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2005年頃からネット上で自作曲を発表していたヒゲドライバー。そんな彼の名を一躍有名にしたのは、2008年にニコニコ動画に投稿した「Hello Windows」という動画だった。Windowsの効果音だけを用いて制作された楽曲は、その高いアレンジ力と斬新なアイデアから瞬く間に大ヒット。
しかし、「Hello Windows」はいわば「一発ネタだった」とヒゲドライバーは笑う。彼の本来の作風は、ファミコンなどで使われていたピコピコ音を使った「チップチューン」というスタイル。ネットを中心にじわりと人気が高まってきているジャンルだ。
そもそも、ヒゲドライバーがミュージシャンを志したのは中学生のときだった。「ミスチルやゆずに影響を受けて、大学進学後はサークルでバンドを組もうと思ったんです。でもそれはできなかった」
本気でミュージシャンを目指していたヒゲドライバーにとって、大学のサークルでは満足のいく音楽活動はできなかった。そこで、一人でもできる音楽を探し求めた結果、出会ったのがチップチューンだった。 「あのピコピコした音が大好きなんです。
ニコニコ動画での大ブレイクをきっかけに、ヒゲドライバーの名前は一気に広まることに。その一方で、彼自身は次第に行き詰まりを感じるようになったという。
「2011年くらいかな。CDを出してもそこそこしか売れなくて、ヒゲドライバーとしての限界を感じていたんです。そんなとき、声優の平野綾さんへの楽曲提供のお仕事をいただいたことがきっかけで、いろいろな仕事に挑戦することにしました。それまではチップチューンにこだわっていましたが、自分にできることを何でもやってみようと思ったんです」。
こだわりを捨てたことで仕事が急増。アニメやアイドルの楽曲も手がけるようになり、現在は仕事が途切れることのない毎日だ。TVアニメ『艦隊これくしょん ‐艦これ‐』のEDテーマ「吹雪」や、音楽ゲーム『REFLEC BEAT groovin!』の「打打打打打打打打打打」など、ますます活動の場は増えるばかり。
「依頼されて曲を作るのは大変だけど、いい経験になるし学ぶことも多いです。アイドルやアニメのファンにも自分の音楽を届けられるのは大きいですね。
最近では念願のバンド活動もスタートし、4月15日にはバンドとして初シングルのリリースも決定。ヒゲドライバーの勢いは止まらない。(取材・文・写真:山田井ユウキ)