1995年に放送されたドラマ『愛していると言ってくれ』(TBS系)が2020年特別版として放送されて、話題を呼んでいる(本日6月21日14時より最終回)。常盤貴子と共に主演を務めた豊川悦司は、当時最も旬な俳優の一人として多くの女性たちから熱視線を浴びていたが、ここにきて再び、彼の美しすぎる容姿と繊細な演技に注目が集まっている。
そこで、今回は同作同様、美しい“トヨエツ”を堪能できる作品を紹介しよう。

【写真】若きトヨエツも、50代の渋いトヨエツも魅力的!

◆優しく大人なイメージを印象付けた『きらきらひかる』

 まず、豊川がブレイクするきっかけとなった作品ともいえる映画『きらきらひかる』(1992)を挙げたい。同作は、アルコール依存症気味の妻と同性愛者の夫、夫の恋人をめぐる3人の奇妙な三角関係を描く、薬師丸ひろ子の主演作。豊川は、薬師丸演じる笑子の夫で、同性愛者で医師の睦月という難しい役どころを演じた。真摯(しんし)に、落ち着いた口調で話す豊川は、当時30歳だったが、その役柄も相まって優しく大人な男性のイメージを強く印象付けた。ちなみに豊川は、本作で日本アカデミー賞新人俳優賞も受賞している。

◆怒り苦悩するトヨエツがたまらない!『NIGHT HEAD』

 『きらきらひかる』と同年に、フジテレビ系で放送されたドラマ『NIGHT HEAD』も豊川の出世作だ。同作は、超能力を持つ兄弟の過酷な運命を描いたサイキックサスペンス。主人公の兄弟を豊川と武田真治が演じ、カルト的な人気を誇った。1994年には劇場版も公開されている。物語自体はトラウマになりそうなストーリー展開も多く、好みが分かれる作品だが、豊川の怒りを感じたときの狂気的な表情や苦悩する姿がひたすらイケメンで、そのお顔を拝めるというだけで見る価値がある。

◆今も色あせない映画の代表作『Love Letter』

 岩井俊二が美しい映像で紡ぎあげた映画『Love Letter』(1995)も豊川の魅力を満喫できる一作だ。
本作は、豊川と中山美穂がダブル主演した雪の小樽と神戸を舞台にしたラブストーリーで、第19回日本アカデミー賞で優秀助演男優賞や話題賞(俳優部門)など数々の賞を受賞した作品。岩井の劇場用長編映画監督第1作でもある。事故で婚約者を亡くした博子(中山)が、彼が昔住んでいたという住所に届くはずのない手紙を出したことから始まる、不思議な交流を描く。同作において豊川は、博子の元婚約者の友人で、博子に思いを寄せる秋葉茂役で登場。一見するとおちゃらけて見える秋葉だが、博子の横で穏やかに彼女を受け止め、見守り続ける懐の深い、いい男。ラストシーンの山頂で放つ豊川のセリフはかわいすぎてキュン死必至。◆許されない恋に生きる姿が尊い…『青い鳥』

 豊川が駅員姿を披露し、世の女子を歓喜させたドラマ『青い鳥』(TBS系・1997年)も忘れられない。同作は、幸せを求めて不倫と逃避行を行い、その償いに奔走させられる男の運命を描いたドラマ。豊川が長野県の「清澄駅」で駅員をしている主人公・柴田理森を、柴田が恋する次期市長の妻・町村かほりを夏川結衣が演じた。同作は2部構成になっており、前半は30歳の理森がかほりと出会い、恋に落ちていく姿が描かれる。後半は、その6年後。理森とかほりの娘・詩織(山田麻衣子)の物語がつづられる。
全編を通して、重厚で胸の詰まるようなストーリーが展開するが、長野、北海道、そして鹿児島と日本を縦断しながら撮影されただけに、映し出される風景はどのシーンも美しく、そこにたたずむ豊川も尊い。多くを語らず、自己犠牲をいとわずに愛情を注ぎ続ける理森の姿は豊川のクールで寡黙なイメージにもぴったりで、トヨエツ好きにはぜひとも見てほしい一作だ。

◆50代になった大人の男の色気があふれる『娚の一生』

 最後に、中年になってもなおその美しさが健在であることを知らしめた作品として映画『娚の一生』(2015)を紹介しよう。同作は、西炯子による人気コミックを実写化した作品で、祖母の死をきっかけに、東京から田舎の一軒家に移り住んだ堂薗つぐみ(榮倉奈々)と、祖母を慕っていたという大学教授の海江田醇(豊川)の奇妙な同居生活から始まる恋を描く。原作でも話題となった海江田による“足キス”シーンや“床ドン”などの胸キュンシーンが忠実に再現されており、ときめくこと間違いなし。この作品が公開された当時、豊川は52歳。大人の男の魅力全開で、若き日の美しさとはまた一味違った色気を放っている。

 近年は、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』での秋風羽織役のような作品にスパイスを与えるような個性的な役柄を演じることが多い豊川だが、その輝きは今なお色あせない。今秋には、ハリウッド初出演で、ローランド・エメリッヒ監督が製作費120億円をかけて完成させたスペクタクル超大作『ミッドウェイ』の公開も決定しており、その活動からまだまだ目が離せない。(文:嶋田真己)
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