綾野剛星野源がダブル主演を務める金曜ドラマ『MIU404』(TBS系/6月26日より毎週金曜22時)の放送が、いよいよスタートする。新型コロナウイルスの感染防止のために3月末に撮影が中断し、放送開始も延期に。
未曾有の事態に直面しながらも、この日を迎えられたことに、綾野は「感謝の一言」、星野も「とにかくうれしい」と喜びをあふれさせる。撮影再開を願い、お互いに励まし合っていたという2人が、撮影中断への率直な思い、そして「同じ方向を向いている」と確信できたことで、より深まったという絆について語った。

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◆いよいよ撮影再開&放送開始!「放送が中止になる可能性もゼロではなかった」

 本作は、犯人逮捕にすべてを懸ける警視庁“機動捜査隊”(機捜)で、綾野演じる伊吹と、星野演じる志摩がバディを組み、24時間というタイムリミットの中で犯人逮捕にすべてを懸ける姿を描く1話完結の刑事ドラマ。脚本はドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』などを手がけた野木亜紀子によるオリジナルで、監督を『アンナチュラル』『中学聖日記』を担当した塚原あゆ子が務める。

 放送開始への思いを聞いてみると、綾野は「放送が中止になる可能性もゼロではなかった」と告白。「世の中全体として大変な時期で、いまだ気を緩めることもできません。そんな中でも撮影が再開できたこと。そしてこれまで撮ってきたものをきちんとお届けできるという、エンターテインメントに関わる人間としての役割を務めさせていただけることに、大きな感謝があります」と語り、「だからこそ現場では、みんなでしっかりと感染対策をしながら、最高のパフォーマンスをしようという意識が高まっています。現場の熱量もものすごく高い」とエネルギーをみなぎらせる。

 星野も「とにかくうれしい」と喜びをかみ締める。緊急事態宣言下での自粛期間には、思考を巡らせることも多かったそうで「撮影休止の前に2話までは撮影をすることができたんですが、自粛期間に家でじっとしている間にその映像を客観的に見ることができた。そこでいかに本作が素晴らしいドラマかということを客観的に見ることができた。
これを届けられないというのは、あまりにも辛すぎると思っていたので、撮影を再開できて、こうして放送できることが本当にうれしいです」と胸の内を語る。

◆「源ちゃん」「剛くん」と呼び合う2人、2年半ぶり共演で発見した魅力

 伊吹は、機動力と運動神経はピカイチだが、刑事の常識に欠ける男。一方、志摩は、観察眼と社交力に長けているものの、自分も他人も信用しない理性的な刑事だ。役柄について、綾野は「伊吹はいつも機嫌がいい人。“こういう友達がいたらいいな”と思うような人です」。星野は「志摩は推理力と思考力が高く、とても優秀な男。憂いをずっと背負っているようなところがあって、最初は“なぜ彼はこんなに悲しい顔をするんだろう”と思うかもしれませんが、その謎も次第に明かされていきます」とそれぞれに分析。

 対照的な2人が事件を乗り越えながらバディとして成長していく姿が大きな見どころとなるが、ドラマ『コウノドリ』(TBS系)以来、約2年半ぶりの共演となった綾野と星野も、お互いに刺激を受けることもあるという。綾野は「源ちゃんは、命をテーマにした『コウノドリ』で一緒に戦ってきた“戦友”」と評し、「今回は一緒のシーンが多いですが、別々に撮影していると“源ちゃんはこのシーンをどんな表情でやっているのかな?”なんて気にしています」とほほ笑む。

 一方の星野も「志摩は『コウノドリ』の時とはまったく違う役どころなので、伊吹に対して怒鳴ったり思いをぶつけるような芝居が楽しい」と役の上でのコミュニケーションを楽しんでいる様子だ。◆コロナ禍で深まった絆「いつだって、同じ方向を向いている」

 脚本を担う野木とは、綾野は『空飛ぶ広報室』、星野は『逃げるは恥だが役に立つ』(ともにTBS系)でタッグを組んだことがあり、本作でも野木脚本のすごみを存分に感じているという。星野は「“この後はもうなにも起こらないでしょう?”と思っても、“その先”がいくつも出てくる。
僕は、野木さんの“表現の姿勢”がとても好きで。これだけ“伝えたいこと”がしっかりとある方って、僕はあまり見たことがない」と惚(ほ)れ込み、2人ともが「エンターテインメントの中に、しっかりと今を生きる僕たちが考えなければいけないことへの問題提起がある」と声をそろえる。

 不測の事態に直面したものの、時代を映す脚本があり、信頼できるスタッフ、共演者がいることに、綾野と星野はたくさんの力をもらったという。綾野は「撮影休止期間には、源ちゃんとも連絡を取って“時間ができたことで、また野木さんの脚本がすごいことになっているね”と話したり、スタッフの皆さんとも“感染対策には、こういうことに気をつけたほうがいいかもしれない”など、いろいろと話し合ってきました。“必ず撮影を再開するんだ”という気持ちは1日たりとも忘れたことはなかった」と振り返り、「僕と源ちゃんも、撮影休止になった理由をお互いにきちんと納得できていたし、常に同じ方向を向いていたと思います。そして撮影休止することも含めて、こういった事態に対してしっかりと前のめりになって学んでいくことのできるチームだと感じています。今、物理的にはなかなか手と手を取り合えないけれど、心の中でしっかりと手と手を取り合っていきたい」と意気込む。

 星野も「スタッフの方と電話していろいろな思いを共有して、“命が一番大切だ”“これ以上コロナを広げてはいけない”“この時期を乗り越えたら、全力で撮影しよう”と励まし合えたのがとてもよかった。そこでチームが出来上がったような気がしていますし、だからこそ撮影再開したときは、ブランクがあったようにまったく感じなかった。今もまだ大変な状況が続いていて、問題もたくさんありますが、撮影をしているときは“信頼できる仲間がいる”と思えることがとてもうれしくて。その思いは、撮影休止期間が育ててくれたものだと思っています」と思いを明かす。

 撮影休止&再開を経て、綾野&星野、そしてチーム全体までがお互いにとっての“最高のバディ”となっている様子。
より絆を深めた彼らの躍動が、今から楽しみだ。(取材・文:成田おり枝)

 金曜ドラマ『MIU404』は、TBS系にて6月26日より毎週金曜22時放送(初回15分拡大)。
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