端正なルックスと下ネタを憚らないキャラクターで、性別や年代を問わずに人気を集める俳優・沢村一樹。10月から放送開始となる主演ドラマ『レンタル救世主』では、依頼を受ければ何でも解決する救世主に扮する沢村だが、自身はある“転機”がなければ「今頃たぶん、芸能界にいないと思います」と明かす。
果たして、その理由とは?

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 『レンタル救世主』は、沢村扮する主人公・明辺悠五が、会社をクビになって借金を背負った後、どんな依頼も解決する「レンタル救世主」として再就職し、様々な依頼を解決していく姿を描くドラマだ。撮影を楽しんでいると話す沢村だが、救世主は楽に務まるものではないらしい。「人がピンチに陥るくらいのできごとに関与するのが我々レンタル救世主の役目なんですが、ピンチの時って撮影が結構大変なんですよ(笑)。2話での屋上のシーンは大変だったし、1話では亀甲縛りもされましたから。縛りの先生が来て、生まれて初めてやっていただいたんです」。

 インタビュー中も下ネタと笑顔が絶えない沢村だが、過去には仕事に悩んだことがあると明かす。「結婚して間もない頃に、仕事に対するやる気みたいなものが、一瞬消えかけたことがあるんです。実際に役者という仕事に就いて嬉しかったんですけど、物足りなさのような、心にポカンと穴が開いた時期がありました。32歳くらいの頃だったんですけど、その時に昔からの友人の子から、『撮影があるから、とりあえず台詞を覚えて言って、次の台詞を覚えて言ってという感じで、仕事をこなしている感じに見える』と言われたんです」。

 この経験が、沢村の転機になったという。「衝撃的でした。それで、『じゃあどうやってこなす以外のやり方をしているの?』と聞いてみたら、『ちゃんとやってるな』って痛感しました(笑)。
提案されたものに対して自分の意見を言えるように、色々なことにアンテナを張って自分の中に取り入れたり、良いと思ったものをどうやったら理解してくれるかというプロセスもすごく大事にしているんです。皆で何かをやるときにも、皆が同じ方向性を共有するにはどうすればいいんだろうと考えたり。あの一言は、今でも影響を受けています」。 悠五と同じく妻帯者で、2児の父でもある沢村にとっては、家族の存在が仕事をする上で欠かせなかったそう。「父親をやらなければならないし、夫もやらなければならないということを考えると、勝手に変わっていくんですよね。僕の場合は、それがすごく良かった。結婚していなかったら、今頃たぶん、芸能界にいないと思いますね。皆が住んでいる社会の中にいられるのは、そのおかげな気がするんですよ」。

 第1話で悠五は、人生最大と言ってもいい程のピンチを迎える。そこで、沢村の人生最大のピンチを聞いてみた。「『MEN’S CLUB』という雑誌の専属モデルになって、仕事がバンバン入ってくるようになって、当時の同級生たちに比べれば、2倍3倍という収入があったんですけど、その時が一番悩んでいました。というのも、役者をやりたかったので。
毎日が楽しくて、お金もいっぱい入って来る。でも、こんなことがいつまでも続くわけがないし、やりたい仕事はこの仕事じゃないっていう思いがあって(笑)。自分が目指している方向に、全然行けていないという不満と不安で、当時が一番寝られなかったですね」(取材・文・写真:岸豊)

 『レンタル救世主』は、10月9日(日)22時よりスタート。初回は30分拡大。
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