【写真】アラン・メンケン、インタビューカット&『アラジン』フォトギャラリー
27年の時を経て、ついに実写化された『アラジン』。完成した映画を観たアランは「うれしいという言葉に尽きます」と感慨深げ。「非常に満足しました。新たなアプローチがあり、新曲もあって、新鮮で現代的なストーリーになっている」と実写版の出来に太鼓判を押す。
主人公のアラジンとヒロインのジャスミンには、新星メナ・マスード、若手女優ナオミ・スコットという、フレッシュな2人が起用されたが、「2人の相性がとてもいいんです。自然に惹(ひ)かれ合っている雰囲気がある」と絶賛。アニメ版での故ロビン・ウィリアムズのイメージが強いランプの魔人ジーニーを演じるのは、ハリウッドスターのウィル・スミスだ。ウィルが演じると聞いたとき「まさに“完璧”だと思いました」と明かすアラン。「ウィルはジーニーを演じるに必要なすべてを持ち合わせていた。だから今回、彼にこうしてほしいとか注文することなんて何ひとつなかったんだ。
『アラジン』を語る上で欠かせないのが、ディズニーアニメの楽曲として唯一グラミー賞最優秀楽曲賞に輝いている名曲「ホール・ニュー・ワールド」の存在。実写版でも大きな見せ場になっているこの名曲は、いかにして誕生したのだろうか。
当時アランは、ともに楽曲制作を続けてきた盟友ハワード・アシュマンを亡くし、すでにミュージカル界では有名だった作詞家ティム・ライスと初タッグを組むことになる。「ティムに初めて会うときにこの曲を作って持っていったんだ。まだ『ホール・ニュー・ワールド』になる前だね。
「あの曲は、ティムがそれまでに作詞したミュージカル『エビータ』のラテンな感じや、『ジーザス・クライスト・スーパースター』の曲を意識しながら作ったんだ。そして空を自由に飛びまわるイメージも重要だった。“A Whole New World”という歌詞だけど、完成前に僕がダミーでつけていたのは“The World at My Feet(足元に広がる世界)”だった。
本作以降も、『リトル・マーメイド』などアランが関わった作品の実写企画が控えている。2年前の『美女と野獣』に続き、本作のプロモーションでも世界中を飛び回り多忙を極めているが、7月に70歳を迎えるアランの仕事へのモチベーションはどこから来るのだろうか。
「その質問は…タイミングが悪いかもしれないね。今回のプロモーションは本当にハードでね…。ヨーロッパを回って、今東京にいて、このあとはロサンゼルス。そこからまたニューヨークに戻るんだよ。
「でもやっぱり自分の仕事が好きなんだと思う。曲を作ることで、逆にエネルギーをもらっているからね。そして、いい家庭生活を送ることも大事。僕がエゴイストにならないようにしていられるのは妻や娘たちのお陰だよ。家でのんびり作曲していたいけど、せっかく作った曲だから、こうやってプロモーションしてみんなに聞いてほしいし。でも疲れるよね(笑)」と、世界的人気を誇る巨匠の葛藤を吐露してくれた。
そんなアランに対し、最後に「まだまだあなたの曲を聞きたいです」と伝えると、「わかった! まだまだがんばるよ!」と力強く応えてくれた。(取材・文・写真:稲生稔)
映画『アラジン』は公開中。