『ハイスコアガール』などで知られる人気漫画家・押切蓮介の代表作『ミスミソウ 完全版』の実写映画化が実現。おぞましい残虐描写を含むことから「映像化不可能」とも言われてきたが、完成した映画を観た押切は「ここまで忠実にやってくれるとは思わなかった」と驚愕。
【写真】『ミスミソウ』完成披露上映会&押切蓮介描き下ろしイラストギャラリー
東京から田舎に転校してきた少女・春花を主人公に、壮絶なイジメへの復讐劇を通して、崩壊していく思春期の心を描き出した本作。押切作品として初めての実写化が叶ったが、これまでも本作の実写化への打診が何度かあったそうで「断ったこともある」のだとか。今回、快諾したのは内藤瑛亮監督の存在が大きかったという。
「『先生を流産させる会』など、内藤監督の作品は以前から観ていました。監督の世界観と『ミスミソウ』はすごくマッチするんじゃないかなと思って、勝手に絶大な信頼を感じたんです。“好きなようにしてください”、なんなら“あげます”くらいの気持ちでお任せしました。“内藤監督なら大丈夫。問題ない!”と」と安心しきって任せたといい、「こうしてほしいという要望も特には出していないです。その方が伸び伸びと撮れそうじゃないですか」と微笑む。
舞台となるのは、雪に覆われた過疎の町。撮影も雪深い山の中で敢行されたが、現場を訪れた押切は「すごいものができる」と実感したという。
春花を演じた山田杏奈については「目力がすごい。撮影現場でお会いした時は、かわいらしくて可憐だなぁと思ったんです。豹変するシーンを見た時には、鳥肌がたちました」と絶賛。彼女が復讐をする過程は、イジメっ子たちの指や鼻の穴、アキレス腱をスッパリと切り裂くなど、血だらけ&凄惨そのもの。
思春期の暴走を描く内容だが、「出てくるのは、実はみんな普通の子」と押切。「橘吉絵というイジメっ子が家では横暴な父親に悩まされていることなど、映画ではそれぞれのキャラクターの持つ弱さや孤独までをきちんと描いてくれていたので、感動しました。春花の家を放火した後に、心細さからイジメっ子たちが集まってしまう雰囲気など、漫画ではできなかったことまでを描いてくれて。僕は映画を撮りたいと思っていた人間なんですが、やっぱり映画っていいなと思いました」と賛辞は止まらず、「生みの親としては、自分の子どもが大きくなって巣立ってしまったような寂しさもあって。ここまでやられると、ちょっと凹みますよ。それくらい原作を超えてしまった」と太鼓判を押す。
「僕は悪く言えば飽きっぽくて、よく言えば色々な作品に挑戦したくて。『ミスミソウ』を描いたのは10年ほど前のことですが、好き勝手に描く傾向もそろそろ一周したかなと思いますので、もう一度『ミスミソウ』のような作品を描きたい。今回は原作が負けてしまいました!次は実写映画を超える、心に刺さるような漫画を描きたいです!」と新たな創作意欲も刺激されていた。(取材・文・写真:成田おり枝)
『ミスミソウ』は4月7日より公開。
「原作を超えちゃった!」と完敗宣言まで飛び出した。原作者から見た、実写版『ミスミソウ』のすごさとは?
【写真】『ミスミソウ』完成披露上映会&押切蓮介描き下ろしイラストギャラリー
東京から田舎に転校してきた少女・春花を主人公に、壮絶なイジメへの復讐劇を通して、崩壊していく思春期の心を描き出した本作。押切作品として初めての実写化が叶ったが、これまでも本作の実写化への打診が何度かあったそうで「断ったこともある」のだとか。今回、快諾したのは内藤瑛亮監督の存在が大きかったという。
「『先生を流産させる会』など、内藤監督の作品は以前から観ていました。監督の世界観と『ミスミソウ』はすごくマッチするんじゃないかなと思って、勝手に絶大な信頼を感じたんです。“好きなようにしてください”、なんなら“あげます”くらいの気持ちでお任せしました。“内藤監督なら大丈夫。問題ない!”と」と安心しきって任せたといい、「こうしてほしいという要望も特には出していないです。その方が伸び伸びと撮れそうじゃないですか」と微笑む。
舞台となるのは、雪に覆われた過疎の町。撮影も雪深い山の中で敢行されたが、現場を訪れた押切は「すごいものができる」と実感したという。
「撮影現場に向かっていると、聞いたことのない鳥の声が聞こえてきたんです。“ギャアー!ギャアー!”って。なんの鳥なのかと思ったら、キャストさんの悲鳴だったんですよ。ゾクッとしたし、のっぴきならないものができると思いました。凍えるような寒さで、僕は着いた5分後にはお腹を壊してしまって。それだというのにキャストさんたちは、雪の上を転げ回っている。なんで僕は暖かい時期を舞台にしなかったんだと申し訳なくなって(笑)。ものすごい努力をして、魂を削って作ってくださっていました」。
春花を演じた山田杏奈については「目力がすごい。撮影現場でお会いした時は、かわいらしくて可憐だなぁと思ったんです。豹変するシーンを見た時には、鳥肌がたちました」と絶賛。彼女が復讐をする過程は、イジメっ子たちの指や鼻の穴、アキレス腱をスッパリと切り裂くなど、血だらけ&凄惨そのもの。
「全部やってましたね!ここまでやってくれるとは思わなかったので、感慨深かったです」と残虐描写に向き合った製作陣の覚悟に舌を巻く。 もともとはギャグ漫画家だった押切だが、「作家性を変えたい」との気持ちから『ミスミソウ』は生まれたと明かす。「ギャグじゃない、全く違うものを描きたい。人の心に刺さるものを描きたいと思っていました。背伸びしてシリアスなものを描いていましたが、作品の中にはおそらく滲み出るギャグ性があった。実写映画にもちょっと笑ってしまうようなシーンがあって、面白い現象だなと思いました」と実写版のすごさについて言及。
思春期の暴走を描く内容だが、「出てくるのは、実はみんな普通の子」と押切。「橘吉絵というイジメっ子が家では横暴な父親に悩まされていることなど、映画ではそれぞれのキャラクターの持つ弱さや孤独までをきちんと描いてくれていたので、感動しました。春花の家を放火した後に、心細さからイジメっ子たちが集まってしまう雰囲気など、漫画ではできなかったことまでを描いてくれて。僕は映画を撮りたいと思っていた人間なんですが、やっぱり映画っていいなと思いました」と賛辞は止まらず、「生みの親としては、自分の子どもが大きくなって巣立ってしまったような寂しさもあって。ここまでやられると、ちょっと凹みますよ。それくらい原作を超えてしまった」と太鼓判を押す。
「僕は悪く言えば飽きっぽくて、よく言えば色々な作品に挑戦したくて。『ミスミソウ』を描いたのは10年ほど前のことですが、好き勝手に描く傾向もそろそろ一周したかなと思いますので、もう一度『ミスミソウ』のような作品を描きたい。今回は原作が負けてしまいました!次は実写映画を超える、心に刺さるような漫画を描きたいです!」と新たな創作意欲も刺激されていた。(取材・文・写真:成田おり枝)
『ミスミソウ』は4月7日より公開。
編集部おすすめ