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約5年間活動してきたアンジュルム卒業後は「少し休んでから歌やダンスのレッスンに通っていました」と明かしてくれた田村。当時は「お仕事も決まっていなくて、先が見えないまま『ただ実力を付けよう』ともがいていた気もします」と振り返る。
大きな転機となったのは、今年5月に上演された『minako‐太陽になった歌姫』での主演。かねてより憧れていたという今は亡き歌姫・本田美奈子.役を演じたが、当初は「尊敬していた方として舞台へ立つことへのプレッシャーがありました」と心境を吐露。しかし、稽古を通して「本田さんが大事にしていたものを私も大切にしよう」と気持ちを切り替えたことから、「それぞれの歌を通して『何を伝えたかったのか』と本質を考え始めるようになりました」と話す。
今月15日にはアイドルを卒業してから初めてコンサートにも出演したが、ステージで歌って踊るという共通点はありながら、アイドルだった当時とはやはり変化もあるという。例えば、発声の仕方はその一つで「背中の部分が固まっていると声の通りが悪くなるので、舞台の前には入念にほぐすようになりました。足元のアキレス腱であったり、全身の筋を意識するようになったのも変わったこと」と語る。
さらに、生活の中心が“歌”だと胸を張って話してくれたが、今では「ステージで自分の声が『ジリッ』とする瞬間が分かるし、それを避けるために規則正しく過ごすようになりました」と生活パターンが変化したことも明かしてくれた。 出演作の舞台『京の螢火』は、幕末を舞台に、京都伏見に生きた船宿「寺田屋」の女将・お登勢を中心に描いた人間ドラマ。坂本龍馬や有馬新七ら尊王攘夷派の志士たちを支え続けたお登勢を黒木瞳が演じ、田村は龍馬に恋い焦がれる少女・おりょうを演じる。
おりょうについては「人間としての芯が通っている女の子」と解説する彼女。黒木瞳や筧利夫ら大ベテランの役者が顔を揃えるなか、子役を除くと最年少であるが「大胆におりょうの気持ちを相手役の方やお客さんに思いっきり伝えられればと思っています」と意気込んでいる。
アイドルだった当時に培われたという“プロ意識”は健在でありながら「自分には歌しかないから、この声を大切にしていきたい」と力強く伝える彼女。「帝国劇場での『レ・ミゼラブル』への出演や、『ミス・サイゴン』でキム役を演じるのが夢です」と語ってくれたが、「歌を通して人の心にうったえかけられるアーティストになれるよう、もっともっと色々な人生経験もしていきたい」と真剣に伝えるそのまなざしは、さらに遠い未来を見据えているように感じられた。(取材・文・写真:カネコシュウヘイ)