現在放送中の『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系/毎週日曜22時30分)にて、岩田剛典戸田恵梨香ら豪華キャスト陣が個性的なキャラクターにふんし、息の合った演技を魅せる中、ひと際“異色な存在感”を放っている俳優・佐伯大地。本作では、いつも気配を消し神出鬼没なウエイターを演じている佐伯の、謎に満ちた素顔に迫るべく、現場での様子や作品への向き合い方について話を聞いた。


【写真】佐伯大地インタビューショット&『崖っぷちホテル!』場面写真

 『崖っぷちホテル!』は、かつては栄華を極めたが、今では倒産寸前の老舗ホテル「グランデ・インヴルサ」を舞台に、従業員や取り巻く人々とのやり取りをコミカルに綴るドラマ。ウエイター・服部要蔵を演じる佐伯は「存在感0」の人物描写がうけ、「あの俳優は誰!?」と、彼自身に注目が集まる結果となった。

 しかしながら、佐伯自身、当初は台詞の少ない役に不安を覚えていたそうで、「ほかのキャラクターと違い、自分から何かを発する役ではないので、大丈夫なのかな、と思っていました。いるだけだったり、立っている、無視する、とかなので(笑)」と語る。今では「全然しゃべらないのに、“すごく目立つね”“印象に残るね”と言われることが多いです。すごく嬉しいです!」と、確かな手ごたえを感じている。

 主演の岩田は、EXILE/三代目J Soul Brothersのメンバーでありながら、俳優としてキャリアを重ねている。そんな岩田については、「(座長として)引っ張ってくださる、という感覚はクランクインした瞬間からありました」と明かす佐伯。理由を聞けば、「岩田さんは、本読みの時点で台本を持たずにやられていたんです。その姿を見たときに、皆が“この人は大丈夫だ”と思った雰囲気がありました。ドラマに対する姿勢が素晴らしいというか、尊敬できる方だと思ったんです」と、声を弾ませた。 岩田に賛辞を贈る佐伯だが、自身もこれまで映像作品へ出演しているほか、精力的に舞台で活動を行ってきた。
数々の現場を経験し、実感したことは「何はなくともコミュニケーション」だと言い切る。「台本を読む、役作りをするとかは、全員が当たり前にやっていることだと思います。映画も、ドラマも、舞台も、すべては人間が作っているから、演者さんやスタッフさんと、いかにコミュニケーションをしっかり取って、信頼して、本番を迎えられるかが勝負だと思うんです。だから、積極的に会話をするようにしています」と作品に臨む態勢を話す。とはいえ、「そうできるようになったのなんて、ここ2~3年なんですけどね」と、ふっと笑う。

 「その頃、小さい劇場の作品をやっていて、演者としても裏方としても携わったんです。たて込みをしたり、小道具から何から作るとかもやっていたら、裏にいる方々の大変さが身に染みました」と、しみじみと振り返った。「それでも、全員が同じような情熱を持って、その作品を作っている。その気持ちはすごく大事にしなきゃいけないというか、表舞台に立つ人間は、それを背負って立たないといけないんじゃないか、とどんどん考えるようになりました」と、経験から得た作品や関わる人々との真摯な向き合い方を佐伯は説いた。

 そして、現在共演している中村倫也渡辺いっけい鈴木浩介ら舞台でも活躍する俳優たちの名前を挙げては、「共演者がワクワクしなかったら、視聴者も絶対ワクワクしない。近くにいる人間が喜ぶ、ワクワクする、笑う、泣く、となるくらいの熱量を、役者として持っていらっしゃるんです。自分も負けていられないし、もっともっと上げてかないと」と、思いをたぎらせた。
(取材・文・写真:赤山恭子)
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