前作『アナと雪の女王』(2013)の主題歌「レット・イット・ゴー~ありのままで~」で一大旋風を巻き起こした作曲家ロバート・ロペス&クリステン・アンダーソン=ロペス夫妻が、現在公開中のシリーズ最新作『アナと雪の女王2』でも再び楽曲を担当。「よりミステリアスで野心的な曲になった」と自信をのぞかせるロペス夫妻が、新たな主題歌「イン・トゥ・ジ・アンノウン~心のままに~」に込めた思いを語った。


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 本作は、第86回アカデミー賞長編アニメ映画賞&歌曲賞を受賞した大ヒットアニメーション映画『アナと雪の女王』の続編。エルサが魔法の力を得た秘密や、妹アナとの知られざる過去を、ダイナミックかつエモーショナルに活写する。

 ロペス夫妻と同じく、前作に続き、監督をジェニファー・リーとクリス・バック、エルサ役をイディナ・メンゼル、アナ役をクリステン・ベルがそれぞれ務めた。

 「レリゴー」の愛称で親しまれた主題歌が、日本でも社会現象になるほど大ヒットを記録したが、同曲を作詞・作曲したロペス夫妻にとって、その実績が逆に続編制作のプレッシャーにはならなかったのだろうか?

 これに対してクリステンは、「確かにプレッシャーはあったけれど、2人の監督から続編を依頼されたとき、『気持ちを切り替えて、前作とは全く違うものを作ろう!』という力強い言葉があったので、とても前向きな気持ちで入ることができた」とニッコリ。

 一方のロバートも、「私たちにとって、アニメーション映画の続編は初めて。だから、気持ちを1つにして、『第1幕は終わり、次は第2幕に集中するだけ』と思うようにしたら、とても気が楽になった」と振り返る。 今回、エルサが歌う「イン・トゥ・ジ・アンノウン」は、終盤に盛り上がりを見せる「レリゴー」とは真逆。冒頭から一気にテンションを上げる構成となっているが、作曲を手がけたロバートは、「あくまでも内容に即したもので、前曲を意識して対比構造にしたわけではない」と強調する。「歌のシチュエーションとしては、夜中、ベッドで寝ていたエルサが、何か不思議な声を耳にし、やがてそれが“運命の声”だと気付くシーン。どこか謎めいた感じを出しつつも、冒頭から観客の心をつかみたい! という野心があった」と意図を語る。

 また、同曲には、“1歩踏み出す勇気”を後押ししてくれる言葉が随所にちりばめられているが、作詞を担当したクリステンは、「最近の子どもたちって、スマホばかりいじっているでしょ?(笑) どうしても自分の居心地がいいところにとどまるというか、あまり変化を望まないところがあると思うの。だから、心地よい場所からあえて飛び出して、何かにチャレンジすることで、いろんなことが学べ、成長できることを、歌詞を通して感じてほしいと思ったの」と、母親目線で願いを込めた。


 今回もイディナの伸びやかな高音が生かされたスケールの大きな楽曲となっているが、前作同様、日本語吹き替えを担当した松たか子(エルサ)と神田沙也加(アナ)の歌声にも感銘を受けたというロペス夫妻。

 クリステンは、「2人ともエモーショナルな表現が素晴らしいわ。イディナのために用意された高音部分も、ものすごくパワフルだったけれど、その一方で、どこか日本的な味わいもある。そこがまた魅力的ね」とで手放しで絶賛。ロバートも、「日本語の訳詞の意味が全くわからなくても、世界中の人々に伝わる歌声だね。ディズニーのキャスティングにも感服するよ」と笑顔を見せていた。(取材・文・写真:坂田正樹)

 映画『アナと雪の女王2』は公開中。
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