秋アニメで大いに世間を騒がせているのが、『おそ松さん』だ。第1話からパロディ満載のぶっ飛んだ内容で突っ走り、第3話では修正騒動を巻き起こすなど、いろいろな意味で目の離せない展開になっている。
藤田陽一監督作品とあってアニメファンとしては、「またやっちまったな」とニヤリとしてしまう人も多いはず。そんな藤田監督とは何者なのか!?

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 『おそ松さん』第1話を振り返ってみると、昭和顔の兄弟たちが登場し、「大丈夫かな、僕たち昭和のアニメだよ。いまさら人気でるかな」と不安を訴えるところから物語がスタート。「いい作戦がある」と話し合い、『うたの☆プリンスさま♪』『ラブライブ!』などなど数々の人気アニメのパロディを炸裂させた。

 アニメ界への自虐的ギャグともいえる展開には視聴者も騒然。予想を超えたハチャメチャな内容にワクワクとさせられたもの。しかしこの度、第1話が製作委員会の判断によりブルーレイ&DVDに未収録となることが決定。「パロディをやり過ぎたのか?」と話題となった。本作が世間を騒がせたのはそれだけではない。

 第3話では、『それいけ!アンパンマン』をパロディ化した「ほれいけDEKAPAN‐MAN」が出現。ヒーローに扮したデカパンマンが、パンツから茶色いかりんとうを差し出すといった内容だったが、BS放送時には修正対応を入れるなどひと騒動に発展。テレビ東京の高橋雄一社長が「オリジナルへの失礼な行為だった」と説明した。
 パロディや下ネタがヒートアップしている本作。指揮をとっているのは、大人気アニメシリーズ『銀魂』の世界観を作り上げた藤田陽一監督だ。そして『銀魂』こそ、アニメオリジナルの要素として、時事ネタやパロディ、ギャグをふんだんに入れ込み、ファンの心を鷲掴みにしたシリーズだ。『ワンピース』や宮崎駿アニメなど国民的アニメだけでなく政治家もいじるなど、きわどいところを攻め続けて伝説となっている衝撃回も多数ある。

 藤田陽一が監修を務め、2015年4月に再開したアニメシリーズも「これぞ『銀魂』!」と爆笑とともに迎えられた。『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』が大ヒットした後の放送となり、冒頭では主人公の銀時が謝罪会見を開催。フラッシュを浴びる中、「完結しなくてすみませんでした!」とある人を想起させる不審な挙動を交えながら謝罪したのだ。映画界やテレビ界にありがちな「やめるやめる詐欺」への強烈な自虐を、開き直りぎみにお見舞いするとは!さすがである。

 『おそ松さん』しかり、どこまでのパロディ&下ネタがOK?どこまでが怒られない範囲なの?という話題を投げかけてくれているのが藤田監督といえそうだ。そんな藤田監督が2016年に放つのが、Eテレで放送される『クラシカロイド』。『銀魂』と同じくサンライズが制作を担い、「ベートーベンやモーツァルトなど歴史を彩る大作曲家たちが、もしも突然、現代に現れたら」という設定で毎日の騒動を描くオリジナルアニメだ。一体、藤田監督がEテレを舞台にどんな話題を投げかけてくれるのか。
今から楽しみで仕方がない。
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