全米公開から遅れること約3ヵ月。ついに日本で『ゴジラvsコング』の公開がスタートした。
【写真】『ゴジラvsコング』場面写真10点 小栗旬「撮影にのめり込んだ」
2014年公開の『GODZILLA ゴジラ』からスタートした、通称「モンスターヴァース」。製作のワーナー・ブラザースとレジェンダリー・ピクチャーズが、まさにゴジラとキングコングを戦わせるために始めたと言っていいこの怪獣映画シリーズは、続く『キングコング: 髑髏島の巨神』(2017)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)と3作かけて両雄が戦う理由を丁寧に描いてきた。そして満を持して制作された本作『ゴジラvsコング』では、これまで散りばめられた地球空洞説などの伏線を回収しつつ、古代から続いてきた怪獣王決定戦の決着を真っ向から見事に描き、怪獣ファンも大満足の1本に仕上がっていた。
■<第1ラウンド>ゴジラに圧倒的に有利な海上での死闘!
まずは第1ラウンド。2匹が最初に激突する舞台は、「髑髏島の巨神」の頃に比べてはるかに巨大に成長し過ぎたコングを、故郷である地球の中心にある地下世界に戻すため、大艦隊で運搬中の海上である。
コングが少女とほのぼのと心を通わす最中、背ビレを出して泳ぐ「ジョーズ」スタイルで次々と護衛艦を撃沈させるゴジラ。そして潜水状態から一気にコングを海中に引きずり込んだところでバトルスタート。ゴジラが圧倒的に有利な海中で窒息KOを狙うも、コングもそう簡単にはやられない。
その後は予告動画でもおなじみの、空母の甲板でのインファイト。コングの見事な右ストレートが顔面に突き刺さったと思えば、ゴジラもすかさず右フックで反撃。一進一退の攻防の中、再び得意な海中で一気にキメにかかるゴジラだったが、艦隊の爆雷攻撃に邪魔され、コングを仕留めるまでには至らなかった。虫の息で看板に横たわるコング。初戦はゴジラに軍配が上がった。■<第2ラウンド>“最強の斧”を手にしたコングの逆襲
一度は敗れたコングだったが、もちろんこのまま頂点の座を渡すわけはない。コングは、巨大生物の発祥地と思われる地球の地下大空洞で、古代人が作ったであろう斧を手に入れる。そして巨大な玉座で先祖の英霊たちに気合を入れられたのか、コングは確実にこれまでと目つきが変わる。気合を入れ直したリベンジャー“キングコング“と、キング・オブ・モンスターズことゴジラの第2ラウンドが、ネオン輝く香港のビル街でさく裂する。
香港にそびえ立つ無数のビルをジャングルに見立て、縦横無尽に動いてかく乱するコング。第1戦とはうってかわって、地の利を生かした戦法だ。
飛び道具を持たないコングに対し、お構いなしで次々と熱線を吐きまくるゴジラ。まともに食らえば即終了な状況を、コングはギリギリでかわすが、なかなか攻撃に転じることができない。そこで手にしたのが地下空洞で手に入れた“最強の斧”だ。ゴジラの熱線を斧で受け止めると、ライトセイバーのごとく青く光る。大ジャンプと共に斧で熱線を防ぎつつ、そのまま脳天ぶっ叩きで強引に口を閉じられ、口内爆破を起こしてダウンするゴジラ。
ついに仕留めたかと思ったのもつかの間、早々にダウンから復帰したゴジラは完全お怒りモードに突入。滅多に見られない、4足歩行状態で連続かみつき攻撃を仕掛けてくる。
苦もんの表情を浮かべるコングに、どちらが最強かを思い知らせるため、顔面至近距離で全力咆哮(ほうこう)をお見舞いするゴジラ。ついに勝負あり。だが、とどめは刺さない。恐らく「一度拳を交えたやつはダチ」の精神である。兎にも角にも、地球最強の座に就いたのは、ゴジラであった。■<まさかの第3ラウンド突入!>最後の敵は人類が生み出したメカゴジラ!
ついに怪獣王が決定したと思いきや、まさかのエキシビジョンマッチに突入。香港に秘密基地を構えるテクノロジー企業・エイペックス社から飛び出してきたのは、キングギドラに次ぐゴジラの宿敵メカゴジラ(しかも暴走状態)!
コングとの死闘で消耗しきったゴジラは、メカゴジラの圧倒的な戦闘力の前に防戦一方。必殺の熱線すらも押し負けてしまうほどのパワーを前に、ゴジラもついに万事休す、かと思った矢先、そんなゴジラの元にコングが駆け付ける。
電気パワーを得たコングと怪獣王ゴジラの共闘。さすがのメカゴジラも怪獣ランキング1位と2位を同時に相手するのは厳しく、ゴジラの熱線アシストでさらに切れ味を増した斧によって、コングがメカゴジラの四肢をバラバラに切り裂く。さらにメカゴジラの首をねじ切って、まるでプレデターの脊髄トロフィーのごとく掲げるコング。実質本作の主人公と言ってもいいコングにも、最後にちゃんと見せ場を作る監督の心意気に感じずにはいられない。
■最大の見せ場は別れ際、怪獣だけの芝居
そして本作の最大の見どころが、クライマックスのゴジラとコングの別れ際のシーン。激闘を終えて、海へ帰るゴジラを見送るコングの表情と、何も語らないゴジラの背中が実に良い。完全に人間の芝居が入る余地のない、怪獣だけの芝居。監督も次回作があるのなら人間パートは30%くらいにしたいと語っており、最終的には怪獣しか出てこない純度100%の怪獣映画が、近い将来観られるのかもしれない。
本作をもってモンスターヴァースは一旦の区切りを迎えたわけだが、次回以降も東宝とのパートナーシップが継続されるかはまだ不明なようだ。現状、次回作は『Son of Kong(原題)』が準備中だが、とりあえず今は日本でも大きな結果を残して、引き続き“怪獣王ゴジラ”がハリウッドのスクリーンで暴れてくれることを祈るばかりだ。
映画『ゴジラvsコング』は公開中。