劇団四季の新作オリジナルミュージカル『バケモノの子』が、2022年4月より上演されることが発表された。同作は、細田守監督によるアニメーション映画「バケモノの子」(2015)をミュージカル化した作品。

今回の発表を受け、細田監督からコメントも到着した。

【写真】映画「バケモノの子」ポスター&監督の細田守

 スタジオ地図作品「バケモノの子」は、2015年公開の邦画No.1の興収を記録し、第39回日本アカデミー賞では最優秀アニメーション作品賞を受賞したヒット作。東京・渋谷とバケモノが暮らす不思議な町“渋天街”を舞台に、孤独な少年・九太と、暴れん坊のバケモノ・熊徹の血の関係を超えた「親子の絆」を軸に“新冒険活劇”が描かれる。細田監督に息子が誕生したことを機に着想され、「子どもはどうやって成長していくのか」「父親は子どもに何ができるのか」という監督自身の問いが作品テーマの源になっているという。

 今年で創立10周年を迎え、7月には新作映画「竜とそばかすの姫」の公開を控えるスタジオ地図の作品をミュージカル化するのは本作が初。この『バケモノの子』で、劇団四季は国産ミュージカルとして最大級の長期公演に挑む。脚本・歌詞はこれまで数々の四季作品に参加した高橋知伽江、演出は劇団四季の『恋におちたシェイクスピア』を手掛けた青木豪が務める。

 舞台では、特殊メイクやパペットなどを用いて、多種多彩なバケモノや祝祭感あふれる異世界、迫力ある戦闘シーンを表現。壮大な物語を圧倒的なエンターテインメント性とシアトリカルな手法で描き出す。その一方、作品を通して描かれるのは、バケモノの熊徹と主人公の少年・九太の相互成長とまるで本当の親子のような固い絆、そして、己のアイデンティティを模索し葛藤する九太の姿。自分は何者なのかという問いに対し、大切な誰かと手を携えて力強く人生を歩んでいくことの価値を教えてくれる。

 今回のミュージカル化について、細田監督は「大変光栄に思っています。
来年の春から上演されると伺い、どのような作品になるか私も楽しみにしております」と期待のコメントを寄せている。

 なお本作は現在、主人公・蓮(九太)、猪王山の息子・一郎彦、二郎丸の少年時代を演じる子役を募集中。詳細は劇団四季の公式サイトにて。

 劇団四季ミュージカル『バケモノの子』は、JR東日本四季劇場[秋]にて2022年4月30日開幕。 細田守、青木豪らのコメント全文は以下の通り。

■細田守(映画「バケモノの子」監督)
私たちスタジオ地図のアニメーション映画作品「バケモノの子」が、劇団四季の皆さんによってミュージカル化されることになり、大変光栄に思っています。来年の春から上演されると伺い、どのような作品になるか私も楽しみにしております。ぜひ多くの皆様にご覧いただけますと幸いです。

■青木豪(演出)
未曾有の危機的状況に毎日ヒリヒリとしながらも、五十代の私は「バケモノの子」という作品に巡り合えたことに奇跡を感じています。この物語には、他人が産んだ子どもを育て、そこに愛を覚え、生き物の宿命として親の世代は先に死ぬ、というテーマがあるからです。海外で生まれたミュージカルというジャンルを劇団四季が愛をもって日本で育て、ある時期の四季作品を見て育った私が、この物語を今、世に放つ。生きとし生けるもの、死ぬのが宿命であるならば、「人生は生きるに値する」と思える瞬間とは、次世代にバトンを渡す時だと思うのです。
次を育てる世代、次に育つ世代のすべての人々に、この作品が愛されることを願って、四季オリジナルミュージカル『バケモノの子 』を育てていきたいと思います。

■吉田智誉樹(劇団四季 代表取締役社長)
スタジオ地図作品として大ヒットを記録したというこの超大作の舞台化に挑戦できることを大変光栄に思います。本作が伝えるのは、大切な人と共に強く生きていくことの素晴らしさです。これは、創立以来四季作品に受け継がれる「人生の感動」「生きる喜び」というテーマにも通じると言えます。今回、脚本・歌詞はこれまでも数々の四季作品にご参加頂いている高橋知伽江さん、演出は『恋におちたシェイクスピア』でご一緒した青木豪さんに再びお願いしました。その他、心強いクリエイターの方々と共に、四季の経験知を結集して創作に励んで参ります。近年、オリジナル作品創作に力を入れている中、今回は国産ミュージカルとして最大級の長期公演に挑みます。四季の創作活動においてひとつの到達点とも言える作品になることでしょう。どうぞご期待ください。

編集部おすすめ