12月21日より全国公開され、週末動員&興行収入ランキングで堂々の初登場No.1を記録したディズニー映画最新作『シュガー・ラッシュ:オンライン』。ゴールデングローブ賞やアカデミー賞の受賞も期待される本作を劇場で鑑賞し、大いに心を動かされたという、お笑い芸人・ジャルジャルの後藤淳平と福徳秀介にインタビューを実施!本作の魅力をたっぷり語ってもらった。


【写真】『シュガー・ラッシュ:オンライン』を鑑賞したジャルジャル

 レースゲーム「シュガー・ラッシュ」の天才レーサー、ヴァネロペと、ゲームの悪役だけど心優しいヴァネロペの親友ラルフとの友情と冒険を描く本作。ある日、「シュガー・ラッシュ」のハンドルが壊れ、廃棄寸前の危機に陥ってしまう。二人は新しいハンドルを手に入れて「シュガー・ラッシュ」を救うため、ゲームの世界を飛び出し、インターネットの世界へ向かうのだが…。

■“全員集合”っていう感じがすごい

 本作を日本公開後すぐに鑑賞した福徳はディズニーが描く“ネットの世界”が「めちゃくちゃおもしろかったです!」とコメント。後藤も「ヴァネロぺが初めてインターネットの世界に来たシーンで、僕が初めて渋谷に来た時の事を思い出しました。ビルが大きい!人めっちゃおるー!って」と重ね、さらに「それだけじゃなく、僕は息子と観たんですけど、彼が映画の終盤で嗚咽するほど号泣していて、僕ももらい泣きしそうになりました」とも語った。福徳は特に印象に残ったシーンとして「(インターネットの世界で)サーチエンジンのキャラクターが検索してあげても『みんな、ありがとうって言わない』とつぶやくシーン」をあげ、「僕も確かに"ありがとう"と思ったことはなかったなと…。大事なことを忘れていました。みなさんありがとう、ってちゃんと言ってますか?(笑)」

 また、公開前から話題となっていた、ディズニープリンセスが一堂に会するシーンも印象的だったそうで、後藤は「これだけ沢山のキャラクターを生み出してきたスタジオだから出来るガヤガヤ感“全員集合”っていう感じがすごかったです。あと、それぞれが自身のキャラクターをネタに、自分のことをイジる点がすごい!」と、ディズニーが見せる“舞台裏”に感心。すると、福徳は「(Oh!MyDisneyの裏側は)芸人のステージの舞台裏に似てますね、裏ではいろんな芸人がこんな感じで過ごしています(笑)」と意外な共通点も語ってくれた。

 本作では、ヴァネロペとラルフの固い友情と絆が、新たな局面を迎えるが、コンビ結成から15年経ったジャルジャルの二人は、ヴァネロペたちの関係性どう捉えたのか。
後藤が「二人でやっていると、お互いを束縛してしまうというか、自分の思い通りにしたいということがコンビでもよくあります。でも、僕たちはあまり相方について干渉しないようにしています」と言うと、福徳もうなずく。

 そして、本作では、お互いを想うからこそ次第にすれ違うヴァネロペとラルフに対して、後藤は「もっと冷静になって、話し合えばわかりあえるのに」と熱がこもる。「ラルフはヴァネロぺを想ってこその行動なんだから、そこをちゃんと説明して!」と。また福徳は、インターネットの世界で出会ったクールなレーサーのシャンクに惹かれてしまうヴァネロペについて、「いままでずっと同じ世界に一緒にいたヴァネロペが違う世界の人に憧れるのは、ラルフ的にはきっと複雑ですよね。でも、その気持はわからんでもないですが…」と語り、切なさも滲ませた。■細部まで仕上がっていて、スキがない

 結成から15年、今でも毎年大量のネタを二人で作っているジャルジャルだが、時には今作のヴァネロペとラルフのようにすれ違うことはないのだろうか。すると、後藤も福徳も「ないですね」とキッパリ言い切る。「実は僕たち、ケンカした事も無くて。こうじゃなければダメ、という決まりがないと思っているので、もめることがないです」と後藤が言うと、福徳も「大げさに言うと『相方が言うことのほうが正しい』というスタンスを取っているんです」と語る。

 「僕らは高校のラグビー部からのつきあいで。例えば当時のラグビーの試合中、僕が出したパスのせいで、後藤が脳しんとうになった時、僕は『申し訳ない』と思いましたが、後藤は『なんで俺にパスしたんや?』とは言わない。
だってスポーツですから。お笑いもスポーツと同じで、やればやるほど正解がない世界。だからこそ、お互いの意見を尊重し、お互いの意見にのっかり合ってやっていくのが一番良いと思ってやっています」と後藤への信頼を語り、ラルフとヴァネロぺにも負けない「絆」を感じさせた。

 今年も大きな話題となった『M‐1』でのネタについても「去年と今年のネタは、“歯車が合う瞬間”がいくつもあって、きたきた!ってなっていました」と福徳。後藤も「僕らは、お客さんに見せながらネタを完成させていくことが多いのですが、たぶん、『これをやったらいける!』という感覚が一緒というか、近いから、二人で『これでいこうか!』となります。もう15年も一緒にやっているので」。と語ると「そういえば劇中でラルフとヴァネロぺがネットオークションに参加するシーン、あれは僕らのネタ作りにちょっと似てますね(笑)」と福徳が意外な秘話もこぼしてくれた。

 しかし、最後に福徳は、「今回、『シュガー・ラッシュ:オンライン』を観て、俺らももっと打合せしなあかん!と思いました」と意外な感想を語る。「本当に細部まで仕上がっていて、スキがない。この映画は、どれだけ打合せをして作ったんやろうと。ほんまにすごいと思いました」と細かい表現1つ1つに改めてうなり、それに合わせて後藤も「そのセリフここで効いてくるかー!ってシーンもあって。フリが本当に巧いですね」と重ね、「あかんな!俺らももっともっとやらんと、と思わせてくれる作品でした」と二人は口にした。


 ラルフとヴァネロぺにも負けない熱い絆を持つジャルジャルをも唸らせた今作、是非劇場に足を運んでみて欲しい。(取材・文:山崎伸子/写真:中村好伸)

 映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』は全国公開中。
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