ゴールデンウィークの風物詩として1993年以来、年齢問わず多くの人に愛されてきた映画『クレヨンしんちゃん』シリーズ。23作目となる『映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語~サボテン大襲撃~』では、なんと野原家がホームタウン春日部からメキシコに引っ越してしまうという驚愕の展開!? が待っている。
常に観る人々に笑いと感動を与えてくれる『クレヨンしんちゃん』の人気の秘密に迫る。

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 インタビューに登場していただいたのは、2005年の『映画クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ ブリブリ3分ポッキリ大進撃』で制作デスクとして参加以来、10年以上作品に携わっている吉田有希プロデューサー。「しんちゃん言葉」の監修ができるほどのツワモノだ。本作では、野原家が長年住んでいた春日部市からお引越しするというサプライズを仕掛けてきた。

 「今回は、大きく設定を揺るがすようなことをやりたいという気持ちがありました。それが野原家の引っ越しというアイデアでした」と吉田氏。このニュースは、朝日新聞など全国紙で取り上げれらるほど話題になった。一方で「ただ、引っ越しといっても、どこで何をやるかが重要。そういえばパニックものはやってないなぁ…ということでメキシコに引っ越してサボテンに襲われるという話になりました」と笑いながら語る。

 毎作、奇想天外なストーリーが魅力の『クレヨンしんちゃん』シリーズ。企画は「各社のプロデューサーや監督、ライターなどみんなが、大まかなものを出し合って、だんだんと絞っていく」という形式をとっており、原作者の臼井儀人さんが存命の時は、企画の前段階で、アイデアを出してもらったり、アドバイスをしてくれていたという。そんな臼井さんも今はいない。
吉田氏は「臼井さんに感想をいただいたりするのが、作る側の人間にとっては励みになっていました」と寂しそうな表情を見せる。 本シリーズの魅力を「続きものですが、過去にとらわれず、何でもできちゃうところ」と語る吉田氏。これまでの作品を見ても、ひろしがロボットに改造されたり“ケツだけ星人”が出てきたりとやりたい放題。それでも「意図的に指示を出したことはありませんが『野原家ファイアー』的なものは、クライマックスに向かっていく中で、どの作品にも入っていますね」と“一致団結”が欠かせない要素であることを作り手は自然と意識しているようだ。

 また吉田氏は「しんのすけが“何をやらかすんだろう”というのを皆さんは見たいんだと思う」と長年愛され続ける理由を語る。さらに、しんちゃん好きの子どもたちから「『妖怪ウォッチ』と『ドラえもん』と『しんちゃん』のコラボを見たいって言われたんです」というエピソードを披露すると「しんちゃんと絡むと、真面目な人はみんないじられちゃいますからね。それがどう出るか……」と「面白ければ何でもあり」と言いつつも、そのさじ加減の難しさを吐露した。

 「しんちゃんにいじらせるなら……(スタジオジブリの)鈴木敏夫さんなんかキャラクターが立っているから面白そうですね(笑)。『何でいつも下駄履いてるの?』とか……」。「何でもアリ」な「クレヨンしんちゃん」だからこそ、実現しても決して不思議ではない話だ。そんな映画『クレヨンしんちゃん』シリーズ最新作について「本編の見どころは語るに及ばずですが、強いて言うなら風間君とシロのエピソード、特に風間君を抱きしめに映画館に来てください」とおすすめポイントをアピールしてくれた。(取材・文・写真:磯部正和)

 『映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語~サボテン大襲撃~』は、4月18日より全国公開。
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