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本作は、NEWS加藤の原作を第53回岸田國士戯曲賞受賞の作家・蓬莱竜太が脚本化し、『GO』『世界の中心で、愛をさけぶ』などの俊英・行定勲監督がメガホンを取ったミステリー仕立ての青春ドラマ。売れない俳優・河田大貴は、幼なじみの人気俳優・白木蓮吾が急逝したことにより、一躍世間の注目の的に。白木の死は自殺か、それとも殺人か…。その死に立ち会った河田は、白木の遺言に従って彼の自伝を書き始める。
前半、後半で内容が大きくシフトチェンジする本作は、「王道の青春映画ではない」と夏帆が言うように、とんでもない変化球で、観客は一瞬、何が起きたのかわからないほど驚き、そして動揺する。「撮影している時から完成が楽しみだった。私たちは内容を知っているので、『おお、来た来た!』っていう感じで観てしまうけど、先入観のないお客さんはどんな反応を見せるのかな」と興味津々の様子。
ネタバレ厳禁、仕掛け満載の本作で、真逆の女性を見事に演じ分けた夏帆だが、清楚な女性から奔放な女性の変貌は、「観ている人が、え?急にどうしたの?って驚くぐらい極端に振り切った」と述懐する。中島との大胆なラブシーンにも挑戦しているが、これについては、「中島くんとはデビュー当時に共演していて、『まさか二人でこんなシーンをやるとは思わなかったね』っていう話はしました。お互い躊躇なくぶつかり合ったので、いいシーンになったと思います」とキッパリ。 女優としてのプロ意識が発言の節々に感じられる夏帆だが、中島と菅田との微妙な三角関係には、一人の女性として「憧れる」と目を輝かせる。
2015年は、是枝裕和監督の『海街diary』でカンヌ国際映画祭のレッドカーペットを歩くなど、世界にも視野を広げる飛躍の年となった夏帆。行定監督と組んだ本作でも体当たりの演技を見せ、女優として一皮むけた感もあるが、本人からは浮き足立ったところは全く見られない。「カンヌはとても刺激的でした。これからも真摯に作品と向き合って、夢は大きく自分の可能性を試していきたい」。意外と小さなことでウジウジ悩むと嘆くも、肝の部分は揺るがない得体の知れない強さを感じる。2016年の夏帆から目が離せない。(取材・文・写真:坂田正樹)
映画『ピンクとグレー』は2016年1月9日より全国公開。
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