フランスの名匠ロベール・ゲディギャン監督最新作『The House by the Sea(英題)』が、邦題を『海辺の家族たち』として5月14日より公開されることが決定。予告編とポスタービジュアルが解禁された。



【動画】『海辺の家族たち』予告編

 本作は、マルセイユ近郊の小さな港町を舞台に、人生を変える出会いを描く感動作。父との最期の日々を過ごすため故郷に集まった3人の子どもたちが、港に漂着した難破船の子どもたちを助けたことで、過去にとらわれていた彼らの未来が思わぬ方向へ開けていく。

 監督を務めたのは、自身が生まれ育ったマルセイユを舞台に、労働者階級や移民など社会的に弱い立場の人々の人生を温かな眼差しで見つめる作品を発表し続け、“フランスのケン・ローチ”と称されるロベール・ゲディギャン。本国で半年以上のロングラン上映を記録した『マルセイユの恋』や『幼なじみ』、『キリマンジャロの雪』などで高く評価され、ベルリン国際映画祭やヴェネチア国際映画祭、審査員も務めたカンヌ国際映画祭の常連でもある名匠が、映画人生40年の集大成となる傑作を完成させた。

 パリに暮らす人気女優のアンジェルは、20年ぶりにマルセイユ近郊の故郷に帰郷。家業である小さなレストランを継いだ上の兄アルマンと、最近リストラされ若い婚約者に捨てられそうな下の兄ジョゼフが彼女を迎える。兄妹3人が集まったのは、父が突然倒れたため。意識はあるもののコミュニケーションが取れなくなった父と、家族の思い出の詰まった海辺の家をどうするのか、話し合うべきことがたくさんあった。しかしそんな状況の中、それぞれが胸に秘めた過去が、ひとつひとつあらわになっていく。昔なじみの町の人々も巻き込んで、家族の絆が崩れそうになったその時、兄妹は入り江に漂着した3人の難民の子どもたちを発見する。

 予告編は、マルセイユ近郊の寂れた街に、突然倒れた父親のため、3人の子どもたちが久しぶりに集まる様子から始まる。パリで女優として活躍する末っ子のアンジェル、若すぎる婚約者を連れて戻ってきた次男ジョゼフ、父親の思いを継ぎ故郷で小さなレストランを細々と続ける長男アルマン。
「なぜずっと疎遠に?」「あんな事故があったからよ」「仕方なかったんだ。誰にも防げなかった」。それぞれ胸に秘めた過去があぶりだされていく中、彼らはある日、港に漂着した難破船の子どもたちを助ける。そしてその出来事をきっかけに、「さびれた故郷で、過去と仲直りし、未来へと踏み出す―」という映像に添えられたコピーの通り、3人が前へと進む様子が描かれている。

 ポスタービジュアルは、3人の子どもたちと次男の婚約者が、マルセイユ近郊の入江沿いに建つ父親の家のベランダから、希望に満ちた表情で外を眺める姿を捉えたもの。ベランダの外には海と青空が広がり、この美しい風景を舞台にどんな出会いが待ち受けているのか期待が高まるビジュアルとなっている。

 また、本作を鑑賞した山田洋次監督は「美しい入江の一軒家に集う家族が、憂鬱な時間を重苦しく過ごすうち、突如思いもかけぬ出来事が立ち上がり、未来が豁然と開けてくる――この映画には思想がある」と称賛。同コメントは、予告編の最後にも収められている。

 映画『海辺の家族たち』は5月14日より全国順次公開。

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