瓦15枚を頭突きで割るCMや、映画で見せるキレのあるアクションが印象的な女優・武田梨奈。そんな"動"な彼女が、初主演を務めた連続ドラマ『ワカコ酒』では、さまざまな場所にさすらい「女ひとり酒」を堪能するOLとして"静"の演技を披露している。
次々と新境地を見せてくれる武田に、お酒にまつわるエピソードや、人気女優になった今でも空手をライフワークとして続ける理由を聞いた。

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 「強いイメージの武田梨奈を裏切っていきたい」と2015年の目標を掲げていた武田。本格的アクション女優として、我が道を邁進する姿は美しくもあるが、やはり最も似合う形容詞は"強い"だろう。しかし、本作では独白を中心に、表情や柔らかい動きで感情を表現する演技が求められる。

 「最初に台本を読んだ時、心の声が中心だったので、どう表現したらいいかが課題でした。でも食べ物を前にすると、人と話すように自然と対話ができたんです」。劇中、武田演じるワカコの心の底から湧き出る「美味しい」表情と「ぶしゅー」という擬音は見ているものの胃袋を刺激する。"強い"武田梨奈とはかけ離れたイメージだ。

 「撮影では実際にお酒も飲んで、食事もしているんです」と舞台裏を明かしてくれた武田。「お酒はそれほど強くないんです。飲むとすぐ眠くなっちゃうので……」と語ったが「でも最近、地元の友達と久々に集まった時は飲み過ぎちゃって、壁に思い切り頭をぶつけて凄い腫れちゃったんです」とお酒にまつわる失敗談を披露してくれた。 映画に限らず、ドラマやCM、バラエティーと引っ張りだこの現状については「ブレイクって言っていただけるのはすごく嬉しいのですが、自分ではあまり意識していないですね。
今まで通り一つ一つのお仕事を一生懸命させていただいています。唯一変わったことと言えば、色々な人に知ってもらえてことですかね」と分析。

 認知度が上がったことで、少し大変になったこともあった。「現在も、仕事の合間に空手の大会に出させてもらっているのですが、試合中に『ピローン』って動画を撮る音が聞こえるんです(笑)。昔は自分だけの戦いだったのですが、今は『私に憧れて空手を始めました』って言ってくれる子供たちの前では強い自分でいたいので、変なプレッシャーを感じてしまって……」と苦笑い。

 武田にとっての空手──。女優として忙しい中でも、大会に出場する理由とは。「女優だとアクションの現場で気を使われることがあるんです。でも私はそれが嫌で……。もちろん怪我をさせてはいけないという配慮なのですが、『武田なら、他の女優さんでは出来ない近い距離でアクションが出来る』って思ってもらいたいんです。そのために鍛えているし、アクションチームの方々と一緒に練習もさせてもらってるんです」。

 見た目や口調の柔らかさとは裏腹に"アクション"について語る武田は、やはり"強い"イメージだ。
夢は世界のアクション映画に出演すること。そして憧れのジャッキー・チェンとの共演だ。「以前、香港国際映画祭に行った時、ジャッキーさんの事務所にプロフィールを持っていったのですが、会えなくて……。昔はジャッキーにボコボコにされたいって思っていたのですが、今は師弟関係で共演できたら嬉しいです」。

 また、いつかは映画製作にも関わってみたいという武田。「監督やカメラは全く分からないのですが、ゆうばり(国際ファンタスティック映画祭)でクリエイターの方たちとお話をすると、皆で映画を作ることの素晴らしさを感じます。私の弟(武田一馬)もアクション俳優をやっているので、いつか一緒にすごいアクション映画を作りたいです」と野望を語ってくれた。(取材・文・写真:磯部正和)

 ドラマ『ワカコ酒』DVD‐BOXは5月1日発売、DVDレンタルは5月2日開始。
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