「太一がしっくりくるようになって、自信を持って第6章を終えることができました」。『デジモンアドベンチャー tri.』全6章を通して、主人公・八神太一役を演じた花江夏樹が現在の心境を語った。
最終章の劇場上映を控え、花江のパートナーデジモン・アグモンを演じた坂本千夏とともに、『デジモン』と歩んだ約2年半を振り返った。

【写真】花江夏樹&坂本千夏インタビューカット

 『デジモンアドベンチャー tri. 第6章「ぼくらの未来」』は、第5章で行方不明になった太一の姿はなく、ヤマトを中心に一致団結する選ばれし子どもたちの姿から始まる。彼らは、暴走したメイクーモンが変異した“ラグエルモン”と、八神ヒカリのパートナーデジモン・テイルモンが暗黒進化した“オファニモン フォールダウンモード”が合体したオルディネモンによって始まった世界の崩壊を止めるため、立ち向かう。目の前に迫る最後の決断。選ばれし子どもたちが自ら選んだ未来とは…。
 
 ついに最終章を迎える『デジモンアドベンチャー tri.』。花江は「寂しいですね。できればずっと続いてほしいと思っています」と、正直な気持ちを吐露。坂本も「寂しい」と花江と同じ気持ちを持ちつつも「ホッとしているような、やり遂げた感もあります」と、全6章を演じきった達成感を口にする。
 
 いまや本作含め、様々な作品で主役を演じる人気声優である花江だが、本作の第1章の頃を訊くと「緊張だらけでしたね」と苦笑い。「子どもの頃から見ていた作品でしたし、初代『デジモンアドベンチャー』の太一が成長した姿とはいえ、太一は太一ですので。それに、大先輩方と一緒でしたので、どんな方なのだろうと思っていました」。
そんな花江の言葉に坂本は「ビビってやんの~と思っていました(笑)」といたずらっぽく笑う。だが、「“選ばれし子どもたち”ですので、(私も)自信を持って向かい合っていかないと、と思っていました」。 花江らが演じる“選ばれし子どもたち”は、本シリーズで一新されたキャストだが、坂本含む子どもたちの“パートナーデジモン”は、全キャストが前作からの続投。ゆえに、坂本は当時小学生だった太一が、高校生となった今の姿には感じる思いもあったようだ。「小さかった時の思い出が全部つながって、今がある。友達の関係も形は変わってきているものの、変わらないところはまったく変わらない。私としては、選ばれし子どもたちを見ると、『小さかった時は、こんなに可愛かったのに』という目で見ているので、今は大人になっていく通り道を見ている感じでした。子どもたちは、まだまだ進化していくんだなという思いです」。
 
 全6章でパートナーを組んできた花江と坂本。時間を重ねてきたことで当初抱いていた気持ちにも変化が訪れる。「最初は肝っ玉母ちゃん的な印象でした」と花江。「バリバリついてこい!的な感じの先輩かなと思っていたのですが、アフレコやデジフェス、打ち上げなどを通じて、可愛らしい一面を多く発見して…。
乙女心がすごいんです」と笑うと、「心は乙女なの!」とツッコむ坂本。頬を膨らませツッコむ坂本の姿は花江がいうまさにそれだ。
 
 約2年半、『デジモンアドベンチャー tri.』とともに歩んできた花江と坂本。2人にとって本シリーズはどのような作品になったのだろうか。
 
 花江は「僕は今でも不思議です。太一を演じていることに対してもすごいことなんだと思っています。『デジモンアドベンチャー tri.』に関わることができて、自分の声優人生の中でも大きな分岐点になったと言いますか、大切な作品になったと思っています」。
 
 坂本は「『デジモンアドベンチャー』が、『tri.』として始まることに驚きましたし、当時子どもだったファンの方が大人になって、自分の子どもを連れて観に来てくれる作品になったことを、大事にしたいと思います。また1つの役で、こんなに長く関わっていけるということにありがたいなと思っています」。(取材・文・写真:ほりかごさおり)
 
 『デジモンアドベンチャー tri. 第6章「ぼくらの未来」』は5月5日より劇場上映。
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