビューを果たし、これまで2枚のシングルをリリースしている。

 彼女の魅力は、シンガーとしてのポテンシャルの高さ。1stシングル「Skyreach」では芯のある伸びやかな歌声を、2ndシングル「月灯り」では、ウィスパーなバラードも巧みにこなす。雨宮が所属するミュージックレインの先輩と言えば、あのスフィアだ。 女性声優アーティストの育成に定評ある事務所が、彼女をどう育てるかも気になるところ。さらに、オーディション合格同期の麻倉もも夏川椎菜と共にユニット“TrySail”も始動して、これからにますます期待だ。 雨宮が正統派なら、超個性派といえるのが上坂すみれ。上坂は2011年に声優デビュー。
2013年には、『波打際のむろみさん』主題歌の「七つの海よりキミの海」でアーティストデビューを果たし、シングル5枚、フルアルバム1枚、企画アルバム1枚をリリースしている。上坂のアーティストとしての魅力は、趣味性の高さ。ロシアや旧ソビエト連邦の文化、言語に精通している点もユニークだが、音楽の趣味も年齢にふさわしくないマニアックぶり。

 アニソン以外にも大槻ケンヂ(筋肉少女帯)、戸川純、ザ・スターリン、YMO、平沢進(P‐MODEL)といった80年代のパンク&ニューウェーブ、洋楽ヘヴィメタル、昭和歌謡、はては軍歌まで、20代前半の女子とは思えぬサブカルな好みが、彼女の音楽にも散らされている。昨年リリースのアルバム「革命的ブロードウェイ主義者同盟」の名の通り、今年は声優アーティスト界に独自の世界観で“革命”を起こしてくれることを期待したい。 そして、ポスト水樹奈々の一番手ともいえる大活躍を見せているのが花澤香菜だ。声優としても昨年1年間だけでレギュラー出演番組が25本を越える実力派だが、アーティストとしてもヒットを飛ばしている。彼女の音楽の魅力は、コンセプチュアルでクオリティの高い楽曲を提供していること。

 2012年からアーティスト活動を始めた花澤は、当初よりプロデューサーにROUND TABLEの北川勝利を迎え、“彼女のキュートな歌声を最もいかす”ため、本格的な渋谷系~ポスト渋谷系サウンドにこだわった。

 そのフェーズの集大成となる2ndアルバム「25」では北川のほか、元Cymbalsの沖井礼二、カジヒデキ、古川本舗ら、魅力的なアーティストとコラボレーションを実現。その後も世界で活躍するStudio Apartment、やくしまるえつこを作家に起用してテクノ・ダンス系のアプローチを試みるなど野心的な音楽制作を繰り広げている。

 水樹奈々がアニメファンになじみ深い“歌モノ”を抜群の歌唱力で極めた声優アーティストなら、花澤香菜は生粋の音楽ファンからも愛されるサウンド志向の声優アーティスト。
昨年末は、朝の情報バラエティ『スッキリ!』にも歌のゲストとして出演を果たし、お茶の間へのさらなる浸透も期待できる位置に。2015年の次なるステップが楽しみだ。(文:阿部美香)
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