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「ウルトラマン」との出会いについて樋口監督は、「僕らくらいの年代は、第1次ブームと第2次ブームの谷間になるんですが、谷間だから何もないかというと大間違い。『ウルトラファイト』(TBS系にて1970年~1971年にかけて放送)というミニ番組が放送されていて、それが最初の出会いでした。ウルトラマンと怪獣の戦いのシーンのみを編集するというウルトラマンシリーズの“原液”みたいな番組でした」と当時を懐かしそうに振り返る。
そんな樋口監督が携わったハリウッド製作の『ウルトラマンパワード』がブルーレイで発売されることになり大反響を呼んでいるが、当時は思ったものを作ることができず悔しい思いをしたという。「簡単に言うと、我々がデザインしたものをその通り作っているか監視する役目だったんですが、間違っていると指摘はできても、やり直せと命令することは契約上できませんでした」と苦笑い。
さらに、そこには、もう一つ裏話があったようで「当時、超合金の父と呼ばれたバンダイの村上克司さんが渡米前に、ウルトラマンのデザインをしてくださったんですが、それが科学特捜隊のクルマが変形してウルトラマンの顔になるという斬新なもので(笑)。脚本を直さなきゃいけない程の大変更になるのでこれはちょっと…と思って、間際で阻止しました。まあ、大変なことが多かったですね」と、当時の苦しい思い出も楽しそうに語る。
一方、再放送で観た初代の『ウルトラマン』が大好きだという田口監督は、「初代『ウルトラマン』は全てが詰まっている作品。迷うと必ずここに戻りますね。変化球を求めている時は『ウルトラセブン』。マンとセブンを行ったり来たりしながら、ベースは『ウルトラQ』にある、といった感じでしょうか」と、こちらも満面の笑顔。
また、『ウルトラマンオーブ』の放送が始まり、ネットで様々な評価が飛び交っていることに関しては、「(新しいことに挑戦している作品なので)いろんな意見があると思いますが、批判を気にしておっかなびっくり作るんじゃなくて、文句を言う人も含めてツッコミを入れながら観てほしいですね。“批判は愛情の裏返し”くらいの気持ちで作っています。」と、力強く意気込んでいた。
両監督に共通していることは、とにかくウルトラマン、怪獣、特撮が好きという気持ちだろう。好きという気持ちが強いからこそ、何十年もの歴史がある作品の監督を務めることができ、様々なプレッシャーを跳ね除け、新しいものを想像できるのではないだろうか。そして、例え、厳しい意見や辛い状況を経験したとしても“大好きなモノの一部”として楽しそうに話してくれる。日本が世界に誇る“特撮”を受け継ぐ両監督から学ぶことはまだまだありそうだ。(取材・文・写真:坂田正樹)
テレビシリーズ最新作『ウルトラマンオーブ』はテレビ東京系にて、毎週土曜あさ9時から放送中。映画『シン・ゴジラ』は7月29日より全国公開。また、樋口監督が制作に携わった『ウルトラマンパワード Blu-ray BOX』は現在、予約受付中。