「結木滉星は芸名なんです。元々、“木”が“城”だったんですけど、“城”はありきたりだと思って、“木”にしてもらいました」。
名前の由来を聞けば、朗らかにこう答えた。進境著しい23歳の俳優・結木滉星は間もなく放送が始まる新戦隊シリーズ『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』に、レッドとして出演する。オーディションでは「毎回赤い服を着て行った」と願掛けをして臨み、見事に役を掴み取った。インタビューでは、結木の8年間の俳優生活と転機について、洗いざらい話してもらった。

【写真】『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』結木滉星インタビューショット&場面写真

 『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』は快盗と警察をモチーフにしたふたつの戦隊が登場する特撮ドラマ。大快盗アルセーヌ・ルパンの末裔に仕える執事によって選ばれた「ルパンレンジャー」と、国際特別警察機構の戦力部隊、通称「パトレンジャー」との攻防や活躍を描く。結木が演じるのは、警察戦隊のパトレン1号(朝加圭一郎)。熱血で真面目なキャラクターには、「決めたことに真っ直ぐなところは、僕も一緒です。一直線になると周りが見えなくなっちゃうんです」と、役に寄り添う。

 出演決定を事務所にて告げられたときには、「最初はクビを切られるかと思った(笑)」と冗談半分本気半分で口にしながら、「レッドは狙っていましたけど、手応えは正直考えられなかったです。そのときの自分にできることを100%出し切っただけでした」とオーディションを振り返る。脈々と続いてきた歴史あるスーパー戦隊シリーズには、並々ならぬ思いもある。
「僕も小さい頃から見て育ったので、戦隊には憧れや元気、勇気をもらってきました。今度は、自分がちゃんと恩返ししないといけないですよね」。そして、「正直、自分よりも親が喜んでくれたのが嬉しかったかな。何だかんだ応援してくれているんだな、って」と、はにかんでみせた。 そんな結木、実は芸歴8年目。高校生のときにスカウトされ、デビューしてからは、紆余曲折あったという。「最初は、ただ“モテるかな?”と思って芸能界に入ったんです(笑)。けど、今はこの仕事をずっとやっていきたいと思っています」と、とある演出家との出会いが、結木の芝居への本気スイッチを押させることになったと打ち明けた。「ずっと、自分は舞台が苦手だと思っていたんです。けど、鈴勝(鈴木勝秀)さんに出会って変わりました。鈴勝さんは“自分で考えろ”という演出スタイルなので、プランを持って自分なりにやらないと、本当に切り捨てられてしまうんです。初めて自分で考える楽しさを知りました。
僕のターニングポイントです」と、切れ長の目を少しうるませる。以降は、舞台での表現も、映像での演技も、以前とは違ったやりがいを覚え、自分の世界も広がった。「何歳になっても、自分のやりたいことを貫きたい。憧れの俳優さんですか?僕、中井貴一さんが大好きです。いつか共演してみたいです」。

 「こんな話、初めて言うかもしれないですけど」と、前置きをして教えてくれたのは、演技の自主レッスンについて。「恥ずかしいんですけど、自分の出た作品は見るのも仕事だと思って、しばらく時間を置いてからも見るようにしています。そうすると、当時とは違う感情が生まれて“もっとこうできた”という気づきがあるんです」と、予習ならぬ復習の演技法を実践しているという。インタビューの最後には「まだ鈴勝さんに(出演を)報告していないんです。早くしたい!」とうれしそうにつぶやいていた結木。自身の成長を見守ってくれる、信頼を預けられる人物がいるからこそ、成長はより加速度を増すのかもしれない。(取材・文:赤山恭子)

 『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』は、テレビ朝日系にて2月11日より毎週日曜9時30分放送。
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