山口真帆、2年のソロ活動で変化「よく笑うようになりました」　映画初主演に奮起

　女優として歩み出して約2年。山口真帆が、人気少女漫画を実写化した『ショコラの魔法』の魔法使い役で、映画初出演にして初主演を果たした。

女優業について「まだまだ課題ばかりですが、役を通してたくさんの人生を歩んでいけることはすばらしいことだなと思っています」と心を込める山口。個人で活動するようになって「より自分と向き合うようになった」という彼女が、この2年で起きた変化や「怒りはなにも生まない。笑顔で生きることが一番いいなと思っています」と大切にしているモットーまでを明かした。

【写真】「笑じわができちゃうかも！」笑顔でインタビューを受ける山口真帆

■「とにかく頑張るしかない」と奮起！　肉体改造にもトライ

　月刊少女漫画『ちゃお』に掲載され、シリーズ累計100万部を突破する同名少女漫画を映画化した本作。主人公となるのは、食べるだけで願いが叶う不思議なチョコレートを作る美しき魔法使い、ショコラ（山口）。彼女の元にひとりの女子高生が訪れ、願いを叶えるべくショコラと危険な契約を交わすが、その後、次々と謎の事件が巻き起こる。

　大役を手にした瞬間を振り返り、山口は「私も小学生の頃から“ちゃおっ子”（ちゃお読者）だったのですごくうれしかったです。でもやっぱり、不安も大きかったですね」と率直な思いを吐露。原作を読み込み「ショコラは、学校や友達の間で起きる問題を解決していくんです。優しい心を持ち合わせることの大切さを教えてくれる作品でもあって、大人である私が読んでもハッとすることがたくさんありました」と魅了されながら、「『ちゃお』を読んでいる小学生の子たちをはじめ、原作ファンの方たちのイメージと違うものにしてはいけない。期待を裏切らないようにしなければ」とプレッシャーも感じていたという。

　「とにかく頑張るしかない！」と奮起し、役作りに臨んだ。山口は「ショコラは魔法使いで、普通の人間とは違った雰囲気を持っています。また、ゴスロリっぽい衣装を身にまとうことになるので、あまり肉感があるとよくないなと思って。タンパク質をメインに摂るようにして、太らないようにしました」と肉体改造にもトライ。「コルセットでギュッと絞られているので、あの衣装を着ると身も心も引き締まる思いもして」と原作に忠実な衣装も着こなし、「自宅から持って行った、パープル系のメイク道具も使用しています。あの扮装のおかげで、非現実劇な世界に入り込める気がしました」と語る。

■憧れの女優像は？「薬師丸ひろ子さんのお芝居がすごく好きです」

　新しい挑戦もたくさんあったという山口。不思議なオーラを放つ魔法使い役とあって、「“抑揚をつけずに会話をする”というのが、とても難しくて」と苦笑い。またいつもは冷静なショコラが怒りの表情を見せる一幕もあり、「私は普段怒ることがないので、大変でした。人生って、怒らない方が絶対に幸せですよね。きっと、怒りはなにも生まない。ハッピーに笑顔で生きることが、一番いいなと思っています」といつもの自分とは違う一面を見せることになったそうで、「見た方には、“怒ったらこうなるんだぞ”と思っていただけたらうれしい（笑）」と楽しそうに話す。

　2020年に『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』でドラマ初出演。同年に『浪漫舞台「走れメロス」～文豪たちの青春～』で初舞台も経験した。

　女優業をスタートさせてから約2年が経ち、山口は「いろいろな役に挑戦してみたい」という思いを強くしていると話す。「女優さんのお仕事をするようになってからは、家で映画やドラマを観ていても、“こういう役をやってみたい”と思ったり、その役の感情になってみたりするようになりました。感動したり、刺激をもらった作品は、何度も観たりもしている」そうで、最近とりわけ心に深く残っているのが、『コーヒーが冷めないうちに』の薬師丸ひろ子の演技なのだとか。「薬師丸さんのお芝居って、本当にすてきですよね！　役柄の繊細な感情がこちらにも伝わってきて、ものすごく感動して、何度も観返していました」。

　女優業に感じている醍醐味（だいごみ）は、「ショコラもそうですが、自分とはまったく違った人生を体験して、味わったことのない感情にもなれたり、自分以外の誰かになれるってとてもすてきなこと」、さらに「私が演じた役や、出演した作品を観ていただいて、誰かがいろいろな感情を抱いてくれたり、勇気や希望など、なにか届けることができたらすごくうれしい」と吐露。「これからもいろいろなジャンルに挑戦して、たくさん経験を積んで、女優としてもひとりの人間としても成長できるように頑張りたいです」と未来への期待を膨らませる。■2年で起きた変化「よく笑うようになりました。笑じわができちゃうかも！」

　2年前にインタビューした際、山口は「懸垂ができるようになった」と話していた。その後さらに体を鍛えたそうで「今、あの時と比べて筋肉量がもっとすごいんです！」と声を弾ませる。

　個人で活動するようになったことで、内面にも変化が起きたという。「新しい出会いも増えて、今まで知らなかった世界に飛び込むことも多いです。また、（グループでは）“お姉さん”という立ち位置だったんですが、そういった立場がなくなって、自分の個性や、持っているものを伸ばさないといけないなと思うようになりました。より自分と向き合うようになって、もっと中身のある人にならなければと日々感じています」と心の成長を遂げている。

　新しい出会いや、自分と向き合ってみて感じたのは、「笑うといいことがあるな」ということ。「初対面の方に“もっとクールなのかと思った”と言われることが多くて！　猫目だからかな？　内面は全然そんなことないので、自分を解放して、よく笑うようになりました」と語り、「ファンクラブ限定の配信などもやっているんですが、そこでの交流がものすごく楽しくて。なにを話すか考えないで始めても、すぐに時間が経ってしまうんです。ファンの方と笑いながら話すことが、本当に楽しい」とファンの存在も力に、充実した笑顔の日々を過ごしている。

　「笑いじわができちゃうかも！　でもこれからも、いっぱい笑っていきたいです」というように、この日も真摯（しんし）かつ笑顔いっぱいのトークで、インタビュー部屋を明るく照らしていた山口。そんな彼女がもうひとつモットーにしているのが「いつだって、明日は来る」ということだそうで、「悩んでも、泣いても、絶対に明日は来る。もしいやなことがあったとしても、しっかり寝て、切り替えて、新しい明日を迎えようって。それでまた頑張ればいいんだと思っています」とニッコリ。

　どんな言葉からもおおらかで柔らかな人柄がにじみ出す。「自分の家に帰るのに、快速電車を乗り過ごしてしまったり、東京の電車って本当に難しい！」とこぼす素顔もなんともキュート。笑顔で邁進する山口真帆のこれからが、とても輝いたものに思えた。（取材・文：成田おり枝　写真：松林満美）

　映画『ショコラの魔法』は、6月18日より公開