全てを失った少女が、出会いを重ねながら、生きる意味を見つけていく…。映画、CMと活躍を続ける広瀬すずが、連続ドラマ『anone』(日本テレビ系)でヒロイン・ハリカに扮してこれまでにない表情を見せている。
脚本は同枠で高い評価を得た『Mother』『Woman』の坂元裕二によるオリジナル。早くから注目を集めていた本作を撮影中のスタジオを訪ね、広瀬に話を聞いた。

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 「『Mother』『Woman』を何回も観ていたんです。なにか、とても生々しいというか、感情が全部伝わってくるんです。あと、『最高の離婚』のセリフの掛け合いがすごくおもしろくて、どハマリしてたんです。後になって、脚本が全部坂元さんだったと知って。好きになるものってあるんだなって」。

 今回のオファーには、「『Mother』の方の脚本だよって言われて。『ええ~!』ってビックリしました(笑)。それから過去の作品を観直したりしてからクランクインしたんです」と笑顔を見せる。

 撮影前からの楽しみには、脚本のほかにも大きな存在があった。『Mother』『Woman』へも出演していた田中裕子との共演だ。
「撮影に入る前に、是枝裕和監督からメールが来たんです。『田中さんとのお芝居が一番楽しみです。本当にすごい方なので、色んなものを感じて刺激をもらって吸収してください』って」と、『海街diary』『三度目の殺人』で仕事をした是枝監督からの言葉があったと明かす。

 「監督がDVDも貸してくださって、20代の頃の田中さんのドラマなどをいくつか観ました。タンタンってスキップしているような軽さがあって、でも同時に粘り強い感じのお芝居で凄いなって。第2話の印刷所のシーンで、初めてたくさんセリフを交わしたのですが、是枝監督の言っていたことを肌で感じました。なんていうか、嘘がないというか。計算できないから、自分自身の返しも予想していなかったものになる。毎回、生の反応で次のセリフを忘れちゃうくらいです」と刺激を受けている真っ最中だ。 小林聡美、阿部サダヲといったベテラン陣とも共演。「3人で一緒に番宣に出させて頂いたりもしたので、そのときのお話しをしたり。3人とも猫を飼っているので、猫の話をしたりしています」とのこと。
広瀬の猫とは、本ドラマにも出演したアメリカンショートヘアの“あのさん”だ。

 「すごく元気で寝かせてもらえないんです」と、言葉とは裏腹に目を細める。「命を自分が預かって育てているって、責任あること、すごいことだなって。今は、自分が生んだんじゃないかって思うくらいに母性が出ています。とても可愛いです」とベタ惚れの様子。“あのさん”との出会いも、広瀬に影響を与えているようだ。

 気になるハリカたちの今後だが、広瀬も5話の脚本を読んだばかり。「『最高の離婚』の掛け合いが凄く好きと話しましたが、この5話にもみんなが集まって話したりするシーンがあるんです。坂元さんワールドが全開! 私もすっごく楽しみです」と相好を崩す。「瑛太さんともようやく共演できます。登場人物のみんなが、どんな風に変わっていくのかは、私も分からないですけれど、でも、なんとなく支え合っている瞬間を感じています」。

 10代最後の年に出会った本作は、広瀬にとって大切な1本になるだろう。
彼女の言葉が、そう確信させる。「人を思うとか、思いやりとか。痛みとか。これまで意識せずに、普通だと思っていた感情に、改めて向き合って、ちゃんと理解する時間が、自分の中で生まれるだろうと思っています」。(取材・文・写真:望月ふみ)

 水曜ドラマ『anone』は、日本テレビ系にて毎週水曜22時放送。
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