秋元康が企画・原作を務めるドラマ『共演NG』(テレビ東京系/毎週月曜22時)で元アイドルの女優・篠塚美里を演じるのが、2018年に乃木坂46を卒業して女優へ転身した若月佑美だ。ソロ活動へ移行してから2年。

アイドルだった当時は「人にはないもので、どう自分のキャラクターを作るか考えていた」というが、次第に「素の自分でもいいかな」と思えるようになったという。

【写真】元アイドル女優役ということで、“アイドルっぽい”ポーズも取ってくれた若月佑美

■一人の女優として「何をするにも責任を背負わなければいけない」

 芸能界のタブーともいえるさまざまな出演者同士の“共演NG”をテーマにした本作。元アイドルの女優にふんする若月は劇中劇に出演し、さらに、元々は同じグループに所属していた現役売れっ子アイドル・内田梢(小野花梨)と“犬猿の仲”でいがみ合うという役柄を任されたが、場面によっては「普段の私とは違う!」と念を押しておきたい部分も。

 「誰かと誰かが“共演NG”というのは未知の世界で、脚本を頂いてキャラクターがかぶるからNGとか、本当にあるのかなと思いました(笑)。でも、ドラマ内の細かな作りは割と現実に忠実で、スタッフさんの言い方や前室での振る舞いなどがリアルで、演じる上での難しさもありました。

 私ならば前室でどう振る舞うかは分かるけど、美里はどうするんだろうとか。これまでの芸能生活でカメラの前にいるとき以外の自分の行動を意識したことがなかったし、あえて裏側を演じるというのは楽しかったです。

 ただ、後輩の子に対する言葉遣いは自分らしくはないかな。劇中では梢役の小野花梨さんに『あんたのせいで』とか『何々してやってんだよ!』と詰め寄るシーンもあるんですけど、私は声が低いからそういうセリフだと『元ヤンでしたか?』と言われるほど合ってしまうみたいで(笑)。だから、そこはリアルだと思ってほしくないです(笑)」。

 グループを卒業して2年ほど。直近でも本作のほか、7月期に放送された連続ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)では主人公・相原メイ(多部未華子)の同僚である天馬あかり役を演じるなど、女優としての存在感を発揮している。


 グループの一員として活動していた当時と比べて、仕事とプライベートの両面で変化も味わっている日々では「すべての矢印が自分へ向くようになりました」と語った若月。「何をするにも責任を背負わなければいけないし、私にしかできないこともあるはずだからすべて自分次第」だと実感しているという。@@separator■「素の自分でもいいかな」と思えるように

 女優としての生活がスタートしてから、自身の体調をとりわけ気にするようになったという若月。以前と比べて時間の使い方も変化した今、スタイル維持にも余念がない。

 「グループにいた時代は、体格や体型をだいぶ気にしていたので、食事をあまり取らなかったんです。運動する暇もなかったわけではないけど、普段からダンスの練習をしていたのもあり、今のように体調管理を徹底する習慣もなくて。当時はとにかく体型を維持するために“食べるか食べないか”という風に、振り返れば極端な体調管理をしていたなと思います。

 女優としての活動を始めてからは体が資本だという思いも強くなり、健康が第一だからできる限り自炊もしています。実は、実家では幼い頃から父親が料理を作るのを手伝っていたので、意外と料理するのは得意で(笑)。コロナの自粛期間中で以前にも増して、キッチンへ立つ機会も増えました」。

 陰ながらの努力は実を結び、4月からは女性ファッション誌「Oggi」の美容専属モデルにも抜てきされたが、グループ在籍当時の自分に伝えたいこともあるようだ。

 「自分のイメージを考えて、あえて主張しない部分もけっこうありました。
でも、振り返ってみれば『別に出せば良かったんじゃない?』と、当時の自分にも言いたくなります。誰かと誰かの隙間を見つけて、人にはないもので、どう自分のキャラクターを作るか考えていたけれど、今思えば『他人と同じでもダメじゃないよ』と当時の自分を慰めたくなるような気持ちもあって。1つの発言にしても『周りにどんな影響があるのか』と考えていたけど、グループを離れてから徐々に『素の自分でもいいかな』と思えるようになりました」。@@separator■周りを支えられる人として存在感を出していきたい

 美容専属モデルを務めるようになってから「自分がどれほど好きなことに対して調べたり、勉強するのが好きだったのかと気が付きました」とうれしそうに話す彼女。可能性はさらに広がり、自身の誕生日である6月27日には、独自のオンラインサロン「未開発区域」を立ち上げた。

 「始めた理由は正直、やりたいことが多すぎたからです。女優業はもちろん軸にありますが、それ以外にもコラムを書いてみたいとか、いろいろな場所を絵で表現したいとか、アイデアがどんどん膨らんでしまい、すべてのものをつなげてみて『誰かの役に立ちたい』と思った末に行き着いたのが、オンラインサロンでした。

 会員の方に向けてはお悩み相談やメイク動画など、いろいろと取り組んでいます。それこそ、インスタグラムで皆さんのお悩みを募集すると『今、仕事で悩んでいて』とか『人生に悩んでいます』みたいな声も頂くんですけど、ファンの皆さんには応援してもらっているからこそ、私からも何かを返して“win‐win”の関係を築きたくて。思い描いていた通りの空間になっているのかなと思います」。

 現在、26歳の彼女。今後もますます活躍の幅が広がるのを期待されるが、軸にある女優としての活動では、どのような将来を描いているのか。
最後に理想像を聞いた。

 「もし主演を務めさせていただけるとしたらもちろん光栄なことだとは思いますが、自分の性格を分析してみたときに『真ん中に立つ人ではない』と気が付いたので、周りを支えられる人として存在感を出していければと考えています。中心の花になるよりも、それを支える柱になる方が自分は輝けるのかなと、いつからか思うようになったんですよ。“誰かを支える立場としての最上級”を目指していくのが自分には合っているし、そこを目標に頑張っていきたいと思います」。(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:曽我美芽)

 ドラマ『共演NG』は、テレビ東京系にて毎週月曜22時放送。

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