モーニング娘。

の卒業から約5年間の活動休止期間を経て、9月に劇作家・末満健一が手がけた音楽朗読劇『黒世界』で芸能活動を本格的に再会した鞘師里保。放送中の連続ドラマ『あのコの夢を見たんです。』(テレビ東京系/毎週金曜24時12分)では、12月4日放送話でヒロインを演じるなど、女優としての幅を広げる。その一方で、来年5月には待望の単独ライブを開催することも決定し、音楽活動への期待も高まっている鞘師に現在の心境を聞いた。

【写真】“笑顔もかわいい” 鞘師里保 インタビュー撮り下ろし

■ドラマで演じるのはモー娘。時代の天真らんまんな鞘師里保

 お笑いコンビ南海キャンディーズ山里亮太が原作を務めたドラマ『あのコの夢を見たんです。』は、山里の妄想を元にした実在の女優やアイドルとの恋愛模様が描かれるラブコメ作品で、中条あやみ芳根京子、森七菜らと並んでヒロインを演じた鞘師は、劇中で山里のイメージした“鞘師里保”を演じる。

 本作出演の話を聞いた鞘師は、「素直にビックリしました。正直、復帰早々にドラマ出演のお話をいただけるとは思っていなかったですし、たくさんの素敵な女優さんの並びに『私が入れていただけるとは…』のような気持ちで。ヒロイン役も『私で成立するんですか?』と思いましたし、自分そのままの役柄もドラマの経験が少ない自分にはとても特殊な状況だと思いました」と当時を振り返る。

 本人役ということで、「役づくりでも特別に何かを準備したわけではなく、事前に台本を読んでいても不思議な感覚のままでした」という鞘師。
「舞台とは異なり、稽古もなしに本番へ挑む経験がなかったので、撮影前日に緊張しすぎて眠れなくなってしまい、当日の現場ではスタッフさんから『寝てないの!?』と驚かれるほどでした(笑)」。

 撮影中は「眠気を感じられない」ほど、真剣に演技へ打ち込んでいた鞘師。本作で描かれる本人役について「ドラマでは、よく転んだりモノを忘れたり天真らんまんな女の子として描かれていて、ファンのみなさんから見る鞘師里保のイメージにはだいぶ当てはまっていると思います」としながら「5年間の休業期間を挟んでいるので、今の私はもしかするとそのイメージとは変わっているかもしれません」と笑顔を見せた。

■日記をやめた理由「書き留めず楽観的に生きた方がいい」

 このドラマの背景には、山里が実際に書き記しているという“妄想ノート”がある。鞘師自身も日頃から、何か書き留めているものはあるのか。質問してみたところ、意外な答えが返ってきた。

 「1年ほど前までは、毎日のように日記を書いていたけどやめちゃって…。日頃から自分に対して考えるのが習慣づいているというか、自己分析をしたり考えごとをする機会が多いんですけど、それをまた文字で整理していたら頭の中で考えることがどんどん増えていってしまい、深みにはまってしまって物事が余計にこんがらがってしまう感覚に陥ったんです。

 日記には楽しかったできごとや反省点を書き込んでいましたが、書けば書くほど『私はこんな性格で…』みたいな、自分自身の観察日記みたいになってきて。続けているうちにようやく『私はたぶん、書き留めず楽観的に生きた方がいい』という答えにたどり着けたので、きっぱりとやめました」。

 そして「日頃から妄想しているタイプかも」と笑顔で答えてくれた鞘師。「例えば、カフェで過ごしているときも『自分がもし店員さんだったら』と考えてたりするんです。
学生時代も芸能活動を中心に生活していたので、今ふたたび学校へ通えるとしたら『どんな過ごし方をしていたんだろう』と思ってみたり…。それこそ街中で制服姿で歩いている高校生のカップルを見ると楽しそうだなと思うし、青春時代にもっと時間があったら『どうやってクラスメイトと遊んでいたんだろう』と考えるときもあります」と妄想の例を挙げると切りがないようだ。

 でも、最近は現実に起こりそうで起きないことを考える時間も増えてきました。ファンのみなさんを思い浮かべると『どんなライブができるかな』と思うんですよ。芸能活動へ復帰したとはいえ、人前に出るまでにはブランクもあったから、今なお夢のようで生活の一部という感覚がしっかりとつかめていない気持ちもあって。それもひょっとしたら、私なりの妄想になるのかなと思います」。@@separator■「どんな肩書きで活躍していきたか?」思い描く将来像

 9月から10月にかけて、東京と大阪で上演された音楽朗読劇『黒世界』でステージに立った鞘師。彼女の活動再開を待ちわびていたファンからの声は、SNSを通じて本人にも届いていた。

 「舞台に立つ姿を喜んでくださっている方々の声をたくさんいただいてうれしかったです。本格的に活動を再開するまではほぼ発信をせずに自分の時間に集中していたから、私自身の言葉を届けられていなかったし。今ようやく自分の声を直接届けられているのはうれしいし、ファンのみなさんもそれを感じ取ってくださっているのがすごくありがたいです」。

 再開後は、生活も一変した。
「今年の前半は外出自粛の期間もあったので、家で映画やドラマを観て、たまに読書をしたりゲームをしながら、飽きたら掃除をするみたいな生活でした。舞台の稽古が始まってからは慌ただしくなり、仕事をする時間と自分の時間とメリハリをどうつけようかと試行錯誤するようになりました。

 何かへ集中すると一心に向かってしまう性格なのもあって。舞台へ打ち込んでいた期間中も、ふと自宅へ帰ると『こんなに掃除していなかったっけ?』と思う瞬間があったり(笑)。最近、タスク管理アプリを活用するようになって、日常のささいな予定もきちんと管理するようになりました」。

 10月には公式ファンクラブ「さやしい人たち」をオープン。直筆のメッセージを届けるなどしてファンとの温かな交流を図る一方、23歳の誕生日を迎える来年5月28日に東京・豊洲PITで初のワンマンライブも決定した。復帰して以降、活躍の幅を広げつつある今。最後に「この先どんな肩書きで活躍していきたか」と尋ねた。

 「そういった質問をいただける機会も多くなりましたが、それはいろいろな経験をさせていただいている証しだと感じています。自分の理想としては、その時々で肩書きを変えられるくらい、全力でいろいろなお仕事へ打ち込みたいと思っています。

 なかでも、歌やダンスといったパフォーマンスをやりたい気持ちが強いです。
これまでの経験を振り返るとやっぱり人生の核であると思うし、体が動くうちはやり続けていきたいです。ステージに立ち、目の前で見てくれる人たちがいるからこそみなぎってくるエネルギーもあるので、ファンのみなさんと距離が近い空間で熱意に応えられるような活動に積極的に取り組んでいきたいです」。(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:ヨシダヤスシ)

 連続ドラマ『あのコの夢を見たんです。』は、テレビ東京系で毎週金曜24時12分放送。

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