自ら「最初で最後」と謳(うた)う写真集『すみにおけない』が発売日にして3刷目を記録したフリーアナウンサー鷲見玲奈テレビ東京から独立して約1年半、バラエティにドラマにとNGナシでがむしゃらに挑む鷲見に、局アナ時代との違いや難しさや苦悩、大事にしていることなどを聞いてみた。



【写真】晴天に負けない笑顔を見せてくれた鷲見玲奈、撮り下ろしインタビューカット

女性芸能人の写真集の大ファン 身についていた“自然に見えるポーズ”

――もともと女性芸能人の写真集をご覧になるのが好きだったそうですが、今回写真集を出すにあたって、参考にしたものなどはありますか。

鷲見:写真集は中学2年くらいから集めてきて、すごくたくさん持っているんですよ。「こういうきれいな人たちを見ていると癒やされるなあ」とか「少しでも近づきたいなあ」という気持ちで常日頃眺めているんですが、なかでも広末涼子さんや石原さとみさん、内田理央さんや馬場ふみかさんの写真集が特に大好きで。それで自分が写真集を出すことになり、これまで見てきたものの中から自分が作りたいものをイメージしつつ、プラスアルファで自分のオリジナルの部分を出せたら良いなと思いました。

――写真集を見ながら、ポーズの練習をすることもあったのですか。

鷲見:練習していたわけではないですが、局アナ時代から実は「ポージング、慣れてるね」とか「うまいね」と言ってもらえることが多かったんですよ(笑)。「こういうポーズがあった気がするなあ」「自然に見えるポーズはこんな感じかな」というのは、いろんな写真集をたくさん見てきたことで、自然に勉強できていたのかもしれません。それに、フリーになってからは写真撮影のお仕事も増えて、改めて写真集をいろいろ見返すこともありました。

――自然に見えるポーズ、というと?

鷲見:例えば、手を顔の近くに持っていったり、上にあげたりするのも、一つ一つ別のポーズを取るわけではなくて、一連の流れの中で動きとして見せるとか、壁を使うとか、常に動いている感じですね。

――写真集を出す上での具体的な目標はありましたか。

鷲見:自分の作りたいものを作るということと、これまでの仕事の集大成を現時点で残しておきたいということですね。そもそも最初に「写真集を出しませんか」と言われたとき、「私にできるかな」という気持ちが一番大きかったんです。
自分が写真集を出すことで喜んでくれる人っているのかな、大丈夫かなぁと。ただ、SNSなどを通じていつも励まし、応援してくださるファンの方々から「会える機会を作ってほしい」「写真集を出してほしい」というお声を頂く中で、恩返しをしたいとはずっと思ってきました。「自分を消せ」と言われてきた局アナ時代 フリー後は“自分の話”で悪戦苦闘中

――局アナ時代とフリーランスになってからで、違いを感じるのはどんな点ですか。

鷲見:ファンの方との距離が近くなったことはありますね。アナウンサーはもともと情報を伝える仕事で、アイドル的な位置づけではないじゃないですか。その点、今の位置づけでは立場があい昧であり、融通の効く部分でもあるので、いろいろ挑戦させていただける幅は広がっていると思います。

――フリーになられてから改めて難しさを感じたこともありますか。

鷲見:難しいなぁと思うのは、トーク番組などでエピソードトークや自分のことを話すことですね。アナウンサーのときには、とにかく「自分を消せ」と言われることが多く、忠実に台本に沿って情報を伝える必要がありました。自分が取材してきた話やエピソードを入れるすき間もあまりなかったんです。だから、今は短時間で自分の話を面白くするのが本当に難しくて。それに、私はもともと記憶力があまり良い方じゃないので、エピソードを聞かれても、ぱっと思い出せないんですよね。
だからスマホにメモをして、日常の何気ない出来事などを覚えておくようにはしているんですが、まだまだ難しいですね。

――共演者の方からアドバイスをもらったこともありますか。

鷲見:残念ながらあまりないですね。コロナ禍で、共演者の方とご飯にもあまり行けないですし、だいぶ前から感染拡大予防として楽屋あいさつもなくなっていて、現場以外で話せる機会がほとんどないんです。(おぎやはぎ)矢作(兼)さんや(ビビる)大木さんには『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系/毎週水曜21時)でずっとお世話になっていたので、連絡を取らせていただくこともありますが、アドバイスは基本ないですね(笑)。

ライバルはあえて作らない「誰かと比べてしか頑張れなくなる」

――ライバルとして意識する方はいますか。

鷲見:うーん、どうだろう…。あえてライバルは作らないようにしています。芸能界にはすごくきれいな人、スタイルが良い人、お話が上手な人、いろんな魅力を持った方々がたくさんいるので、その中で特定の誰かを意識してやっていくと、そこしか見えなくなってしまうと思うんです。うらやましいという気持ちは妬みにつながってしまって、もし自分の中に伸ばせるものがあったとしても、誰かと比べてしか頑張れない、伸びることができなくなってしまう気がします。そういう意味では自分自身と向き合って、自分のどういうところを伸ばして、成長していかないといけないかを常に考えるようになりました。

――実際に1年半の間にご自身で一番成長したと感じるのはどんなことですか。


鷲見:トークの「間」ですかね。昔に比べるとほかの方とあんまりバッティングしなくなった気はします。「今回、(人のトークを)ジャマしちゃったな」ということもありますが、そういう苦い経験も糧にして、次に頑張っていくしかないかなと思っています。(取材・文:田幸和歌子 写真:高野広美)

 鷲見玲奈ファースト写真集『すみにおけない』は集英社より発売中。価格は2200円(税込み)。

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