『DEATH NOTE』や『バクマン。
』など大ヒット漫画を世に送り出してきた大場つぐみ小畑健のコンビが、ジャンプスクエア12月号で最新作『プラチナエンド』の連載を開始した。『バクマン。』連載終了から約3年半──。ファン待望の新連載までの経緯や作品の見どころなどを、担当編集者の吉田幸司さんに語ってもらった。

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 大場と小畑が『バクマン。』以来、3年半ぶりのタッグを組んだ『プラチナエンド』。本作は、中学校の卒業式当日、同級生が卒業に浮かれるなか独り中学校を後にする、架橋明日(かけはしミライ)を主人公にした人と天使の物語。

 吉田さんは、03年12月から06年5月まで「週刊少年ジャンプ」で連載されていた『DEATH NOTE』以来、久々に大場&小畑コンビと組むことになった。「『DEATH NOTE』の連載が終わったあと、担当が変わり、その後、僕が他の雑誌に異動になったりということがあったのですが、大場先生小畑先生とは『機会があればまた一緒に……』という話はしていたんです」。

 その後、大場&小畑コンビは、「週刊少年ジャンプ」で同誌を舞台にした『バクマン。』を連載。本作に吉田さんは関わってはいないが、作品には同姓同名の編集者が登場するなど関係性は垣間見られる。
「『バクマン。』には漫画内漫画がいろいろ出てくるのですが、その中では使われなかったのですが天使の話も考えていて“翼”と“矢”というアイテムがあったと。『バクマン。』が完結したあと、充電期間を経ながら、徐々に盛り上がっていったという感じですね。大仰な言い方をすれば構想4年でしょうか。4年間ずっと考えていたわけじゃないでしょうけれど(笑)」。

 出来上がった作品は「幸せ」をテーマに、大場のつくりだす世界観と小畑の持つ壮大な作画が展開される。「ご本人がどう思っているかはわかりませんが、大場先生の魅力は、世の中の多くの人の感情をつかむのがうまい。もちろん完全にすべての人が同じ、ということはないわけですけど、多くの人が『こうだったら…』と思うことを表現するのが上手だと思います」。 一方、小畑の魅力については「漫画家だなって思いますね。小畑先生は絵がむちゃくちゃすごいわけですが、画家やイラストレーターじゃなく、やっぱり漫画家なんです。絵になくて漫画にあるのはコマ割りなんですが、そこがすごいですよね。
あとは次々と新しいものを描こうという気持ちが強いんです。『プラチナエンド』は天使が重要なモチーフの作品。普通なら『DEATH NOTE』、ゴシック的な天使が描かれると思うのですが、違うものを考えるんです。この作品の天使は幾何学的モチーフを使っていますよね。そういう部分がすごいなって思います」。

 吉田さんにとって、月刊誌で連載をスタートさせるのは本作が初めてだという。「やっぱり週刊誌とは全然違うなって印象がありますね。週刊誌はだいたい20ページぐらいで、月刊誌は45ページ以上ある作品も多いです。そうすると、話の起伏を考えるのも違います。あとは読者の方々が次を読むのが1ヵ月後なので、その期間、満足感を持続してもらうものを作るのって大変だなって思いますね」。

 過去、大場&小畑コンビの作品はアニメ化、実写映画化などさまざまなメディア展開が行われている。「基本的には編集者は作家さんへの窓口ですね」と役割を語る。
さらに「個人的にはアニメでも映画でも、メディアミックスして広げてもらえるようになった場合、そのメディアの面白さの核がどこにあるのかということが聞きたいですね。漫画、アニメ、映画、連ドラってそれぞれ別物で、面白さのポイントも違うと思うので……」と付け加えた。

 「『DEATH NOTE』も『バクマン。』も主人公の人生を描いているという共通点があります。『プラチナエンド』もそこは同じで、天使のついた人間ってどんなものなんだろうという部分を掘り下げていきたいですね」と語ってくれた吉田さん。生きることに希望を見つけられない主人公・架橋明日(かけはしミライ)の先に続く人生に注目したい。(取材・文・写真:磯部正和)
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