【関連】『ルパン三世』『ヤング ブラック・ジャック』『おそ松さん』ビジュアル拡大
まずは、モンキー・パンチによる原作マンガをアニメ化した『ルパン三世』。実に30年ぶりに新テレビシリーズとしてルパンが帰ってきた。よい感じに昭和テイストを表現した絵にグッときて、そこで流れるあのテーマ曲。本作で使用されているものは、生みの親である大野雄二が自ら新アレンジしたものであり、心が踊らないわけがない。そのほかストーリーを彩るサウンドもこれまでのルパンシリーズ同様に大野が手がけ、シビれるようなルパンワールドへと誘ってくれる。
ルパンといえば、軽快なユーモアとアクションを交えた粋な泥棒たちの活躍。そこに味付けされる人情が人々を惹きつけてやまない。新シリーズのオープニングには「片目で見ると映像が立体的に見える」という仕掛けが使われているが、こんな仕掛けまでなんとも粋ではないか。 続いて、手塚治虫の生み出した孤高のヒーロー、ブラック・ジャックの若かりし頃を描く『ヤング ブラック・ジャック』。「ヤングチャンピオン」(秋田書店)で連載中の同名コミックを原作に、ブラック・ジャックがなぜ無免許で法外な金額を要求する闇医者となったのかに迫る意欲作だ。第1話を見た人は、誰もが「こんな肉体していたの!?」とその肉体美に目を奪われたはず。恥ずかしながら、細マッチョで傷だらけのワイルドな肉体を見せつけられソワソワとしてしまったものの、安心してください。
『ブラック・ジャック』は医師免許を持っていた手塚が一定の価値観でははかりきれない命の尊さを描き、「なぜ生きるのか」という生命賛歌を必死にうたいあげた傑作だ。ぜひ、若きブラック・ジャックが抱く命に対する葛藤に注目したい。 そして最後に、赤塚不二夫の破壊的ギャグに挑戦した『おそ松さん』。人気の豪華声優陣を配した6つ子がどのように描かれるのか?「昭和のアニメだよ、大丈夫かな」との6つ子の心配は視聴者も同じだったはず。ところが放送が開始するや、『うたの☆プリンスさまっ♪』『ラブライブ!』『ハイキュー!!』など近年の人気アニメパロディのオンパレードを交えた遊びすぎ、やりたい放題の内容でその心配はぶっ飛んだ。まさに「シェー!」である。
とりわけ1話で驚かされたのが、「赤塚先生、怒っていないかな」と視聴者の言葉を代弁したようなセリフに、「平気だよ、だいぶ前に死んだから」と話すシーン。しかしこれは、フジオプロのアイディアであったことがイベントで明かされている。思えば、常識をぶっ壊してなんでもかんでもめちゃくちゃにすることこそ、赤塚不二夫のスタイル。生誕80周年にふさわしい作品になったといえそうだ。
太い幹をもった作品はどんなことをしてもブレずにしっかりと立ち、また新たな芽が吹くもの。