俳優・市原隼人が、1月20日よりスタートする新ドラマ『明日の君がもっと好き』(テレビ朝日系)で、恋に冷めた造園デザイナーに扮する。「ジャズみたいに、色々なテンポで表現していく作品なんです。
視聴者の方を必ず裏切れるような衝撃を、土曜の夜にお贈りできると思います」と語る市原に、今年20年目を迎える役者業への想いや、11年ぶり3度目の共演となった伊藤歩との秘話を聞いた。

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 本作は、予想の“斜め上”をいく、新感覚のヒューマンラブストーリー。市原が演じるのは、恋に冷めた造園デザイナー・松尾だ。役柄の印象を問うと、市原は「亮は言葉にするのがすごく苦手な人間なんです。すごく繊細にいろいろなことを思っているがゆえに、言葉を一つ一つ選びきれないんですね」と語る。恋愛に冷めた姿勢については「求めているはずなんですよね。人のぬくもりとか、体とか。亮も、本来は求めていると思うんですけど、たまたまタイミングがないだけなのかな」と考えを明かす。

 そんな亮が恋するきっかけになるのが、ダメ男とばかり関係を持つため、恋を諦めかけている30代秘書・里川茜との出会い。茜に扮する伊藤とは、11年ぶりの共演だ。「『リリイ・シュシュのすべて』で共演したころからずっと面倒見がよくて、人間臭くて、僕だけじゃなくて他の方々にも気を配って、腹を割って話してくださるので、今回もすごく居心地がいいんです」と言うが、“大人のラブストーリー”での共演ということで、「やりやすさもありつつ、恥ずかしさもあります」と照れ笑いがこぼれる。

 人との繋がりが物語の主題となっていることに絡め、人と接する上で大切にしていることを聞くと、「亮もそうだと思うのですが、自分の経験で物事や人を見ていたいという気持ちは変わらないです。
周りからの情報を聞いて、目の前にいる人をその情報と同じ目線で見ようという気には、100%ならない。自分の経験で、自分で見た人を、ちゃんと捉えようという気持ちは、ずっと変わらないですね」と明かす。 自分という軸を据えて人と真摯に向き合う市原は、芝居とも誠実に向き合ってきた。そのキャリアの中では、役者であることに迷いを感じたことはない。「自分は役者しかできないんだろうなということしか考えていないですね。結局、僕はこの世界しか知らないから。どんなに小さい箱でも、道端でも、映画でもドラマでも舞台でも、何か表現を発信できる場所があれば、そこが自分の居場所だなと思っていて。僕の居場所は、芝居の中にしかないんです」。

 キャリアを歩む中では、共演者だけでなく、裏方のスタッフたちにも敬意を払うことを欠かさない。「役者は俳優部の一部であって、色々な部署がいる中の、横一列の一部なんです。そういう考えの役者でありたいというのは、変わらず思っていることですね」。その謙虚な姿勢のおかげか今年で芸歴20年目を迎えるが、役者を一生の仕事にすると決意した背景には、市原の芝居によって様々な悩みや不安が緩和されたファンからの手紙があった。
「『あ、このために役者をしているんだ』と。じゃあ、もっとやり続けなきゃ、死ぬまで役者でいたいなと思えたんです」。

 最後に、市原隼人の“これから”について聞いた。「今日と明日と明後日と、全部違う自分がいると思うので、その自分を全部認められるように。精一杯、現場一つ一つで、芝居一つ一つに向き合って行ける役者になれたらいいなというのが、今の気持ちですね」。語り口はクールだが、芝居への思いは熱く、深い。市原が明かす役者観からは、彼が20年にわたって支持されてきた理由が窺えた。(取材・文・写真:岸豊)

 土曜ナイトドラマ『明日の君がもっと好き』は、テレビ朝日系にて1月20日より毎週土曜23時5分放送。
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