世代を超えた社会現象を巻き起こしたディズニー映画『アナ雪の女王』。その待望の続編『アナと雪の女王2』がいよいよ公開となった。
公開するやいなや、初週末3日間の興行収入は19億4205万円、さらに観客動員は145万人という驚異的な数字を叩き出し、2019年公開映画No.1のオープニングを記録。前作の2倍以上の興行収入、観客動員を記録し、再び“アナ雪”旋風が巻き起こっている。再びアナとエルサに出会える期待に胸が膨らむが、本作を鑑賞したヒャダインは「めちゃめちゃ面白かった!」と大興奮で、エルサの心の揺れ動きを表現したメイン楽曲『イントゥ・ジ・アンノウン』についても「ものすごく勇気を与えてくれる楽曲」と惚れ惚れ。映画の感想を聞くと共に、なぜ本シリーズの楽曲がこれだけ人々の心を掴むのか、音楽的観点からも『アナ雪』の魅力を分析してもらった。

【写真】新しい仲間、サラマンダーが可愛い!『アナと雪の女王2』場面写真

 主人公となるのは、王国を治めながら仲間たちと共に幸せに暮らしていたエルサと妹のアナ。ある日エルサだけが“不思議な歌声”を耳にし、姉妹は仲間たちと一緒に、エルサの“力”の秘密を解き明かす冒険の旅に出ることとなる。

 「前作をどうやって超えてくるんだろうと思っていたんですが、まったくの杞憂でした」と口火を切ったヒャダインは、「まさにアナとエルサのように、『1』と『2』の二つで一つのような作品でしたね。すごいとしか言いようがない!」と感動しきり。

 「冒頭ではほのぼのと平和に暮らしているアナやエルサたちが描かれますが、“安寧を壊すことになりながらも、新しい旅に出る”というストーリーが、前作が大ヒットして“アナ雪フィーバー”の余韻がありながらも思い切ったチャレンジをしていくというスタッフの方々の心意気と、ものすごくリンクしているような気がしたんです。人間ってどうしても保守的になりがちなものですが、そこを超えてくるディズニーはやっぱりすごいなと思いました」と舌を巻く。

 前作では、メイン楽曲『レット・イット・ゴー』が「ありのままで」という、その時代において重要なメッセージを伝えて多くの人々の心を動かした。続編のメイン楽曲『イン・トゥ・ジ・アンノウン』には「心のままに」という邦題がつけられているが、ヒャダインは「力強くて、人々に勇気を与える歌」と印象を吐露。
「『レット・イット・ゴー』は自己肯定の歌でしたが、『イントゥ・ジ・アンノウン』はその先。自分を認めながら、“どんなに傷ついたとしても、心の声を聞いてみよう。その先に飛び込んで行くぞ!”というエルサの覚悟を感じました」といい、メロディからもその力強さが伝わったと語る。

 「まず“不思議な歌声”を楽曲の中にうまく絡ませているのも、レベルが高いなと思います。そしてこの曲、ものすごくキーが高いんです。『レット・イット・ゴー』では、心の中に鬱屈したものがあったエルサにとって、そこから解放されたという喜びをクライマックスの高音で表現していました。一方『イントゥ・ジ・アンノウン』は、序盤あたりから最高音をガンガン出してくる。そこからもエルサの前作からの変化を感じました」。

 タレントとして活動するだけでなく、音楽クリエイターとしてビッグアーティストへの楽曲提供やアイドルソング、アニメソングなど、数々の名曲を世に送り出しているヒャダイン。曲作りで大事にしているのは「わかりやすさ。そして伝えたいテーマを、聞き手に誤解させずにきちんと伝えること」だと明かすが、本シリーズの楽曲はわかりやすいうえに高度な技術があるという。

 「『アナ雪』の楽曲はまず、シーンとぴったり合っているなと感じるし、映画を通して伝えたいことが、楽曲でもブレずに伝えられているのがすごい。
歌詞の内容ももちろんですが、歌の“間”の入れ方が上手なんだと思います。歌詞の意味を考えなくてはいけない場面があったとしたら、きちんと“間”や休符を使って、歌詞がしっかりと心に染み込むような時間を与えてくれる。ものすごく計算され尽くした、考え抜かれた楽曲だと思います」。

 受けた刺激と感動を熱っぽく語るヒャダインだが、とりわけ印象に残ったキャラクターは「エルサです。見ていて、高揚感がハンパなかったです」と声を弾ませ、彼女が“心のままに”一歩踏み出して行く姿にも、大いに共感できたという。「進むべきか、どうしようかと悩む局面って、生きているとたくさんあるものだと思うんです。

 例えば僕も、椎名林檎さんの楽曲アレンジのお話をいただいたときに、“なんで僕!?”と思いましたが、“僕にできることを精一杯やろう”と決めてやってみたら、また次もお声がけいただいたり…。ちょっとした“覚悟”が自分の可能性を拡げるんですよね。僕もプレッシャーがかかる仕事のときは、「〇〇がある人生と〇〇がない人生、どちらが面白いか」そうやって心の声を聞くようにしています。自分の心に向き合っていくエルサを見て、背中を押してもらえる人はたくさんいるのではないでしょうか」。(取材・文:成田おり枝/写真:高橋ゆり)
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