俳優の仲野太賀が主演を務める映画『泣く子はいねぇが』より、主人公たすく(仲野)の“魂の叫び”がこだまする本予告が解禁された。映像と共に流れる、折坂悠太が本作で初の映画主題歌を手掛けた楽曲にも注目だ。



【写真】吉岡里帆が赤ちゃんを抱く姿も 『泣く子はいねぇが』場面写真

 青春の終わりをテーマに、迷いながら大人になっていく20代の若者たちの姿を描く本作。是枝裕和監督が率いる映像制作者集団“分福”の佐藤快磨監督のオリジナル脚本で、同監督の商業映画デビュー作となる。ナマハゲ行事で失態を犯し、秋田を離れる主人公たすく役を仲野、その妻ことね役を吉岡里帆、親友の志波役を寛一郎が演じるほか、山中崇、余貴美子、柳葉敏郎らが共演する。

 本予告は、子供が生まれてもなお父親の自覚がないたすく(仲野)が、育児に疲れ果てた妻のことね(吉岡)から「なーんにも考えてないでしょ」と突き放される場面から始まる。男鹿の伝統行事ナマハゲで大失態を犯し、家族を置いて逃げるように上京したものの、そこにも居場所はなく、失ったものを取り戻したい一心で2年ぶりに帰省したたすく。しかし周囲の目は冷たく、兄・悠馬(山中)には「帰ってきてみただけなんだべ、許してもらえるかもって」と浅はかな気持ちを見透かされる始末。さらに、再会したことねからは「再婚する」と告げられる。それでもことねの力になりたいと食い下がるたすくだが、「じゃあ払える? 養育費とか、慰謝料とか」と現実を冷酷に突きつけられるのだった。

 大人にも父親にもなりきれない未熟な自分を痛感しながらも、なかなか変わることができないもどかしさ。そんなたすくが絞り出すようにつぶやいた「俺が父親だよ」という決意の言葉。映像の最後は、たすくの「泣く子はいねぇが!」という熱い叫びで締めくくられる。

 本予告にも使われている主題歌「春」は、音楽界の新進気鋭、折坂悠太が本作のために書き下ろした楽曲。
主演の仲野が撮影中、折坂の楽曲が本作の世界観にぴったりだと提案したことが起用のきっかけという。曲を聴いたプロデューサーや監督は折坂の作品に強く引かれ、主題歌だけでなく劇伴も依頼。交渉の末、今回初めて折坂が映画主題歌、そして劇中に流れる楽曲全般も手がけることとなった。幼少期にロシアやイランで過ごした折坂のバックボーンを活かした多様で多彩な楽器から生み出された音楽は、伝統文化を題材にした本作に“現代”というエッセンスを加えている。

 折坂は「どうだろう。男鹿の土の中で眠る種や幼虫は、芽吹き、這い出す自らの行く末を考えるか。ただ今を、今だと思い、うごめき、もだえているのではないだろうか。この映画は土の中を映す。芽吹く希望を今は知らない、あいつと私。それを映す。エンドロールの先に来る季節を想いながら、音を添えさせてもらいました」とコメントしている。

 映画『泣く子はいねぇが』は11月20日より全国公開。

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