木村拓哉と三池崇史監督がタッグを組むことでも早くから注目を集めるアクション『無限の住人』が公開された。沙村広明の壮大な人気コミックをもとに、100人斬りの異名を持つ不死身の剣士・万次を演じる木村と、親の仇討を誓い、万次を用心棒として雇う少女・凜を演じた杉咲花にインタビュー。
杉咲が現場で驚いた木村の居住まい、木村がいつも大事にしている思いとは?

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 杉咲が「三池さんから原作をリスペクトしたいというお話しをいただいて、その言葉を一番大事にしました。それから、これはどの現場に携わらせていただくときもそうですが、私はもともとすごくドラマが好きで、演技がしたくてこのお仕事を始めたので、本当にいい作品にしたいという思いだけでした」と作品に臨む際の気持ちを明かすと、“好き”という言葉に木村が反応した。

 「“好き”ってすごいエネルギーだと思いますよ。僕らは本当に特殊なことをやらせていただいていると思いますが、根底に好きという気持ちがないと絶対に無理だと思う。次に大事なのが、一緒に仕事をする相手のことを信じられるかどうか。好きという気持ちを感じさせてくれるだけじゃなくて、その中に熱があったり芯があったり。どんだけ強い風を吹きつけても全然火種が消えないというか。そういうものを感じられると信じられる。共演者だけではなくて、スタッフも含めて。そういう思いがどんどん波紋のように広がっていくのを感じて、みんなを信じられる現場はすごく恵まれているし、三池組は間違いなくみんなに同じものが見えていました」。

 そう話す木村の現場での居住いに、杉咲はいつも驚かされていたという。「カメラに私しか映っていないときでも、目線に万次さんがいるときは、必ず木村さんがカメラの奥に立っていて、お芝居も全部してくださるんです。
それは全員ができることではないと思います。それに、木村さんは誰に対しても相手を尊敬しながら接している。だからスタッフキャストのみなさんも木村さんを尊敬していて、どんどん現場が高まっていくのを感じました」。 木村自身は、「自分としては柱になっている感覚はない。真ん中だろうがどこだろうが、そこは別に関係ない」というが、常に心に置いていることはある。「周囲に対する感謝かな。自分たちが撮影する場所から数キロ離れた畑のあぜ道のところで、車止めしてくれているスタッフがいたり、僕等が撮影しているこの場所に、煙がふわ~っと漂うように、800メートルくらい離れた山の中で、発煙筒を持って走ってくれている人がいる。ちゃんとそういう人たちを感じないと違うかなとは思っています」。

 木村の話に耳を傾けながら、「凜にとって万次さんはすごく大事な人ですが、木村さんが万次さんで本当によかった」と話す杉咲。そんな彼女のことを木村も「1本背負い食らった感覚だった」と称えた。

 「テクニックだけじゃなくて、ちゃんと気持ちがある。1本取られたあとの作業は楽しいに決まってる。
杉咲花っていう女優さんがもたらしてくれた色がなかったら、この配色にはなってないです」。そして撮影の日々を振り返った。「自分は、万次をやりきるだけでしたが、それは死にもの狂いでかかってくる相手にどう向き合うか、そしてとにかく彼女を守り切るということでした。本当に幸せな期間でしたけれど、そこに立ち続けることが、結果挑戦でしたし、挑戦のし甲斐がありましたね」。(取材・文・写真:望月ふみ)

 『無限の住人』は4月29日より公開中。
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