全世界累計発行部数5000万部を誇る超大ヒットコミックを実写化し、様々な物議を醸している『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』。配役にも大きな注目が集まる中、映画のオリジナルキャラクター・シキシマ役を演じたのが、長谷川博己だ。
当然ながら、原作ファンからは「シキシマって誰?」との意見が飛び交ったが、長谷川自身はどのような意気込みで挑んだのだろうか?

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 突如現れた巨人と人間との壮絶な戦いを描く本作。原作者・諫山創の協力のもと、原作をベースに新たなキャラクター、ストーリーを構築した。シキシマについて長谷川は、「指導者として、エレンや他のキャラクターにとっての指針となるポジションでいなければいけないなと。達観しているところがないといけないと思っていました」と分析。カリスマ性あふれるキャラクターを作り上げた。

 映画版新キャラクターとはいえ、“人類最強の男”との呼び名がついたシキシマ。原作ファンにとっては、ある人気キャラクターを想起させるものだ。すると、撮影前に原作を読んだという長谷川は「リヴァイですよね」と即答。「実はリヴァイに人気があるというのは、撮影が終わってから知ったんです。ものすごい女性に人気があると。終わってから聞いてよかったかもしれないですね」と穏やかに微笑みながら、正直に明かす。

 続けて「特にプレッシャーを感じることはなかったです」とキッパリ。
「僕が演じたのは、リヴァイとは全く違う新しいキャラクター。“こうでなければならない”ということがないので、自由に演じさせてもらいました。僕にとっては脚本に書いてあることが全てですし、映画は映画。あまりそこに因われ過ぎるのもよくないという気がしていました」。 前篇が公開となった今でも、謎の多いキャラクターだ。後篇ではエレンとシキシマの関係性が大きな鍵を握り、「壁を破壊し、世界の真実を知りたい」というテーマに向かって突き進むこととなる。二人の関係性については、どのように捉えて演じたのだろうか。「シキシマはエレンの影のような感じもある。エレンの純粋さとはまた違った方向から、世界を見ているということを意識していました」。後篇ではエレン役の三浦春馬と殴り合いとなるシーンもあるが、「マジでやり合いましたね。春馬くんも本気でくるので、こちらも本気で返して。いいシーンになったと思います」とガチンコの掛け合いに大満足の表情を見せる。

 
 賛否両論を巻き起こしている本作だが、実写として登場した巨人の迫力には誰もが驚いたはず。長谷川も「とにかく面白かったですね。最初の20分ですでに心の中で拍手をしていました。特撮とCGがプラスされた映像。さらに生身の人間が演じる巨人。手作り感を残しつつやった方が、これだけ怖いものができるんだということが再確認できた。僕らが子どもの頃に虜になった、レイ・ハリーハウゼンの世界が蘇ったよう」と樋口真嗣監督の手腕に舌を巻き、「あんなにバリバリと人を喰べるなんて、樋口監督は相当、嫌なことでもあるのかな。いろいろ溜まっていたのかも」と笑う。

 「僕は、子どもが観てトラウマを与えるような映画に出たい、作りたいと思っていたんです。そういう意味でも本当にこの映画に参加できてうれしいんです」と役者人生においても、宝物のような作品となったそう。「僕も、3、4歳の頃に(スティーヴン・)スピルバーグの『インディ・ジョーンズ』を映画館で観て、人が溶けたりするのを観てしまって。ものすごく怖くて眠れなくなってしまうくらいだったのに、それが気になって仕方がなかった。
結局、そのトラウマのおかげで映画の虜になってしまったわけです。何かを観て、変わっていくというのはすごく大事なこと。そういう力のある作品になったと思います」。(取材・文・写真:成田おり枝)

 『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』は公開中。『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』は9月19日より公開中。
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