【写真】若きトヨエツも、50代の渋いトヨエツも魅力的!
◆優しく大人なイメージを印象付けた『きらきらひかる』
まず、豊川がブレイクするきっかけとなった作品ともいえる映画『きらきらひかる』(1992)を挙げたい。同作は、アルコール依存症気味の妻と同性愛者の夫、夫の恋人をめぐる3人の奇妙な三角関係を描く、薬師丸ひろ子の主演作。豊川は、薬師丸演じる笑子の夫で、同性愛者で医師の睦月という難しい役どころを演じた。真摯(しんし)に、落ち着いた口調で話す豊川は、当時30歳だったが、その役柄も相まって優しく大人な男性のイメージを強く印象付けた。ちなみに豊川は、本作で日本アカデミー賞新人俳優賞も受賞している。
◆怒り苦悩するトヨエツがたまらない!『NIGHT HEAD』
『きらきらひかる』と同年に、フジテレビ系で放送されたドラマ『NIGHT HEAD』も豊川の出世作だ。同作は、超能力を持つ兄弟の過酷な運命を描いたサイキックサスペンス。主人公の兄弟を豊川と武田真治が演じ、カルト的な人気を誇った。1994年には劇場版も公開されている。物語自体はトラウマになりそうなストーリー展開も多く、好みが分かれる作品だが、豊川の怒りを感じたときの狂気的な表情や苦悩する姿がひたすらイケメンで、そのお顔を拝めるというだけで見る価値がある。
◆今も色あせない映画の代表作『Love Letter』
岩井俊二が美しい映像で紡ぎあげた映画『Love Letter』(1995)も豊川の魅力を満喫できる一作だ。
豊川が駅員姿を披露し、世の女子を歓喜させたドラマ『青い鳥』(TBS系・1997年)も忘れられない。同作は、幸せを求めて不倫と逃避行を行い、その償いに奔走させられる男の運命を描いたドラマ。豊川が長野県の「清澄駅」で駅員をしている主人公・柴田理森を、柴田が恋する次期市長の妻・町村かほりを夏川結衣が演じた。同作は2部構成になっており、前半は30歳の理森がかほりと出会い、恋に落ちていく姿が描かれる。後半は、その6年後。理森とかほりの娘・詩織(山田麻衣子)の物語がつづられる。
◆50代になった大人の男の色気があふれる『娚の一生』
最後に、中年になってもなおその美しさが健在であることを知らしめた作品として映画『娚の一生』(2015)を紹介しよう。同作は、西炯子による人気コミックを実写化した作品で、祖母の死をきっかけに、東京から田舎の一軒家に移り住んだ堂薗つぐみ(榮倉奈々)と、祖母を慕っていたという大学教授の海江田醇(豊川)の奇妙な同居生活から始まる恋を描く。原作でも話題となった海江田による“足キス”シーンや“床ドン”などの胸キュンシーンが忠実に再現されており、ときめくこと間違いなし。この作品が公開された当時、豊川は52歳。大人の男の魅力全開で、若き日の美しさとはまた一味違った色気を放っている。
近年は、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』での秋風羽織役のような作品にスパイスを与えるような個性的な役柄を演じることが多い豊川だが、その輝きは今なお色あせない。今秋には、ハリウッド初出演で、ローランド・エメリッヒ監督が製作費120億円をかけて完成させたスペクタクル超大作『ミッドウェイ』の公開も決定しており、その活動からまだまだ目が離せない。(文:嶋田真己)