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『魔法使いの嫁』で、一気に知名度を上げたヤマザキ。石井氏がその才能を知ったのは、オリジナル創作の同人誌イベント「コミティア」で『魔法使いの嫁』の原型を目にしたときだった。「すでに、エリアスという魔法使いのインパクトあるビジュアルや、主人公のチセとの関係性が出来上がっていて。ヤマザキ先生の世界観の片鱗のようなものが、同人誌につまっていました。私もファンタジーが大好きなので『これは!』と感じ、是非一度お会いしたいと思ったんです」。
『ITAN』での連載として、ヤマザキが提案したのが『フラウ・ファウスト』のアイディアだ。ゲーテの戯曲から着想を得て、少女の姿をしたファウストという、全く新たなファウスト像を描く大胆なストーリー。「ヨハンナ・ファウストという、不死の呪いをかけられた少女が主人公。彼女が契約を結んでいた悪魔メフィストが、とある事情で体をバラバラに封印されてしまい、ヨハンナがそれを取り戻そうとする。悪魔のパーツを探すという、ファンタジーのワクワク感もあり、なぜヨハンナがメフィストに会いたいのかというドラマ性にも惹きつけられました」。
『魔法使いの嫁』に続き、人と人ならざる者の関係性を描く。
あらゆる知識を吸収し、独自の世界観を作り上げているが、ヤマザキ作品の最大の魅力は「キャラクターの成長」と話す。「ヨハンナはミステリアスなキャラクターで、一見、ツンツンとしたクールな強い女。なかなか本心や弱い部分を見せてくれないので、『もっと素直なあなたを見せて!』と思いますね(笑)。でもそういったクールな面は彼女のほんの一部。他のキャラクターと関わりあう中で、他者を見捨てることができない優しさなど、彼女の秘める人間らしさや成長が浮き彫りになると思います」。
「ファンタジーではあるけれど、人間の成長や再生を通して、読者の方が一緒に心震える体験をしてもらえる作品の描ける作家」と絶大な信頼を寄せる。実際に会うヤマザキは「ものすごく気遣いの人」だそう。主人公をはじめ小さな妖精まで全てのキャラクターに愛情をたっぷりと注く様は、その人柄の表れかもしれない。大注目の漫画家・ヤマザキコレが綴る、ヨハンナの心の旅を是非、見届けてみては。(取材・文:成田おり枝)
『フラウ・ファウスト』第1巻は4月7日発売。