2016年新語・流行語大賞にトップ10入賞をした「聖地巡礼」。映画やドラマなどのロケ地や舞台となった場所を実際に訪れることを指す。
一部のファンの間では以前から行われていたため、とりわけ珍しいことではないが、新海誠監督の映画『君の名は。』の大ヒットとともに、登場した場所に人々が多くつめかけ、再び「聖地巡礼」という言葉が脚光を浴びた。そんな聖地巡礼の魅力を、先日、関係者向けの試写会が行われた、次なる“聖地”注目作『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』に登場するシーンと共に紹介しよう。

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 2016年、聖地巡礼について語るのであれば、『君の名は。』に触れないわけにはいかないだろう。舞台となっている糸守町のモデルは岐阜県の飛騨市といわれている。さらに東京都内にある「聖地」もすでに特定され、多くの人が足を運んでいるという。実際に訪問した人々は、ブログやツイッターに、映画に登場した景色と同じ風景写真を投稿して楽しんでいる。

 2017年公開作品で、聖地巡礼作品として注目されそうなのは3月18日公開の『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』。『攻殻機動隊S.A.C.』や『東のエデン』の神山健治監督による初の劇場オリジナル作品だ。神山監督自身が、プライベート旅行で訪れた岡山県倉敷市児島を映画の舞台にしたいと強く思ったことがきっかけとなり、物語の中心舞台として描かれている。
また。主人公のココネを高畑充希が演じることでも話題となっている。 実際の作中のシーンでは、美しい瀬戸内海とどこまでも続く雄大な瀬戸大橋、歴史ある白壁の町並みや、豊かな自然が美しいタッチで描かれる。試写を観て“聖地巡礼”の一つに数えられると感じた印象的なシーンがいくつかあった。その一つに、主人公ココネが当たり前のように日々を過ごす町並みがある。ココネが、生い茂った緑に半ば侵食されるように立つ電柱と漆喰の壁の横を歩く。少し舗装にガタがきているアスファルトに足を取られながら、出会う人に挨拶をかわし、学校への坂道を下りていく。そうこうしているうちに視界が開け、眼前に広がる穏やかな瀬戸内海と、瓦葺の家々。そして町をまたぐように悠然と伸びる巨大な瀬戸大橋。

 同描写を観ると、実際にココネと同じ道のりを歩いてみたいと思うほど美しく描かれている。作中に登場する瀬戸大橋は、とても雄大で、写真や映像で観るものとは趣が異なり、改めて実物を見に現地を訪れてみたいと感じる。

 おそらく作品の中に登場した場所を訪れると、作中では描かれていない登場人物の日常生活の“余白”を想像することができるのではないだろうか。
作品の舞台を訪れることで、自分自身が作品の登場人物の一人になったような気分が味わえる。それは最高の体験だ。だから僕らは大好きな作品の聖地巡礼をするのかもしれない。

 2017年、『ひるね姫~知らないワタシの物語~』が次なる『君の名は。』と呼べる“聖地巡礼”作品になりそうである。

 映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』は2017年3月18日より全国公開。
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