声優・俳優として活躍する高木渉が、『DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団』に参戦。スーパーヒーローズのひとり、サイボーグ役として渋い存在感を発揮している。
豪華声優が顔を揃えたことでも話題の本作。俳優を本業とする山田孝之や安田顕、知英。そして高木を始め鈴村健一松本梨香ら声優陣が一緒になって爆笑必至の映画を盛り上げている。高木にインタビューし、俳優と声優の“垣根問題”について思いを明かしてもらった。

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 スーパーマンやバットマンらが属する“ジャスティス・リーグ”が東京に出現。日本の低予算Flashアニメ『秘密結社 鷹の爪』とまさかのコラボを果たした。高木はもともと『秘密結社 鷹の爪』が好きだったそうで、今回のオファーに大喜び。本シリーズでは、制作者のFROGMANが一人で複数のキャラクターを演じているが、高木は「声優としても刺激を受けます」と告白。「総統と吉田くんなんて、まったく別人。FROGMANさんは語尾やしゃべるスピード、強さなどキャラクターの演じ分けがブレない」と驚くことしきり。

 高木も『名探偵コナン』で高木刑事と元太役の2役を演じている。「僕の場合、高木刑事から元太になるときは子供っぽくちょっと崩すようにやるんですが、それは比較的やりやすくて。
でも元太から高木刑事になるときは、二枚目になるようなスイッチを入れなければいけない。FROGMANさんは、どうやっているのか聞いてみたいです。あれを同録でやっていたらすごいですよ!声質が同じでも、演じ方でみんな別人に見えてくるので、声の演技って本当に面白いものです」。

 “ジャスティスリーグ”の声優陣については、「鈴村(健一)くんもスーパーマンぽくて面白かったし、(松本)梨香さんのワンダーウーマンもステキだった。山田孝之さんのバットマンは、“これ、山田さんなの!?”と思うくらい。最初はわからなかったですね」と「面白いキャスティング」と大いに楽しんだ様子。

 「山田さんはもともとバットマンがお好きだったようで、そのバットマン像が込められたような、影のあるステキなバットマンだった。ジョーカーを演じた安田顕さんも、すごく面白かった。今までにないジョーカーだと思う」と彼らの名演に舌を巻くが、俳優が声優をやることについてはどのように考えているだろうか?すると高木は「僕は、その垣根はなくなってきているんじゃないかと思っているんです」と持論を展開する。 「俳優も声優も“芝居をする”ということに関しては同じ。ただスタイルが違うんです。アニメの場合は絵があるので、そこに乗っかって芝居をする必要がある。
絵も芝居をしてくれますからね。吹き替えだと、原音の俳優さんのクセや息なんかも合わせたりして、どこか職人的なのかもしれません。そのスタイルに慣れれば良いんだと思います。僕も映像は大河ドラマ『真田丸』からまだ2年足らずですから、現場やその撮り方に早く慣れていきたいなと思っています」。

 垣根や壁を作らず、未知の世界でも飛び込んでみることで可能性が広がる。高木自身、そう痛感している。「僕は本当に幸運でここまで来られました。お芝居って正解は幾つもあってもゴールがないじゃないですか。もっと芝居に説得力を持たせられないか、観てくださるお客さんに楽しんでもらえているか、いつも挑戦です」とその奥深さを語るが、そんな中モットーにしているのが「常に前向き」だそう。

 「常に前向きでいれば誰かが見てくれているかもしれない。新しいことに飛び込むのは“怖いな”と思いますし、打ちのめされることもある。でも、挑戦したから出会えた人もたくさんいます。
三谷(幸喜)さんや草刈(正雄)さんとご一緒できるなんて、思ってもみなかったし、今回も鷹の爪団とチームを組めてとてもうれしかったです」。豪快に笑いながらも、しみじみと俳優業・声優業の奥深さ、歩んできた道のりについて語ってくれた高木渉。その誠実さが人々を惹きつけているように感じた。(取材・文・写真:成田おり枝)

 『DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団』は公開中。
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