【写真】ジャイアン役「木村昇」インタビューフォトギャラリー
藤子・F・不二雄が生み出した『ドラえもん』。劇場版シリーズ38作目となる『映画ドラえもん のび太の宝島』は、宝島へ冒険に出たのび太たちが、数々の危機に立ち向かう物語。
川村元気が脚本を手がけたオリジナルストーリーとなり、木村は「オリジナルは僕らもいつも緊張するんです。藤子先生がいらっしゃらないなかで新作を生み出すのは大変なこと。“みなさんの期待を上回るエネルギーがないといけない”と誰もが感じているので、気合が入ります」とニッコリ。「先輩たちが築き上げてきた26年があって、僕らがある。リメイクは、恩返しの意味も込めて“先輩たちを超えたい”という気持ち。オリジナルは“僕らも新しいものを作って『ドラえもん』を続けています”と示せるもの」と常に先輩の存在を胸に邁進している。
『ドラえもん』の声優陣が新キャストへとバトンタッチされたのが、2005年のこと。当時、木村は14歳の中学生。「オーディションは記念受験のような気持ちでした。同級生に『ドラえもんのオーディションに行った』といえば、ヒーローですからね!」とお茶目に述懐。「一次審査は演技を録音したMDを送って。年齢や名前も完全に伏せた状態で審査する方式をとっていたそうです。合格してもちろんものすごく光栄でしたが、“僕でいいんですか?”と誰よりも驚いたのは、僕です」。 声優発表のニュースが流れた日から「同級生からも“ジャイアン”と呼ばれるようになった」と笑うが、「自分がジャイアンなんだと実感を持つまでには5、6年かかった」と大役を手にしたのは、不安と戦うことでもあった。そんなとき一番の支えとなったのが、たてかべさんの存在だ。「高校3年間の文化祭と体育祭は毎年、たてかべさんが見に来てくださった」と親子のような親交があったそう。
「“どこに行ったかな”と探すと、体育館でリサイタルをやっていたりするんです!声優を引き継いだときに、“これからは昴がジャイアンだ”と言ってくださったのに、たてかべさんが“俺はジャイアン!”と歌っている(笑)。同級生は“本物が来たね”と大喜び。
「僕とお酒を飲むのを楽しみにしていて、毎年、誕生日祝いをしながらカウントダウンしてくださった」と会う機会も多かったが、「演じる上でのテクニックを教えてもらったことはないんです」と告白。「“ジャイアンは豪快なヤツだから思い切りやれ”。その一点張りでした。迷ったときはその言葉を思い出すようにしています。“ジャイアンはお前のものだ”と言ってくださったのが、本当にうれしくて。たてかべさんが言うんだから、自分も自信を持たなきゃ失礼だと思った。たてかべさんには“今も豪快にやっています!”とお伝えしたい」と心からのメッセージを送る。
「『ドラえもん』は人生の中心にある」と語るのは、たてかべさんから大事な役を受け継いだことともうひとつ。関智一と出会えたからだ。
『映画ドラえもん のび太の宝島』は3月3日より公開。